はやぶさ2試料 来春にも歴史塗り替える発表

探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウの試料を地球に持ち帰ってから丸1年経過した6日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は記者会見を開き、試料分析の進捗(しんちょく)状況などについて「来春にも隕石(いんせき)学の歴史を書き換えるような大発見を発表できる見通しだ」などと発表した。

はやぶさ2は昨年12月6日、試料を収めたカプセルをオーストラリア南部の砂漠に着地させた。計画全体を指揮する津田雄一プロジェクトマネージャは「カプセル帰還の瞬間を思い出すと今でも涙が出てくるが、それからあっという間の1年だった」と思いを語り、「試料の分析は順調で、とても面白い成果が出てきそうだ。担当者からは『隕石学の歴史を書き換えてしまう成果だ』と耳打ちされている」と報告した。

試料分析を担当する臼井寛裕(ともひろ)グループ長は「年内に論文を投稿し、審査を経て来春に成果を公表したいと考えている。試料は非常に良好な状態なので、大発見になると期待していただいていいと思う」と話した。

試料は今年6月から本格的な分析が始まり、既に水や有機物を含むことを示す特徴が見つかっていることから、地球の水の起源や生命誕生の謎の解明につながる期待が高まっている。11月末には、総量5・4グラムの約1割に当たる0・5グラムを協力関係にある米航空宇宙局(NASA)に提供。来年6月には、研究の国際公募を開始する計画だ。

試料カプセル投下後のはやぶさ2本体は現在、小惑星「1998KY26」に向けて順調に飛行を続けている。到着は令和13年7月の予定だが、JAXAは会見で、推進に使うイオンエンジンから劣化を示すデータが出始めたと発表。そのため、少ない負荷で推進できる運用方法に切り替えたことを明らかにした。