不況「上場どころでは…」 新規、2年連続実質ゼロ 東北

東北の新規上場企業数が2009、10年の2年連続で実質ゼロに終わった。不況で企業業績が伸び悩んでいるほか、株価低迷で上場メリットが薄れていることなどが要因とみられる。経営環境の好転は当面見込めず「東北の企業はそれどころではないのが実情」などとの指摘もあり、11年も同じような状況が続きそうだ。
 東北財務局によると、東北の新規上場企業数は10年がゼロ。09年は東証1部上場だった荘内銀行(鶴岡市)が北都銀行(秋田市)と経営統合し、共同持ち株会社フィデアホールディングス(仙台市)が上場した1件だけだった。
 実質的な新規上場は08年11月、機械の精密洗浄などを手掛けるアサカ理研(郡山市)がジャスダックに上場して以降、ないのが実情だ。
 東北の上場企業数全体もグラフのように減少傾向にある。
 10年はジャスダック上場のモバイル通信機器製造販売ネットインデックスが本社を東京から花巻市に移した。だが東証1部上場の東北ミサワホームと東証2部上場の工作機械製造ミヤノ(福島県矢吹町)の2社が、それぞれ親会社による完全子会社化に伴い上場を廃止。東北の上場企業は09年より1社減った。
 新規上場が冷え込む背景として、東北の証券関係者は「株価低迷で資金がなかなか集まらず、新規上場に伴う創業者利得も見込みにくい」と状況を説明。金融機関の貸出金利低下もあり「株主への配当金を考えると、銀行から資金調達した方が安く済む企業もあるだろう」と指摘する。
 11年は仙台銀行との経営統合を目指す東証2部上場のきらやか銀行(山形市)が統合に伴って上場を廃止し、新設する両行の持ち株会社が上場する見通し。実質的な新規上場について、帝国データバンク仙台支店は「厳しい経営環境で業績が伸びず、上場どころではない企業が多い。ことしも東北ではゼロに終わる可能性が高い」とみる。

ニュース

Posted by takahashi