性差別?「温泉むすめ」キャラ設定が物議 運営がサイト修正、後援の観光庁は「対応を検討中」

温泉地から着想を得た少女のキャラクターで地域の活性化を目指す「温泉むすめプロジェクト」がSNS上で物議を醸している。

   発端は、一部キャラクターのプロフィールをめぐり、「性差別」などと批判する声があがったことだった。こうした指摘を受けてか、公式サイト上からはスポンサー企業の名前が削除され、批判を受けたキャラクターのプロフィールが修正された。

地域活性クロスメディアプロジェクト「温泉むすめプロジェクト」(C)温泉むすめ/Enbound, Inc.
変更前の定山渓泉美のプロフィール
変更後の定山渓泉美のプロフィール

地域活性クロスメディアプロジェクト「温泉むすめプロジェクト」(C)温泉むすめ/Enbound, Inc.

  • 地域活性クロスメディアプロジェクト「温泉むすめプロジェクト」(C)温泉むすめ/Enbound, Inc.
  • 変更前の定山渓泉美のプロフィール
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キャラクタープロフィールに疑問の声

   温泉むすめプロジェクトは、エンバウンド(東京都渋谷区)が日本全国の温泉地や地方都市の魅力を国内外に発信することを目的に運営する地域活性化プロジェクトだ。観光庁や大手企業からも後援を得ている。

   プロジェクトでは、温泉地をモチーフとしたキャラクター「温泉むすめ」のアニメや漫画などを活用して、若年層やクールジャパンコンテンツを好む外国人観光客の誘客に取り組んでいる。

   しかし、一部キャラクターの設定をめぐり、ツイッター上で疑問の声が上がった。

   発端は2021年11月15日、10代女性向けのシェルターなどを運営する一般社団法人Colabo代表の仁藤夢乃さんがツイッター上でこう疑問を呈したことだった。

「出張先で『温泉むすめ』のパネルを見て、なんでこんなものを置いているのと思って調べたらひどい。スカートめくりキャラ、夜這いを期待、肉感がありセクシー、ワインを飲む中学生、『癒しの看護』キャラ、セクシーな『大人の女性』に憧れる中学生など。性差別で性搾取」

   この投稿がきっかけで、ツイッター上ではとくに下記の紹介文に疑問の声が寄せられた。

定山渓泉美「可愛い温泉むすめが大好きでいつもスカートめくりをしちゃうイタズラなむすめ。可愛い子ちゃんの情報に詳しく、全温泉むすめのスリーサイズを覚えている」
小野川小町「『今日こそは夜這いがあるかも』とドキドキしてしまい、いつも寝不足気味」
和倉雅奈「隠し切れないぐらいの大人な雰囲気の持ち主で、肉感もありセクシー」

   このほか、高等部という設定でありながら飲酒をたしなむキャラクターがいることなども一部ツイッターユーザーの間から批判を集めた。

批判受け?物議のプロフィールは修正

   ツイッターでは15日、「温泉むすめ」がトレンドに浮上し大きな議論を呼んだ。先述したような一部キャラクターの設定に批判の声が広がる一方で、プロジェクトに参加している温泉地の関係者からは感謝の声も寄せられていた。

   飯坂温泉観光協会は同日、公式ツイッター上で「#温泉むすめありがとう」のハッシュタグを用いてこう述べる。

「#温泉むすめ の #飯坂真尋 ちゃんが大活躍の #飯坂温泉 です。
若い方にも飯坂温泉を知ってもらおうと取り組んで2年半ですが、ファンの方はもちろん、地域の皆さんにも愛されるキャラクターとしてがんばってます。
ぜひ、真尋ちゃんに会いに来てください!」

   このほかにも、温泉地や宿泊関係者を名乗る複数のアカウントから「#温泉むすめありがとう」のハッシュタグを用いたツイートが行われていた。

   このように賛否が広がる中、公式サイト上の一部キャラクター紹介が修正された。

   変更について公式サイト上やツイッターなどでは17日20時時点で告知はされていないが、記者が確認したところ、16日18時までに「スカートめくり」「夜這い」といった文言や、キャラクターの所属学年が削除された。

   例えば、特技がスカートめくりと紹介されていたキャラクター・定山渓泉美については、下記の紹介に改められている。

「可愛い温泉むすめが大好きで、河童伝説からイタズラが好きなむすめ。可愛い子ちゃんの情報に詳しく、全温泉むすめのプロフィールを覚えている」

   なぜ、プロフィールを変更したのか。J-CASTニュースは17日昼、プロジェクトを運営するエンバウンドの広報担当者に取材を申し入れたが、取材については一律で断っているとされ、回答は得られなかった。

後援の観光庁に取材すると…

   温泉むすめプロジェクトのサイトには、後援の大手企業や観光庁の一覧が掲載されていたが、12社あった後援企業や個人サポーターの名前は17日18時までに削除された。現在は観光庁のロゴだけが掲載されている。

   観光庁は2019年6月から同プロジェクトの後援を行っている。今回の件については、どのように受け止めているのか。

   J-CASTニュースは17日、観光庁観光地域振興部の担当者に、観光庁が後援を行った理由、同プロジェクトに「性差別」といった声が寄せられたことへの受け止め、今後の対応などについて取材を申し込んだ。

   観光庁の担当者は同日18時ごろ、エンバウンドをはじめとする関係者と事実確認中であり、現時点では回答できないと述べた。今後については対応を検討中だとしている。