「結い」の家造り始動 地元杉材を活用 南三陸・再建互助会

 宮城県南三陸町の森林を活用して被災者の住宅再建を推進するために発足した「南三陸木の家づくり互助会」が、第1号となる家屋の建築を同町入谷で始めた。「結い」の精神を受け継ぐ新たな相互扶助の実証を目指し、互助会員が施主やプロの大工と作業に励んでいる。
 建築が進むのは、地元の農業松野三枝子さん(60)が農漁家レストランとして営業する「共同食堂松のや」。一部2階で、延べ床面積は約100平方メートルある。
 材料には、松野さんの所有林を含む地元産の杉材を使った。大工2~4人に互助会員の町民らが加わり、ほぼ8人体制で作業している。
 建築法には互助会が推薦する板倉造りを採用した。伝統的な工法で柱と柱の間に厚い板を落とし込んでいく。単純な構造で素人が手伝いやすく、耐震性や断熱性に優れ、安価で工期が短い。今月中旬に着工し、来月下旬に完成する。
 互助会の会員は現在、約25人。互いに技術や労働力、資材などを出し合って住宅の建築を進める。建築費を抑え、住まいの再建を容易にするのが狙い。松野さんの負担は今回、800万円ほどで済む見通しだ。
 松野さんは「皆さんの支えで夢が実現できてうれしい。今後の建築の際には精いっぱい協力したい」と話す。食堂は互助会のモデルハウスとしての役割も担う。
 9月に発足した互助会は、復興期に100~200戸程度を建築しようと、仮設住宅で説明会を開いている。施主側の労力の負担や会員の協力内容をどう均一化し、いかに相互扶助を持続させるかが今後の課題となる。
 互助会の小野寺寛副会長は「地元の森林を被災者の生活再建に有効活用するため賛同者を募っていく。互助会の輪が広がれば地域経済の活性化にも大きく寄与する」と話した。

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Posted by takahashi