振動利用し発電、情報送信 電源自給型センサー開発 東北特殊鋼と東北大院

東北特殊鋼(宮城県村田町)と東北大大学院環境科学研究科、同工学研究科などは、電源がない環境でも空間中の風邪ウイルスを検知してサーバーなどに送信するセンシングシステムを開発した。新素材の「クラッド鋼板」を活用して、ダクトの振動など未利用の運動エネルギーで発電。ウイルスのほか細菌などの検知にも応用可能で、同社はIoT(モノのインターネット)が進む中、電源を自給できる高感度センサーとして売り込みたい考えだ。

薄型のクラッド鋼板開発

 開発したシステムは、ダクトの内部など、振動がある面にクラッド鋼板を組み込んだ装置を設置。装置に取り付けた無線機は平常時、10秒に1回の間隔で情報を送信するが、装置がウイルスを検知した場合は送信間隔がわずかに長くなる。

 クラッド鋼板には、外から力が加わると電気エネルギーを生み出す「逆磁歪(じわい)」という性質があり、これを活用して情報送信に必要な電力を発電。クラッド鋼板に付けた「抗体」にウイルスが吸着すると、その重量で振動が変化して発電量が減少し、情報送信間隔が長くなる仕組みだ。

 同社は、微細な振動の変化でも認識できるように0・2ミリと薄型のクラッド鋼板を開発した。東北大大学院はクラッド鋼板を使ったセンサー開発と、情報送信回路の設計を担当。センサー開発のうち、抗体に関する研究は山梨大大学院総合研究部が行った。

 同社の江幡貴司取締役常務執行役員は「クラッド鋼板は超微量のウイルスさえも検知する高感度センサーに使える。抗体を変えれば、ウイルスよりも重い細菌やバクテリアも検知できる。提案があれば、他用途にも活用したい」と話す。