「食べさせてもらえる訳じゃないんだから…」婚活で男性だけでなく、女性も年収や学歴より「外見重視」になった理由

「男性も女性も、相手に求める外見レベルがどんどん上がっている」

 そう語るのはAmebaブログがブレイクし公式トップブロガーにも認定されている仲人Tさん。神戸の結婚相談所「結婚物語。」でチーフアドバイザーを務めています。

 日本の婚活市場を調査しつづけてきた仲人Tさんは、「外見」の重要度が上がっていると指摘します。

 ミスコンを中止する大学なども増える世の中の流れがある一方で、婚活の場では外見が重視されるようになっているとしたらその理由はなぜなのでしょうか。

年収や学歴から、女性も男性の外見を重視するように

「女性が、男性の見た目を以前より気にするようになった」

 これは、結婚相談所で働くスタッフの多くが感じている傾向ではないでしょうか。

 もともと、男性は外見や若さで女性を選ぶ傾向にありました。それは現在もあまり変わっていません。

 しかし、以前は見た目よりも年収や学歴で男性を選ぶ傾向にあった女性陣が、だんだんと「外見重視」に傾いてきたのです。

 これはなぜなのか、時代の流れとともに振り返ってみましょう。

 昭和では、男が稼ぎ、女が家事をするのが一般的でした。例えば昭和60年(1985年)ごろまではまだまだ専業主婦が一般的で、共働き世帯は少なかった。そんな時代では当然「稼ぐ男性」が選ばれてきました。

 婚活に限らず、男女がデートしたら男性が奢るのが当然で、女性は文字通り「食べさせてもらう立場」でした。

 それが平成になると様子が変わってきます。平成12年(西暦2000年)以降になると専業主婦は半分以下になり、働く女性がどんどん増加していきました。それにつれて、社会の構造も男性社会から男女平等の社会へと変わってきます。

「男勝りの女性」が「女を捨てて」「男性より頑張って」やっと出世を手に入れることができた昔と違い、自分を美しく保ちながらバリバリ働いている女性が圧倒的に増えてきたのです。

 そうなると、ある程度稼いでいる女性は「男性に養ってもらう」必要がなくなります。実際に年収400万未満の女性と年収400万以上の女性を比較したとき、年収400万以上の女性陣の方が婚姻率は低いのです。

100人中50番目の女性がトップ3の男性とマッチングしてしまう

 養ってもらわなくてもいいのだから、稼ぎにそこまでこだわらず(もちろんあれば嬉しいが)自分好みの男を選びたい。お金があってもブサイクやおじさんはイヤ。そう考える女性はどんどん増えてきています。結婚相談所でも以前なら「お金持ちなら太っている人でも髪がなくてもOK」「稼いでいれば10歳上でもOK」という女性がちょくちょくいましたが、今は本当に少なくなりました。

 男性が「専業主婦希望は無理、共働きしてね」という意識を持つようになった分、女性も「食べさせてもらえる訳じゃないんだから、イケメンがいい」という発想になってきているのです。

 そして、今は一億総マッチングアプリ時代。

 女性はアプリではいくらでもイケメンと出会えます。男性は結婚を全く考えられない女性とも「付き合うだけ」ならできるし、「Hするだけ」ならもっとできます。そのため、同世代100人の中で人気が50番目くらいの女性と、トップ3の男性が簡単にマッチングしてしまう。

 もちろん、釣り合っていないので50番目の女性はトップ3の男性と結婚はできません。しかし遊ばれた後も「私はトップ3の男性と付き合っていたのだから、そのレベルの男性と結婚できるはず」と思い込むので、どんどん男性の見た目に厳しくなってしまうのです。

 一部の遊んでいる男性がたくさんの女性とマッチングしてしまうため、彼らのコミュ力に慣れてしまった女性陣が、実際には自分と釣り合っている真面目な男性を「ダサい上に会話も下手くそ」「エスコートができない」と切り捨てるシーンを、私は何度も見てきました。

