若者に広がる「バ畜」 週7でバイトや無理やりシフト 人手不足で…

人手不足を理由とした企業の倒産が、去年の2倍以上になっているというデータが9日、発表されました。そうした中、若者たちの間では「バ畜(ばちく)」という言葉が広がっています。

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9日午前、東京・渋谷のレストランで手際よく作られていたのは、手作りのハンバーグや生姜焼きなどの、作りたてにこだわったお弁当です。

お昼時を迎えましたが、店内にお客さんの姿はありません。実は、人手不足でランチとディナーの営業ができない状況になっているのです。

ルシアン 羽田光広オーナー

「テイクアウトの弁当のみの営業です。とりあえず、生き延びているだけ。儲けがほぼないので、生活がギリギリできるくらい」

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深刻な人手不足で、倒産も相次いでいます。東京商工リサーチは、9日、先月の倒産件数を発表しました。人手不足で倒産した件数は、今年1月から10月までに128件と、去年の2.4倍になっています。

この人手不足のなか、いま、若者たちの間に広がっている言葉が「バ畜」です。

「バイトたくさん入る日とかだと『自分、“バ畜”だな』とか。 『“バ畜”だ。嫌だ〜』とか」

「“バ畜”だよね。何でもかんでも働かされるから」

「バ畜」とは、「社畜」と「バイト」を組み合わせた造語です。「社畜」は、会社のためにがむしゃらに働かされている人を意味しますが、「バ畜」は、そのバイト版。若者の間で広がっているということです。

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どういった時に「バ畜」だと感じるか、学生に聞いてみると――

専門学校生(10代)

「(バイトが週に)5〜6日とか。多い時は(週)7あります」

専門学校生(10代)

「多いですよね。さすがに、ちょっとやりすぎ」

大学生(20代)

「大学の友人が、2つバイト先をかけもちして、週6日で働いているのが、“バ畜”の扱いになるのかなって。友達と遊ぶ約束とかを、バイト優先にしなければいけない時があるのは、つらいって言ってましたね」

週の大半を、バイトに費やす学生たち。仕事内容も過酷なようです。

10代(去年レストランでバイト)

「バイト以上のこと求められる」

「正社員レベルのね」

「そう、正社員レベル」

――どんなことを求められる?

10代(去年レストランでバイト)

「ワンオペとか。出勤したら、『自分はもう1店舗の方に行くから、1人でよろしく』と言われて、『え!?』みたいな」

“働き過ぎ”で体調を崩し、辞めたということです。

別の学生は、居酒屋でバイトをしていますが、以前は、無理やりシフトに入れられることがあったといいます。

専門学校生(居酒屋でバイト) 

「前の店長の時は、無理やりだったんですけど。LINEとかで、しつこく言ってきたりとか」

もとから予定があることを伝えていたといいますが、当時の店長からLINEに「今日、19時から仕事。何やってんの?」とのメッセージが届き、その直後には、電話もかかってきたといいます。

専門学校生(居酒屋でバイト) 

「怖すぎて、泣きました」

なかには、学業に支障が出ている人もいます。

大学生(10代 ケーキ店でバイト)

「私も基本、土日に絶対バイト入れていて、だいたいロング(長時間)のことが多いので。そうなると、日曜日締め切りの課題とかが、終わらなかったりします」

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なぜ、いま、「バ畜」という言葉が広がっているのか?

専門家は――

働き方評論家 千葉商科大学 国際教養学部 常見陽平准教授

「“バ畜”は、実は社会と会社が作り出しているんですよ。“人手不足の連鎖”ですね。人が足りないから辞めてほしくない、もっと働いてほしいことになって」

常見准教授によると、消費者が安く質の高いサービスを求める社会の中で、人件費を削減した結果、アルバイトなどに頼らざるをえない状況が発生しているといいます。バイトが辞めて、人手不足になる悪循環に陥らないためにも、働きやすい環境をつくることが大切だということです。