北海道地震を予測した東大教授が予測する「今、危険なエリア」

気象庁の統計が始まった1923年以降、北海道内陸部で起きた地震はわずか8回。政府の地震調査委員会が予測していなかった“想定外”の大地震が起きた。しかし、発生の約1か月前に「北海道胆振(いぶり)地方」と地名まで的中させ、再三警告を出していた人物がいる。それが東京大学名誉教授でJESEA(地震科学探査機構)会長の村井俊治氏(78才)だ。

村井氏は1999年に「第3回国連宇宙会議」で議長を務め、2013年には日本測量協会の会長に就任している“測量学”の世界的権威である。JESEAではその測量学を応用して地震を予測し、「週刊MEGA地震予測」というメールマガジンを毎週配信している。

村井氏が行う「MEGA地震予測」とは、国土地理院が全国約1300か所に配置する「電子基準点」のGPSデータを用いた地震の予測方法。地表は絶えず動いており、それが短期・長期的に見て上下や水平方向にどれくらい動いているかを分析。過去に起こった地震前の変動と比較して、地震の「前兆」を察知する。

「胆振地方は今年6月頃から、地表の沈降が目立っていました。これまでの研究でわかってきたことは、沈降が長く続くのは危険のシグナルで、その後に大地震がくることが多い。なので、7月下旬からメルマガで注意を喚起していました」(村井氏)

そこで本誌・女性セブンはJESEA協力のもと、「MEGA地震予測MAP」を作成。今年2月下旬からの約半年間で、地表に5cm以上の高さ変動があった地域をもとに、村井氏が予測した警戒ゾーンを記した。その中でも特に大地震が発生する危険性の高いエリアを紹介していこう。

◆地盤の緩い東京の震度は非常に高い

村井氏が“今最も危険なエリア”として挙げたのは、東京・神奈川・静岡東部を含めた首都圏と東海。静岡県の「御前崎」や「伊豆諸島」に見たことのない「異常な地表変動」が、つい最近起こったという。

「2011年の東日本大震災以来、日本列島は全体的に“南東向き”に地表が移動していましたが、静岡県東部をはじめとする日本の南側、つまり『南海トラフ』に並行する一帯だけは“北西向き”に移動していました。この一帯は日本列島全体の動きに逆らっていて、互いに押し合った状態で均衡していたわけです。しかし、8月下旬にその均衡が突如崩れました。列島の南東方向への移動が突然消え、南海トラフに平行な陸域の一帯が大きく北西方向に移動し始めたのです。この7年間で初めてのことであり、最初は目を疑いました。これまでに例のない“異常な水平変動”が起きています。

また、御前崎や伊豆のあたりでは長期的な沈降が見られ、周辺地域との境にひずみがたまっていると考えられます。さらに、三宅島の変動も大きいので、火山性の地震が発生する可能性もある。伊豆周辺で地震が発生すると、地盤の緩い東京の震度は非常に高くなります。よって、静岡県東部から関東にかけてのエリアが最も警戒が必要です」(村井氏)

首都圏で地震が発生すれば、ビルの倒壊、密集する住宅地で火災が相次ぐことが予想される。東京・神奈川・静岡は東海道新幹線の通り道であり、交通マヒも必至。埋立地では液状化現象が起こる可能性もあり、その被害は計り知れない。

次に危険度が高いのは、「徳島県を中心とした四国」と「紀伊半島」だ。

「高知県の足摺岬や室戸岬、紀伊半島の潮岬のあたりは、8月下旬から静岡県南部と同じように、大きく北西方向に動いています。徳島県は特に、過去半年間で『1週間のうちに5cm以上の地表の高さ変動』も多数起きていますから、四国の中でも特に危険だと思われます」(村井氏)

徳島や紀伊半島で地震が起きれば、隣接する大阪や兵庫の都市部を地震や津波が襲う可能性もある。

福井や富山、新潟といったエリアでも、1週間の地表の高さ変動が5cm以上の地点が多数見られる。石川や福井の日本海側では沈降も見られるので、北信越エリアは警戒が必要だ。

「九州北部では小地震が起きていて、2016年の熊本地震の影響がまだ続いていると考えられます。九州エリアで特に警戒が必要なのは宮崎県。県全体の約4分の3が沈降しています」(村井氏)

地震大国・日本は、常に大地震の危険と隣り合わせ。どこに住んでいても、心の備えが必要だ。

【MAPの見方】
地図中では、今年2月24日~8月18日の間に、要警戒とされる「1週間で5cm以上の地表の上下動」があった地点を示した。それに加え、地表の長期的な「隆起・沈降」と、地表が東西南北のどの方向に動いているかの「水平方向の動き」を分析し、過去の地震の前兆現象と比較した上で「震度5以上の地震が発生する可能性があるエリア」を警戒ゾーンとしている。

※女性セブン2018年9月27日号