地価公示 東北6県の地価上位地点とポイント解説

青森|上昇住宅地が27地点に増加

 住宅地の平均変動率はマイナス0.3%で23年連続の下落。商業地はマイナス0.6%と31年連続で下がった。上昇した宅地は前年比8増の27地点。区画整理された青森市石江や大型商業施設周辺などで上昇した一方、過疎化が進む地域の下落率が響いた。商業地は横ばい傾向。上昇地点は青森市で増えたものの、県内で計5地点にとどまった。工場地は八戸市の工業団地が好調で、上昇に転じた。

岩手|住宅地が22年ぶりのプラス

 住宅地の平均変動率はプラス0.1%で、22年ぶりに上昇に転じた。利便性が高い盛岡市は1.3%上昇。周辺市町も上がった。一方、土地需要が低迷している山田町など沿岸部や県北は下落した。商業地はマイナス0.9%で30年連続で下がった。盛岡市はJR盛岡駅前でビルへの投資などがあり0.6%上がった。工業地は2.1%と6年連続で前年超え。矢巾町など4地点中3地点で上昇した。

宮城|仙台市と周辺市町村は堅調

 全用途の平均変動率は前年比プラス3.9%で、11年連続で上昇した。仙台市が6.1%、周辺9市町村が4.9%と堅調だったが、残る23市町はマイナス0.8%と8年連続で下落。住宅地はプラス4.0%と11年連続で上昇した。上昇率は富谷市が最も高い9.1%で前年を7.2ポイント上回った。最も下落したのは南三陸町でマイナス3.5%。東日本大震災の沿岸被災地で低迷が続く。

秋田|住宅地の上昇地点が倍増

 住宅地の平均変動率はマイナス0.1%で23年連続の下落。上昇地点が25地点から48地点に増え、下落幅は縮小した。2年連続で上昇した秋田市ではJR秋田駅前や官公庁周辺など中心部の住宅が不足し、仁井田、新屋など他地区に需要が拡大した。商業地はマイナス0.2%で31年連続で下がった。マンション建設が相次ぐ秋田市で3年ぶりに上昇したが、他の市町村では下落傾向が続いた。

山形|全用途、県全体で改善押し上げ

 全用途の平均変動率は0.3%となり、1998年以来25年ぶりに上昇に転じた。これまでは山形市が地価をけん引してきたが、県全体で改善傾向にある。住宅地は山形市周辺の東根、天童、寒河江3市などが需要を維持し、県全体の変動率も2年連続で上昇。商業地はマイナス0.1%と30年連続で下落したものの、下落幅は縮小した。山形市中心部の商業地はマンション需要が下支えしている。

福島|商業地が上昇に転じる

 全用途と住宅地の平均変動率はいずれも前年比プラス0.5%で2年連続で上昇。商業地もプラス0.5%で横ばいから上昇に転じた。住宅地と商業地は、福島市などの主要都市で会津若松市を除いてプラスか横ばい。2019年の台風19号で浸水被害があったいわき市では住宅地の価格に下げ止まりの傾向がみられる。福島国際研究教育機構の立地が決定した浪江町は1.8%上がった。