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「1日3食」をやめることが健康への第一歩!? がまんしない医者の食卓の中身

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「健康を意識した食」と聞いて思い浮かぶのは、「1日3食、バランスよく食べる」とか、「野菜をしっかり摂る」というようなことではないだろうか。

ところが、内科医である『がまんしない医者の食卓』(内海 聡 著、フォレスト2545新書)の著者は、「肉も酒も脂もがまんしないで大丈夫」だと断言するのである。本能が求める食事を楽しみながら、健康に長生きを目指せばいいのだとも。

これまで生きてきた45年間、病気らしい病気をしたことがないのだという。あるのはスポーツ時の怪我くらいのもので、虫歯もなく、風邪や胃腸炎になることもないそうだ。

そんな著者が本書で伝えようとしているのは、「なにをどう食べるかによって、健康にも不健康にもなる」ということだ。そしてそれらの多くは、従来の“常識”とは大きく異なってもいる。

そのいい例が、「朝昼晩と1日3食しっかり食べることが健康のためには大切」だという考え方に疑問を呈している点だ。それどころか、健康のバロメーターのように推奨されている「1日3食」は、実はさまざまな病気を引き起こす不健康のもとだとすら言うのである。

注目すべきは、日本人の食生活についての問題点だ。先進国のなかでも特に日本人は、普通に食べていても食べ過ぎのカロリーオーバーになっている。しかもカロリーオーバーなのに栄養は足りていない「隠れ栄養失調」にかかっているそうなのだ。

日本人に多い病気といえば、糖尿病、脳卒中、心臓病、脂質異常症、高血圧、肥満などの「生活習慣病」、あるいはアレルギー、膠原病、悪性新生物(がん)などが挙げられる。しかし、それらすべての元凶は、食べ過ぎにあるといっても過言ではないという。

健康で長生きをしたければ、まずは「1日3食」をやめること。やれ、栄養価の高い野菜を食べろ、高額な健康器具を導入しろといった面倒でお金のかかる話ではありません。ただ、食べる量を減らして、ちょっと食べるものに気をつけるだけ。それだけで健康で長生きができるのです。(本書20ページより引用)

かくいう著者自身も、現在は1日1~2食が基本。朝食は抜くが、それは、そもそも食べたいという欲求が湧いてこないから。昼食を食べるのは、空腹を感じ、なおかつ時間のあるとき、もしくは仕事上のつきあいがある場合のみ。そして、夕食は普段どおりに食べる。

そんな食生活をするようになって、体調がすこぶるいいそうだ。

しかし、なぜ食べ過ぎるとさまざまな病気につながるのか? 著者によればそれは、人間の消化・吸収する構造にあるらしい。

私たちは食べることで、外から栄養を取り入れて消化し、エネルギーをつくっているわけですが、その食べ物は口で咀嚼され、喉を通って胃に入り、酵素によって消化され、腸管から吸収されるまでは、個人差もありますが、だいたい1日程度かかります。
その間、消化・吸収のために内臓は常に動いているので、食べ過ぎると、内臓はずっと働きっぱなしになっているわけなのです。そうするとどうなるか。内臓はしだいに疲れていき、どんどん老化していくのです。(本書24ページより引用)

とはいえ人間は、食べて体や心をつくっている。だから食べないわけにはいかないのだが、食べる機会や食べる量を減らすことなら可能だ。そうすれば内臓を休ませることができるので、体にかかる負担も減るということ。

つまり健康のためには、消化・吸収にかけるエネルギーを必要最低限に抑えることが必要だという考え方なのである。

それは、空腹でいる時間が長かったと考えられ、しかも粗食が一般的だった古代人や野生動物の食習慣を見ても明白だという。

古代人と現代人では体のつくりも違い、生活環境も異なるだろう。それでも、せめて食べ過ぎることのない“以前の食生活”に戻せば、多くの病気を予防したり、克服することが可能になる。

すなわち、いまよりも健康で長生きができるに違いないということだ。

だからこそ、消化・吸収の負担が大き過ぎる「1日3食」をやめることが健康への第一歩だと主張するのである。

だが一方、著者のなかには「食事は楽しいもの」であるという前提もある。毒になるものを避け、栄養にこだわることもある程度は大切だが、そういうことにばかりこだわっていると、ストレスになる。食べることは生きることなのだから、食べることが楽しくなくては、生きることもつまらなくなってしまうということだ。

神経質にとらえないで「70%くらい毒を避けられたらいいなぁ」くらいの感覚で取り組むのが長続きのコツです。
要は、食品に対して害があることを知ったうえで摂取するのか、知らないで摂取するのか。そこがいちばん重要なのです。その後の選択は個人の自由です。(本書157ページより引用)

食べ過ぎは体によくないし、危険な食材も少なくない。とはいえ、これくらいの“ゆるさ”を持っていないと、ストレスにつながっても無理はない。それはそれで、納得のいく考え方ではないだろうか。

『がまんしない医者の食卓』 内海 聡 著
フォレスト2545新書

文/印南敦史 作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)などがある。新刊は『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)。2020年6月、「日本一ネット」から「書籍執筆数日本一」と認定される。