「燃えないごみ」はないんです 知らないとまずい、仙台のごみ出しルールを探ってみた

 仙台に引っ越してきて最初に戸惑うのが、ごみの出し方ではないでしょうか。「燃えるごみ」「燃えないごみ」という分け方はありませんよ。さらに、4月からはプラスチックごみの回収方法が変わります。市民なら知らないとまずい、ごみ出しのルールについて、仙台市環境局に聞きました。(編集局コンテンツセンター・小沢一成)

視点は「資源になるかならないか」

 「仙台では『燃えるか燃えないか』という考え方ではなく、『資源になるかならないか』という視点で分別しています」。こう話すのは、市家庭ごみ減量課の向井晃之課長です。全国的には「燃える(可燃)ごみ」「燃えない(不燃)ごみ」などと分けている自治体が多数派で「仙台はどちらかというと少数派」だそうです。

 基本的な仙台ルールは①指定のごみ袋に入れる②決められた集積所を使う③収集日の午前8時30分までに出す④資源とごみをきちんと分別する―の四つです。それでは、主な資源とごみの分け方について、チェックしていきましょう。

4月からプラの分別が変わります

 まずは4月に市全域でスタートする「プラスチック資源」の分別についてです。これまでは「プラ」マークが付いた「プラスチック製包装容器」だけが対象でしたが、プラスチック素材100%の製品も同じ赤の指定袋に入れて出すことができるようになります。

 例えばプラスチック製のハンガーやストロー、バケツ、ボウル、レジャーシートなどが新たに対象に加わります。意外かもしれませんが、CDやDVDも「プラスチック資源」という扱いになります。

 プラスチックごみの出し方は以前より分かりやすくなります。鮮魚を入れるような発泡スチロールの箱は「容器包装」のため、これまでも赤い袋でOKでしたが、同じ発泡スチロールでも保冷バッグのような製品は「家庭ごみ」の扱いでした。4月以降は、こうしたプラスチック製品も赤い袋に入れることができます。先行して実証実験に取り組んだ地域の住民には「プラスチックであれば赤い袋に入れていい」と好評だそうです。

 収集日はこれまでの「プラスチック製包装容器」と同じ週1回です。赤い指定袋の表記は順次、「プラスチック資源」に切り替わりますが、今までの指定袋も引き続き使うことができるので、買いだめしていた人も安心です。回収したプラスチックごみは、物流用のパレット(荷台)や固形燃料にリサイクルされます。

缶はつぶさないで

 次は「缶・瓶・ペットボトル、廃乾電池類」です。収集日は週1回で、基本的には集積所にある黄色い回収容器に直接入れます。廃乾電池類と水銀体温計を除いて袋には入れません。缶、瓶、ペットボトルはふたを外し、中を軽くすすぎましょう。ペットボトルはラベルをはがしてつぶしますが、缶はつぶさずに出します。

 フライパンのような金属製品や蛍光管、カセットボンベなども黄色い回収容器に出します。回収容器には缶、瓶、ペットボトルなどの種類別に入れる必要はありません。「混ざっていた方が重さが均一になり、収集車の安全運行上もいい。選別もしやすい」(向井課長)とのことです。

 注意が必要なのがリチウムイオン電池。充電して繰り返し使える電池で、スマートフォンやモバイルバッテリー、加熱式たばこなどに使われていますが、近年、家庭ごみなどに混入し、ごみ収集車の火災につながるケースが全国的に相次いでいます。電池は端子部分にテープを貼って絶縁し、透明な袋に入れて黄色い回収容器に出します。

「雑がみ」って?

 続いて「紙類」の出し方を押さえておきましょう。収集は月2回で①新聞・折り込みチラシ②段ボール③紙パック④雑誌⑤雑がみ―の種類別にまとめ、ひもで十文字に縛って出します。ひもはビニールひもを使えます。

 ところで⑤の「雑がみ」とは一体、どんなものか分かりますか。具体的にはティッシュペーパーや菓子の箱、封筒、トイレットペーパーの芯、包装紙、コピー用紙、カレンダーなどです。①~④以外の紙類と覚えておけばOK。ただし、カーボン紙や感熱紙はリサイクル時に黒ずみ、再生紙の品質低下につながるため、紙類ではなく「家庭ごみ」に出します。

しっかり分ければお財布にも優しい

 ここまで分別してきた「プラスチック資源」「缶・瓶・ペットボトル、廃乾電池類」「紙類」の3種類はリサイクルできる資源です。これ以外が「家庭ごみ」で、緑色の指定袋で出します。収集は週2回です。

 市家庭ごみ減量課の向井課長は「家庭から出る不用品のうち、リサイクルできる物を分別し、取り除いた結果、焼却処分する物が『家庭ごみ』になる」と説明しています。なお、長さ30センチを超える物は「粗大ごみ」として扱われ、戸別に有料で収集を依頼することになります。

 仙台市は2008年10月、家庭ごみなどの有料化を始めました。有料の指定袋による手数料収入は、ごみの減量や処理費用、リサイクル推進のために使われています。指定袋の価格は中サイズ(容量30リットル、10枚入り)で、緑色の家庭ごみ用が270円、赤色のプラスチック資源用が160円となっています。

 向井課長は「ごみ分別の動機付けとして価格を設定しており、赤い袋の方が安い。ごみを減らし、しっかり分ければ、お財布にも優しい」と話しています。物価高騰が続いていますので、家計を助けるためにも、ごみ出しルールに詳しくなりたいですね。(肩書は取材時)