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【マンション業界の秘密】今世紀末にもタワマンは“寿命”を迎える!? 高額な撤去費用は所有者の負担に

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ヨーロッパの街には、「17世紀に建造された」などという建物が至る所にある。たいてい石造かレンガ造りだ。日本でも明治期以降、そういった工法による建物ができたが、残っているものはほとんどない。ヨーロッパのように長く命脈を保てなかった理由は地震だろう。

 その代表例は、浅草の凌雲閣である。赤レンガを使った建物で、明治期の1890年に竣工。高さ52メートル、12階建てと伝わっている。1923年の関東大震災で半壊して取り壊された。地震の多いこの国では、レンガや石を積み重ねる高層建造物は危険というわけだ。

 現在の高層建築物は、そのほとんどが鉄筋コンクリート造。鉄筋の周りをコンクリートで固めて柱や床、壁の躯体構造とする工法である。これだと地震に対する耐性がしっかりと確保できる。

 しかし、鉄筋コンクリート造の建物には寿命がある。ヨーロッパの古都にある建造物のように何百年もの間、その姿を保つことはできない。

 理由は、躯体の骨格を成す鉄筋が酸化するから。つまり、さびてしまう。鉄は空気や水に触れることでその表面が酸化し、進むと、最後はボロボロになる。

 鉄筋コンクリート内の鉄がさびると、まずその容積が膨張する。そして周りを覆うコンクリート部分に亀裂を生じさせる。そこから雨水や空気が入り込んで酸化を加速度的に進行させる。

 鉄筋コンクリートの寿命はどれくらいなのか。実は60年から100年超など諸説ある。というのも、まだ世の中には100年以上を経過した鉄筋コンクリート造の建物がほとんど存在しない。

 だから、一応は100年と考えてみよう。そうなると、困ったことがある。大都市に集中するタワーマンションは、今世紀の終わりごろから順次寿命を迎え始める。これはかなり困ったことだ。

 普通の老朽化したマンションなら、取り壊せばいい。だが、技術的にタワマンの取り壊しというのは可能なのだろうか。当たり前だが、日本の厳しい建築基準で建造されたタワマンは、かなり頑丈な造りになっている。その分、取り壊しにも多大なるエネルギーが必要になる。費用も普通のマンションをはるかにしのぐほど高額になるだろう。

 現状、板状型のマンションの撤去費用は総額で戸当たり300万円から500万円あたりを目安としている。高層建築になればなるほど、養生などの諸経費がかさむ。タワマンだと、この3倍くらいはかかってしまう可能性がある。

 その費用を負担するのは、今の法規では区分所有者になる。老朽化したタワマンの区分所有者に、1000万円前後の負担が可能だろうか。そう考えれば、タワマンの出口は深刻だ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。