「同窓会」で被災地を応援、震災ボランティア経験者 

 東日本大震災のボランティア経験者が「同窓会」組織をつくり、被災地の復興を応援している。東京では、ボランティア未経験者の不安を解消するため、自分たちの経験を伝える報告会を開催。他の地域でも同窓会が活動し、被災地を外から支援する輪が広がっている。(森本昌彦)
 ◆情報不足を解消
 「秋口は暑さ対策と寒さ対策の両方が必要です。現地の情報をよく仕入れて対策をしてください」「がれき撤去や泥出しは初めてでしたが、長くやっている方から初歩的な説明を事前にしてもらえます」
 東京・飯田橋で2日、東日本大震災のボランティア経験者が自分たちの作業内容や現地の情報を詳しく伝える報告会が開かれた。主催したのは、岩手県遠野市の「遠野まごころネット」でボランティアを行ったOBやOG約30人による「遠野まごころネット・東京報告会」。ボランティアを増やすことを目的に7月15日から開き、この日が9回目の実施だ。
 報告会では、現地でどんなボランティアに従事したかだけではなく、さまざまな説明が行われた。例えば、現地での拠点となる遠野市総合福祉センターの中の様子や、どれぐらいの距離にスーパーやコンビニエンスストアがあるかなどを紹介。ボランティア未経験者が情報不足から不安を感じないよう、現地での様子を事細かく伝えている。
 報告会の開催を呼びかけた鈴木登紀子さんもゴールデンウイークに初めて遠野まごころネットでボランティアを経験。行く前は「情報がなく、どの程度の肉体労働があるのかなど不安なことが多かった」という。
 実際、現地に行ってみると、休憩もきちんと用意されており、不安は解消された。一方で被災地での活動を通じ、人手不足を痛感した。こうして生まれたのがボランティア未経験者の不安を解消するための報告会だった。
 ◆各地でも活動
 報告会には毎回、30~40人が参加。当初は9月2日で終了予定だった。しかし、続けてほしいとの声があり、10月からも月1回ペースで開くことが決まり、ホームページ(http://repo.tonomagokoro-tokyo.info/)で案内している。鈴木さんは「(報告会で話を聞くことで)不安を解消して、ちょっと一歩踏み出してもらえれば」と期待する。
 東京以外にも遠野まごころネットでボランティアを経験した人たちでつくる同窓会が各地にでき、活動を始めている。約50人のメンバーがいる大阪では、10月上旬に東京と同様の報告会を開催する予定だ。幹事の赤塚優作さんは「大阪から被災地を支援する活動をしていきたい」と話す。さらに、メンバーが楽しめる活動を目指しているといい、無理のない範囲での長期的な支援を予定している。
 遠野まごころネットによると、同窓会は東京と大阪以外に札幌、花巻、愛知、福岡にあり、他団体と協力してボランティアをしたり、イベントを開いたりしているという。事務局の吉田慶さんは「(被災地から)帰ってからも何か被災地を支援したいと思っている人が多い。同窓会という形でみんなが集まり、そこから地域ごとに活動を進めていってもらいたい」と期待を寄せている。
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 ■ボランティアの数は減少傾向
 全国社会福祉協議会によると、各市町村に設置された災害ボランティアセンターを通じ、岩手、宮城、福島の東日本大震災による被災3県でボランティア活動をした人(仮集計)は9月4日までで72万2800人に上る。
 週ごとでみると、3月11日の震災発生後から徐々に増え、ゴールデンウイーク中の5月2~8日には5万4100人が参加。その後は減少傾向に入り、8月29日~9月4日の週は1万900人にとどまっている

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Posted by takahashi