売れぬ中古車業界苦境 エコカー優遇かすむ割安感 東北

 環境対応車(エコカー)ブームで、東北の中古車販売店が苦境に陥っている。エコカー購入に対する政府の減税と補助金=?=により、中古車の割安感がかすみ続けているためだ。特に走行年数が少ない車は新車との価格差がぐぐっと詰まり、買い入れを手控える販売店も出始めた。9月で終了予定の補助金が仮に延長されれば死活問題になりかねず、「延長するなら、エコ中古車にも減税だけでなく補助金制度を創設してほしい」との切実な声が上がっている。(報道部・狭間優作)
<前年度比8.4%減に>
 「中古車で我慢。そんな消費者心理が新車に対するエコカー購入支援策で冷え込んでいる。こちらとしても、中古車の割安感を訴えづらい」と言うのは仙台トヨペット(仙台市宮城野区)。同社の2009年度の中古車販売台数は前年度比14.6%減で、新車を含めた販売全体の足かせとなっているという。
 日本自動車販売協会連合会(自販連)のまとめでは、09年度の全国の中古車販売台数(軽自動車を除く)は394万7289台で前年度比7.5%減。400万台割れは1978年の統計開始以来、初めてだった。
 東北に限ると、09年度の販売は33万2016台。前年度比8.4%減で、全国平均よりやや落ち込みが大きかった。
<2年未満物「敬遠」>
 エコカー購入支援策の影響を最も受けているのが、走行2年未満の比較的新しい車だ。中古車販売専門のカーチス仙台(仙台市泉区)では、約25万円あった新車との価格差が約10万円まで縮まったエコカー車種もある。
 「在庫調整するしかない」と、同社は2年未満物の買い入れを控えている。売り上げを伸ばすため「割安感のある4~5年物の展示を手厚くしている」と明かす。
 別の仙台市内の販売店も「2年未満物は売れない。どこの販売店も手を出したくないのではないか」と嘆く。
 下取り価格にも変化が起きている。「2年物未満の下取りは平均して5万~10万円ほどダウンしている」。中古車情報誌の東北版を発行するプロトコーポレーション仙台支社は現状をこう説明する。
 エコカー減税は2012年春まで続くものの、補助金は9月末で終了する予定。業界は「制度打ち切りで中古車の割安感が戻ってほしい」(宮城県中古自動車販売商工組合)と期待する。
<不安ぬぐいきれず>
 だが、二酸化炭素(CO2)の大幅削減は政府の国際公約。「補助延長どころか拡大の恐れすらある」。仙台市内の販売店の売り場責任者が言うように、業界は不安をぬぐいきれないでいる。
 今後はエコカーの中古車の増加も予想されるだけに、仙台市内の販売店は「中古車に対する支援策も手厚くしてもらわないと、業界は厳しくなる一方だ」と訴えている。
[エコカー購入に対する減税と補助金] 新車購入の場合、電気自動車とハイブリッドカーは自動車重量税、取得税を全額免除。基準を満たすガソリン車は燃費などに応じて両税を軽減する。補助金は新車登録後13年以上の中古車の廃車を伴うと最大25万円で、13年未満のケースなどは10万円。中古車購入の場合は重量、取得両税の軽減のみ。減税は2012年春、補助金は10年9月末で終了予定。

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Posted by takahashi