空港の地上業務員不足、フライトにも影響 改善策のたたき台示される

コロナ禍による航空業界の不振で、深刻化した働き手不足への対応を議論してきた国土交通省の有識者検討会が11日、人材確保のための具体案を示した。コロナ禍が明けて需要が回復しつつあるなか空港側の受け入れ態勢が整わず、一部で国際線の再開が難航したり、保安検査場が混雑したりしている。待遇改善や資格の効率化などを促すことで正常化を図る。6月中にも対策を取りまとめる予定。 【写真】出向したJAL・ANAの客室乗務員はいま  人手不足が深刻化しているのは、空港で飛行機の誘導や、受け付けなどの地上業務を担うグランドハンドリング(グラハン)の従業員や保安検査員。国交省によると、グラハンの主要61社の従業員数は約2万1600人(昨年12月)と、コロナ前の2019年3月より2割近く減った。中小事業者の平均年収が326万円といった待遇面や、運航本数に左右される勤務環境も要因とされている。  2月から対策を検討してきた国交省の検討会(座長=加藤一誠・慶大商学部教授)はこの日、改善案を明らかにした。航空会社がグラハン事業者に払う受託料の引き上げや、地方自治体からの補助金を促して従業員の処遇改善を図る。また、これまで航空会社の系列で異なっていた従業員の資格を共通化して人材確保を容易にする。こうした対策によって「空港業務の持続的な発展」をめざす。  また、同様に人手が不足している保安検査員の負担軽減と処理能力向上のため、複数の乗客が同時に利用できる「スマートレーン」の導入なども提言された。(角詠之、松本真弥)