「ニキビの位置で体の不調がわかる」と図が拡散。専門医「全くの都市伝説」

おでこはストレスや肝臓腎臓の疲労、右のこめかみは肺の不調、左頬は冷えや肩こりが原因――ニキビができる位置で体の不調がわかる? 【画像】この車、何かがおかしい。「頭がバグってきた…」と話題に インターネット上に出回った「ニキビ図」の情報。皮膚科専門医は「全くの都市伝説」として、医学的根拠に基づかない「誤り」であると指摘します。 一体どういうことなのでしょう? 詳しく聞いてみました。

3万いいね超えの「ニキビ図」

インスタグラムやWebメディアでも散見される

「世に知られているニキビ図と私が今までニキビができた時に不調だった箇所を総合的にまとめてみました!」 フォロワー19万人を超えるインフルエンサーによって、12月7日にTwitterに投稿された1枚の画像。 女性の顔のパーツを地図のようにわけ、部位ごとに関連するとされる体の不調を書き込んだものです。3万いいね、3000リツイートを超えて拡散しました(現在は削除済み)。 「ニキビ図」や「ニキビ地図」と呼ばれるこの画像、このツイートに限らずネット上やSNSでは時たま見られる都市伝説です。……ですが、これって裏付けはあるのでしょうか?

「全くの都市伝説です」

「元のツイートを見た時に思わず笑ってしまいましたが、都市伝説はなかなか根強いですね。それこそ、『思い思われ振り振られ』なんてニキビの伝説があるのと同じです」 皮膚科専門医の佐治なぎさ先生は、そうバッサリ言い切ります。科学的な根拠には乏しく「誤り」と言えます。 「というわけで、結論から言うと全くの都市伝説です。ただ、ショートヘアの方は髪の刺激でフェイスラインのニキビが悪化しやすい、などの傾向はあります」

本来すべきニキビ対策は?

一般的にニキビの原因となるのは、皮脂の分泌過剰や、毛穴のつまり。 体の不調が表面化してできるものではなく、あくまで皮膚そのもののトラブルであると佐治先生は話します。ニキビができた時、本来すべき対策はなんでしょうか? 「過度に保湿しすぎることももちろんダメですが、脂性だからと保湿をまったくしないことも悪化の誘引になります」 「乾燥しすぎると、皮脂不足と肌が勘違いし皮脂の分泌が促されます。保湿成分を含む乳液や化粧水で、適切に保湿をしてあげることも、バランスを取れた皮脂分泌には必要です」 「逆に、乾燥肌の方は油分を落とすのが怖いからとお湯や水のみで洗顔する人もいますが、これだと皮膚についた汚れや、空気に触れて変性してしまった古い皮脂が落とせません。乾燥ケアには気を使いつつ、泡立てた洗顔料で洗浄することがとても大切です」

「ニキビにチョコレートはNG」も実は…

ニキビをめぐる都市伝説として長く根強いものは他にも。 例えば「チョコレートを食べるとニキビができやすくなる」なんてまことしやかに囁かれているものも、実は明確なエビデンスがないんだそうです。 真偽不明の情報を信じる前に、ニキビが悪化して辛い人、なかなか治らない人は早めに皮膚科で相談しましょう。 最後に、ニキビに悩む人が病院に行くべきタイミングも聞いてみました。 「最近は毛穴の詰まりの角質を予防し、ニキビ自体を作りにくくする治療薬があるので、ざらざらしたニキビが気になり始めたらいつでも受診のしどきです」 「最初の2~3週間は皮剥けや赤み、かゆみなどの反応が出ることも多く、その時期を適切に乗り越えることも大事。十分説明のないまま薬だけ処方するクリニックではなく、使い方、効果が出始める1ヶ月後までの説明を丁寧にしてくれるクリニックがおすすめです」

佐治なぎさ(さじ・なぎさ)

イデリアスキンクリニック代官山院長 皮膚科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士、イラストレーター 2004年昭和大学医学部卒、2010年同大学院修了。2013年より同大学兼任講師を経て2018年より現職。皮膚科専門医ならではの目線で、将来を見据えた自然な美容皮膚科診療も手がける。趣味で再開したお絵かきが2020年医療マンガ大賞で特別賞受賞。 — BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。 ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説の一部は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知しました。 また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。 ・正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。 ・ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。 ・ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。 ・不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。 ・根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。 ・誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。 ・虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。 ・判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。 ・検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。