仙台七夕、開催は?規模は?「早く決めて」

仙台七夕まつり(8月6~8日)の開催可否や規模を巡り、仙台市内の参加団体や観光関係者が気をもんでいる。主催の仙台七夕まつり協賛会は3月、2年ぶりの開催を目指す方針を表明したものの、新型コロナウイルス感染拡大の収束は見通せない。準備の動きは鈍く、開催しても飾りは例年より大きく減る公算が大きい。協賛会は7月2日の役員会で最終判断する。

 共に東北三大祭りに名を連ねる青森ねぶた祭(青森市)、秋田竿燈まつり(秋田市)は中止になった。「仙台七夕も本当に開かれるのか分からない」。鳴海屋紙商事(仙台市若林区)の数井道憲社長がため息をつく。同社は市中心部の七夕飾りの3分の2程度の製作、部材提供に携わってきた。
 今月に入り製作作業が本格化したが、「開催可否や規模がはっきりしないからか受注の動きが例年より4カ月ほど遅く、数は半分以下」という。本社3階の倉庫兼作業場に所狭しと飾りが並ぶ時期だが、まだスペースに余裕がある。
 数井社長は「商店街には東京資本の店舗も増え、2年続けて中止となればまつりへの思いが薄らいでしまう。小規模でも開くことが来年以降につながる」と開催の意義を強調する。
 開催規模は当初、今月11日の協賛会の臨時役員会で決まるはずだったが、新型コロナの変異株が広がる状況などを考慮して延期となった。本番まで1カ月半を切っても詳細が定まらず、市中心部の商店街振興組合のある役員は「開催するのか、しないのか。どんな規模にするか、早くはっきりしてほしい」といら立ちを募らせる。
 市中心部商店街活性化協議会によると、これまで飾りは各店舗が費用を出し、多い商店街では60本程度が掲出されてきた。今年は各振興組合が協賛会からの助成金と合わせた予算内で作ることで、10~15本程度に減る見通しだという。
 コロナ禍の1年で空き店舗が九つ増えた商店街もある。まつりを取り巻く環境は厳しい。同協議会の山崎浩之会長は「仙台七夕は文化的要素が多分にある全国的な祭り。伝統のともしびを絶やしたくない」と力を込める。
 旅行自粛の直撃を受ける宿泊業界も開催に期待する。仙台ホテル総支配人協議会の後藤隆博会長は「宮城県内で感染が拡大した5月の大型連休から、特に売り上げが落ち込んでいる」と話す。総支配人を務める江陽グランドホテル(青葉区)は4、5月の売り上げがコロナ前に比べ5~7割減ったという。
 昨年同様に仙台七夕に合わせた団体旅行客の予約や問い合わせはないが、後藤会長は「伝統的なまつり本来の風情を県内や近県の客に楽しんでもらいたい」と前を向く。