近年、住宅にオール電化を採用する家庭が増えている。 オール電化の需要は増加しており、オール電化を採用したマンションも増加傾向にある。 皆さんの中にも、オール電化に対してポジティブな印象を持っている方がいるだろう。 しかし、オール電化はメリットだけではない。 あまり知られていないデメリットも存在し、それが原因でトラブルへと発展するケースもあるのだ。 ここでは実際にオール電化を導入したNさんとYさんの話を通じて、オール電化のデメリットやリスクなどを見ていこう。
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オール電化とは? 値上げによって大打撃?
そもそもオール電化とは調理や給油、空調など、家庭内の熱源を全て電気によってまかなうシステムのことを指す。
キッチンではガスを燃料にしたコンロではなく電気によって稼働するIHヒーター、暖房ではガスや灯油を動力とした暖房機ではなく、電気で稼働する床暖房などが用いられる。
特にIHヒーターは火を使用しないため、安全面に配慮された設計となっており、小さな子供がいる家庭にも人気だ。
こうしたオール電化のメリットとして大きいのは「光熱費を抑えられる」点が挙げられる。
ガス料金や電気料金は周辺地域の使用状況に大きく影響される。特に夜間はガス料金が高くなり、電気料金は安くなる傾向にある。
電気料金がガス料金よりも安くなる時間帯ならば、オール電化のシステムを採用している家庭の方が月々の支払いを抑えられるのだ。
しかし、調理や給油、空調など多くの熱源を電気に頼るため、電気代が高騰すると、その影響はかなり大きい。
特に2022年度の冬は全国的に電気代が高騰し、多くの家庭に影響を与えた。
自宅がオール電化のNさんは、今回の電気代高騰について以下のように振り返った。
「何かの間違いかと思いました。『どこかの電源が付きっぱなしだったのか?』『電気会社の契約が変わった?』などいろいろ考えましたが、原因は昨今の電気代高騰ということで泣き寝入りするしかありません。」
Nさんによると、例年通り生活していたはずが、その電気代は約1万円値上がりしたそうだ。
このように、一見すると利便性に優れたように見えるオール電化にもデメリットが見受けられる。
オール電化で騒音トラブル⁉思わぬデメリットも存在する
オール電化のデメリットが近隣住民とのトラブルにつながる事例もある。
Yさんは自宅にオール電化を採用しており、その日もいつも通りに過ごしていた。
そうした中、突然近隣住民から「あなたの家がうるさすぎる」と苦情が届いた。
「ハッキリ言って何がうるさいのか理解できませんでした。特別大きな声を出しているわけでもなければ、音楽や映画はヘッドフォンを使用してましたから。」
こうしたオール電化が騒音問題へとつながるケースでは、ヒートポンプが原因となることが多い。
オール電化ではヒートポンプという仕組みを用いて、熱を移動させている。
外部の空気を取り込んだ後、それを高温・高圧の空気に変換する。
この温かい空気を用いて暖房や給湯に活用しているのだ。
とはいえ、ヒートポンプ自体が大きな音を出すわけではない。
実際、ヒートポンプから出る音は、住宅街の生活音程度と言われている。
しかし、ヒートポンプは低周波を出している。
ヒートポンプは約12.5Hzの低周波を出しており、人間にとっても微弱な周波数だ。
人間が感じ取れる周波数は20~20,000Hz前後と言われており、誰もが感じとれるような周波数ではないだろう。
一方で、周波数に敏感な人はこの低周波を感じ取ってしまうのだ。
特に冬では部屋を暖かくした状態で寝る人もいるだろう。
そのため、オール電化の家庭では夜間にヒートポンプが活用される。
その結果、低周波音に敏感な人はヒートポンプの低周波によって睡眠を妨げられ、時には不眠症を発症する事例もあるのだ。
しかし、Yさんが騒音を理解できなかったように、低周波を感じ取れる人と感じ取れない人がいる。
これにより、互いの意見が衝突すると、大きなトラブルへと発展する恐れもあるだろう。
Yさんの場合、しっかり近隣住民と話し合った結果、互いに事情を把握し対応することで、大きなトラブルへの発展を避けられたそうだ。
便利な面だけでなく、デメリットにも着目しよう
このようにオール電化にはいくつかのメリットがある反面、リスクやデメリットも存在する。
そのため、どういったリスクやデメリットがあるのかを把握し、あらかじめ対策をする、問題が発生した際には柔軟に対応するなどが重要だ。
電気代高騰への対策としては、とにかく節電が有効である。
必要でない照明はなるべく消灯するようにする、電源をつけっぱなしにしないなど、細かい部分まで注意をはらうと良いだろう。
騒音問題に関しては、ヒートポンプの設置場所に気を使う事が効果的である。
隣の家から遠い場所にヒートポンプを設置する、隣の家に面していない場所にヒートポンプを設置するなどの対策が良いだろう。
オール電化を利用する際には、しっかりとデメリットにも向き合い対策を怠らないようにしよう。