オリーブオイルの「エキストラバージン」は「偽物」ばかり スーパー陳列の8~9割は国際規格に合っていない

健康志向から需要が拡大しているオリーブオイル。なかでも、生の実から油分だけを搾り取った「バージンオリーブオイル」の最高品質、「エキストラバージンオリーブオイル」は大人気だ。
ところが、最近は世界規模でエキストラバージンオリーブオイルの偽装がまん延しているそうなのだ。
健康と美容、老化防止にも「効果もたらす」と人気
オリーブオイルは、美容や健康にも効果があるとされ、料理時の調理油としての用途のほか、調味料として肉料理やサラダにかけたり、パンにつけたり、さらには女性用の基礎化粧品や洗顔石鹸にも使われているという。
ひと口にオリーブオイルといっても、さまざまな「品質レベル」があって、なかでも最高品質のオリーブオイル、「エキストラバージンオリーブオイル」には高い抗酸化作用があり、動脈硬化や心筋梗塞の予防効果も期待されている。
オリーブオイルの成分は7~8割がオレイン酸で、エキストラバージンに限っては、さらにポリフェノール類やビタミンEなどが抗酸化作用をもっているので、老化防止や美容効果をもたらす、とされる。
そんなエキストラバージンオリーブオイルの判断基準は、欧州などの主要な生産国が加盟する国際オリーブ協会(IOC)によって定められていて、この基準に則って世界共通で品質分けができるようになっている。
「エキストラバージン」は、オリーブの実だけを原料に使用していること、機械的作業のみによってつくられていること(精製されていないこと)、酸度(遊離脂肪酸の割合)が100gあたり0.8gを超えないもの(酸化していないこと)、風味に悪臭などの欠陥がひとつもないこと――の4点を満たしたオリーブオイルで、化学検査とテイスティングによる官能試験を経て、酸敗臭や発酵臭などがまったくないものをいう。
偽装オリーブオイルの多くは、低級の植物油に植物エキスで香りや色づけしたり、瓶などに規格基準の違うラベルを貼ったり、架空の生産者の名前やそれらしいブランド名をつけたりといった手口で販売。とくに高値がつくエキストラバージンオリーブオイルでは、安物のオイルから不快な味とにおいを取り除き、わからないように精製加工する方法がまん延しているそうだ。
「本物」のエキストラバージンオリーブオイルであれば、健康や美容での効果や老化防止の効果も期待できるが、偽物となるとそういった恩恵はほとんどない。
「おいしいのですが日持ちもしませんし数に限りがあります」
そんな「エキストラバージンオリーブオイル」だが、関係者によると「国内のスーパーなどに出回っている8~9割は『エキストラバージン』とは言えません」という。
オリーブオイルの研究や啓蒙・普及活動を行う、日本オリーブオイルソムリエ協会で年1回開催する品評会、「国際オリーブオイルコンテスト」(2014年は世界21カ国から400品目が応募)でも、全出品の約35%が「エキストラバージン」と表記されていても規格を満たしていなかった。
同協会は、「エキストラバージンは、いわばフレッシュジュースと同じ状態です。オレンジジュースで考えていただくとわかりやすいと思いますが、果汁100%といっても濃縮還元のジュースがあるように、工程によって異なります。エキストラバージンは生の搾りたてですから、おいしいのですが日持ちもしませんし数に限りがあります」と説明する。
そもそも、オリーブの収穫量によっても毎年の生産量が変わってくる。本来であれば、なかなかコンスタントに販売できる商品ではないが、それが世界中で人気となり売れている。どこかで品不足になっていてもおかしくないのに、だ。
同協会は「エキストラバージンの偽装は以前、米国でも問題視されました。いまや世界的なことです」と話している。
ちなみに、日本には国際的な品質規格である「エキストラバージン」規格の法規定そのものがないため、偽エキストラバージンオリーブオイルが出回っても、「品質偽装」には当たらないそうだ。

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Posted by takahashi