 今まであまり見た目を意識してこなかった、恋愛経験が少ない男性には、非常に辛い時代がやってきているのかも知れません。

SNSやTikTokには美女が溢れている

 ところが、男性ばかりの結婚相談所のスタッフも「女性だけではない。今、男性も相手に求める外見レベルがどんどん上がっている」というのです。

 SNSやTikTokを見れば、いくらでも美女が溢れています。実はその美女は加工アプリの賜物で、実際には存在しません。でも、それに見慣れてしまっている男性は、普通の女性に対して「ブスだな」と感じてしまう。

 また、アプリでは全く釣り合わないような美女にも一応いいねは送れるため、「こんな女性ともチャンスがあるかも」と思ってしまうそうです。必然的に、実際に出会える女性を魅力的に感じることができないんだとか。

 男女どちらも、昔よりも見た目を頑張らないと結婚できない時代になってしまったのかもしれません。

 若い世代はこの流れに敏感で、男性もどんどん美容を取り入れています。

 実際に、うちの結婚相談所でもジムに通う男性は激増していますし、昔なら全くいなかった「エステに毎月通う男性」も少しずつ増えています。

 昔はいくら注意しても「これが自分なので」とかたくなに見た目を変えない婚活男女が多くいらっしゃいました。そういう方に限って「美男美女が申し込みを受けてくれない」とスタッフに怒るので、フォローしていて大変なこともありました。

 しかし、最近は皆さん、服装や髪型についてアドバイスするとすぐに変えてくださることが多いです。苦戦してから婚活用のスーツや洋服を買いに行ったり、苦戦してから美容院に出かけたりするのではなく、最初からちゃんとした服装と髪型でお見合い写真を撮って下さる方が増えているのです。見た目の大事さを分かっている人がどんどん増えてきている、そんな印象も受けます。

 結婚するにあたって、大事なのはもちろん中身です。それに異を唱える人はまずいないでしょう。

 しかし、目の前に2つの箱があったとします。

 1つは綺麗にラッピングされた、素敵なものが入っていそうな箱。もう1つは、埃まみれでボロボロの段ボール箱。どちらが中身を見たくなるでしょうか。

 後者だと、そもそも箱を開けてもらえない、まず中身を見ようと思ってもらえないことすらあると思います。

 さらに、同じ中身が入っていたとしても、綺麗な箱に入っている方がやっぱりよく見える。

 大人しく控え目な人がいた時に、見た目に気を使っていれば「謙虚」「優しい」「穏やか」と言われます、しかし、見た目に気を使っていないと「暗い」と切られて終わってしまう。

 趣味ひとつとってもそうです。例えばアニメキャラのフィギュアを集める趣味があったとしても、イケメンなら「ギャップが面白い」、清潔感のない男性なら「キモい」と言われてしまう。

「じゃあ、ブサイクに生まれたらもう打つ手がないじゃないか!」と思われるかもしれませんが、意外とそうでもないのです。

外見が重視される傾向はますます強まる

 30歳を過ぎたら、皆さん体がたるんできます。毎日10分筋トレをするだけでも体のラインは違ってきますし、今まで本当に何もしていない男性なら、しっかり日焼け止めを塗ってスキンケアをするだけでもかなりお肌は綺麗になります。元気があれば千円くらいのファンデーションやBBクリームをお顔に塗ってみてください。若返った自分の顔にびっくりするかもしれません。

 今まで何となくメイクをしていた女性も、一度ちゃんとプロに習ってみましょう。たった1日で、突然垢抜けた美女になる人もたくさんいらっしゃいます。

 眉カットやパーソナルカラー診断やスタイリストの買い物同行など、昔と違って、世の中にはたった1日で外見をガラッと変えられるハウツーが溢れています。いい時代になったものです。

 外見が重視される傾向は、今後もますます強まるのではないかと思われます。

 でも「じゃあ、生まれつき見た目がいいわけじゃない自分はダメだ……」なんて思わないでくださいね。

 ちょっと頑張るだけで、見違えるように変わる人は本当にたくさんいますから。

(結婚物語。仲人T/Webオリジナル(特集班))