私立大学の授業料「4年で470万円」…7年連続の値上げに親の悲鳴

受験シーズン到来で、本番に臨む受験生は緊張の連続ですが、その親も「学費はどれくらいになるのか……」とハラハラしているかもしれません。いったい大学の学費はどれくらいになるのか。文部科科学省の最新の調査から、私立大学の場合を中心にみていきます。

【関連記事】【学部別】私立大学「初年度学生納付金等」

私立大学受験…一般入試と大学入学共通テスト利用試験を比べると

大学入学共通テストまで1週間をきり、なにかと落ち着かない家庭も多いことでしょう。先月発表された本年度の志願者数は53万0,367人と、前年比0.9%減。参加大学は708大学(ほか、専門職大学院7大学、短期大学149大学)と前年同数となっています。

【大学入学共通テスト利用大学の推移】

2018年 国立82/公立89/私立526/計697

2019年 国立82/公立90/私立531/計703

2020年 国立82/公立91/私立533/計706

2021年 国立82/公立91/私立533/計706

2022年 国立82/公立93/私立533/計706

出所:独立行政法人大学入試センター(2021年12月7日)

国公立だけが対象だった共通1次試験世代の親からすると信じられないかもしれませんが、私大でも大学入学共通テストの結果で合否が決まる受験方法も少なくありません。たとえば早稲田大学政治経済学部経済学科の「大学入学共通テスト利用入学試験」は、5教科6~7科目800点満点で検定料は2万円と、一般選抜と比べて、1万5,000円も安くなっています。

一般的に大学入学共通テスト利用試験は大学側の負担が少ないことから、検定料は安めの傾向にあります。もちろん合否は点数次第ですが、お金を出す親としては子どもにお勧めしたいところです。

私立大学の学費…4年で平均450万円超え

とにかく、落ち着かない受験シーズンですが、親としては合否以上に気になるかもしれないのが、大学合格後の学費。「できるだけ安い大学に受かって!」というのが本音でしょうか。

文部科学省『私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果』によると、私大の授業料は平均93万0,943円で前年比0.3%増。そこに施設設備費、平均18万0,186円が加算されるので、1年の出費は111万1,129円となります。さらに初年度は入学料、平均24万5,951円が加わり、4年間での出費は469万0,467円となる計算です。

国立大学であれば授業料は53万5,800円、入学料は28万2,000円と、前年と変わらず。施設設備費は大学によって異なりますが、1年間の出費は私立大学に比べて30万~40万円程度少ないイメージです(関連記事:【国立大学・公立大学・私立大学】1975年~2021年「大学授業料の推移」』)。

また私大の場合、学部によって費用は大きく変わります。

初年度の納付金でみてみると、文科平均は118万8,991円、理科系平均は156万6,262円。その差は40万円ほどにもなります。さらに4年では、143万8,898円。非常に大きな差です(関連記事:『【学部別】私立大学「初年度学生納付金等」』)。

どの学部を志望するかは子どもの興味・関心次第ではありますが、「文系ならどこでも」「合格できればどこでも」というケースも多く、「それであれば学費の安いところに」と考える親もいるのではないでしょうか。

私大の初年度の納付金は7年連続上昇。2015年と比べて5万円ほど高くなっています。

【私立大学の初年度学生納付金等の推移】

2013年 143万4,329円(-0.6%) 

2014年 143万4,996円(0.0%)

2015年 143万8,571円(0.2%)

2016年 144万3,967円(0.4%)

2017年 145万5,729円(0.8%)

2018年 146万0,776円(0.3%)

2019年 146万6,530円(0.4%)

2020年 148万0,192円(0.9%)

2021年 148万2,964円(0.2%)

出所:文部科学省『私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果』より

一方、同時期、会社員の給与も前年比プラスを記録していましたが、2019年、2020年と前年比マイナスを記録しています。

【日本の会社員の年収の推移】

2013年 413万6000円(1.4%)

2014年 415.0万円(0.3%)

2015年 420.4万円(1.3%)

2016年 4216万円(0.3%)

2017年 432.2万円(2.5%)

2018年 440.7万円(2.0%)

2019年 436.4万円(-1.0%)

2020年 433.0万円(-0.8%)

出所:国税庁『令和2年民間給与実態統計調査』

コロナ禍で給与アップが望めないなか少しでも出費は減らしたいところですが、大学生の学費は上がり続けている状況……。我が子の進路がどうなるのか、家計面でも気が抜けない日が続きます。