新しい株価指数「JPX日経400」は普及するか? 日経平均とどう違う?

日本取引所グループ、東京証券取引所及び日本経済新聞社は11月6日、共同で新たな株価指数を開発したと発表しました。算出・公表の開始は2014年1月6日からの予定です。「JPX日経インデックス400」と名付けられた指標は、投資家にとって魅力のある会社を中心に構成することで、株式市場を活性化することが期待されているのですが、果たしてこの新指標は普及するのでしょうか?
日経平均とTOPIXの違い
 新指標の内容について評価するには、まず既存の株価指数がどのようにして算出されるのかについて知る必要があります。日本には日経平均とTOPIXという二つの主要な指標が存在しますが、両者の算出方法や特性は大きく異なっています。
 日経平均はもともと米国のダウ平均株価を参考に作られたもので、市場を代表する225の優良銘柄に対象を絞り、その株価を単純平均したものです(以前は日経ダウと呼ばれていました)。ただ株式を分割したりすると見かけ上の株価が安くなることがあるので、この部分は連続性を保てるように調整するようになっています。日経平均は、市場を代表する銘柄の連続的な株価の動きを評価するのに最適な指標といえます。このため日本では日経平均が、米国ではダウ平均が、いまだにもっとも有力な株価指数とみなされています。
 一方TOPIXは、東証一部上場のすべての銘柄(約1700)を対象とした平均株価です。ただすべての銘柄を同じ条件で平均してしまうと、時価総額の小さな会社の値動きが指数に過剰に反映されてしまうので、時価総額による調整が行われています。TOPIXは、今現在の市場全体の動きを見るのにふさわしい指標といえます。日経平均とTOPIXは非常によい役割分担が出来ているわけです。
投資家保護が進むとの期待も
 今回新しく開発された指標「JPX日経400」は、基本的にはTOPIXに近い内容といえます。ただすべての銘柄を指標の対象とはせず、毎期の業績、ROE(株主資本利益率)、社外取締役の有無など、投資家にとってプラスとなる条件を満たした400社がその対象となります。
 過去に遡及して作成したチャートでは、新しい指標は2006年からの累積でTOPIXにくらべて6%程度リターンが高くなっています。日本取引所などでは、年金のファンドなどがこの指標をベンチマーク(運用成果を計る基準)とすることで、より高いパフォーマンスを得ることができるとしています。また会社側も、この指標に採用されれば、業績面や投資家に対する責任などを果たしていると評価されやすくなるので、全体として投資家保護が進むとの期待もあります。
 ただ、すでに日経平均とTOPIXという指標が存在しており、両者の役割分担が確立していることを考えると、新しい指標が日本の株式市場を代表する指標になれるのかという点については、あまり期待できないでしょう。
(The Capital Tribune Japan)

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Posted by takahashi