山根会長だけではない ボクシング連盟に巣くう“女帝”の正体

日本ボクシング連盟の問題は山根明会長(78)が批判の矢面に立たされているが、告発した「日本ボクシングを再興する会」の関係者は、「山根会長の退任は当然のこととして、それだけで済みません。問題の人物はまだいる」と言う。

そもそも今回、都道府県連盟幹部ら333人が関係機関に提出した告発状は、助成金の不正流用がきっかけだ。

2016年リオデジャネイロ五輪代表の成松大介選手(28=自衛隊)に対して、日本スポーツ振興センター(JSC)が交付した240万円の助成金が連盟の指示で3等分され、別の2選手にも渡されていた。

一連の疑惑を全面否定している山根会長は、この助成金に関してだけは「私の指示で3等分した」と認め、「ルール違反と知らなかった」と釈明しているが、告発人が問題視しているのは、この不正流用に関して連盟幹部が隠蔽工作を図ったことである。

「問題が露見しそうになるや、連盟幹部が成松選手を東京事務所に呼び出して、『会長の命令って言うとおかしくなっちゃう』『3人のうち誰って絞れなかったから来たんだと、だから2人に分けてやったと言ってくれるとうれしいなという感じ』『あなたの気持ちでやってくれたのならばマルなのよ』『会長の命令でやったってなると、会長が絡んでくるから』『成松君に来たものは成松君が誰に使ってもいいのよ。女に全部やってもいいのよ』などと言って隠蔽を図ったのです。この隠蔽工作を主導したのが、連盟の内海祥子常務理事です」(再興する会の関係者)

■預金通帳に記された証拠

くだんの不正流用が問題視されると、内海理事は成松選手に電話をかけ、別の2選手に渡った助成金160万円を“あなたに返す”と一方的に告げ、成松選手の戸惑いをよそに、翌日には銀行口座に160万円を振り込んだ。それをラインで連絡してくると、<心配かけてごめんね><160万円は、会長が出してくださいました>と幕引きを図ろうとしたというのだ。

告発状には、東京事務所やラインでのやりとりが克明に記され、内海理事からの振り込みが確認できる預金通帳も証拠として示されている。

そのうえで、「不正流用に関わる160万円を成松氏の口座に振り込むことにより、本件不正流用自体の隠蔽を図った」と断じている。

■第三者委設置を発表も…

12の告発事実が記されている告発状には、助成金の不正流用だけではなく、他の問題についても内海理事の名前が登場している。日本ボクシング連盟の女子ボクシング委員会副委員長も兼ねる内海理事は山根会長の側近中の側近といわれ、助成金の隠蔽工作疑惑に関する一連の言動を見れば分かるように、ドンの手足となって動き、また、必死に守ろうとしている様子がうかがえる。

再興する会の関係者は、「内海理事は連盟の金庫番的役割も担い、そういう意味でも山根会長と極めて近しい間柄。内海理事のバックに山根会長の威光を見るボクシング関係者は多く、一部では『女帝』とも呼ばれた。彼女を筆頭とする連盟幹部に数多くいる忖度族の存在が山根会長を増長させ、それが連盟のコンプライアンスを機能不全に陥らせた大きな原因」と見ている。

日本ボクシング連盟は6日、JOCなどからの要請を受けて、告発された事案を調査する第三者委員会を設置すると発表した。JOCなどは、執行部から独立した中立的なメンバーを公表したうえで、9月28日までに調査結果と組織運営について文書での報告を求めているが、多くの幹部が山根恐怖支配体制を支えてきただけに、第三者委員会の人選を含めて厳しい監視の目が必要だ。