分譲マンション、廃虚化2条件と起死回生策 管理組合が“命綱”

すべてのマンションは、そのうち取り壊されるか廃虚になる。これは平凡だが真実に違いない。鉄筋コンクリート造の建物は100年の耐用性があると言われている。今のところ、それを否定する根拠は見つからない。

現在築30年のものならあと70年住めることになる。普通の大人なら「生きているうちは大丈夫」だと思う。しかし、実のところそれだけでは安心できない。

100年持つだろうというのは、「適切なメンテナンスを施すなら」ということが前提である。それができなければ、100年を待たずして打ち捨てられた廃虚のようになるかもしれない。

私は、分譲マンションが廃虚化するには鉄筋コンクリートの寿命よりも重要な、2つの要素が結合しなければならないと考えている。

まず、資産価値が喪失する。つまり、中古として買い手がつかない状態になる。あるいは、買い手が現れても100万円や200万円という額でしか売れなくなる。

こうなると、管理費や修繕積立金の滞納が頻発するようになる。資産価値のない物件に対して維持費を払うモチベーションは急速に失われるからだ。

仮に300万円から400万円程度の額で売買が成立する物件なら、管理滞納者には競売などの法的手段を取っても、競落後に訴訟や弁護士の費用などは捻出できる。

管理費の滞納が頻発すると、管理組合にお金がなくなる。その結果、業務委託先の管理会社への支払いが滞る。すると、業務委託契約を打ち切られる。最近は管理会社も人手不足だから、問題のある管理組合だと、即効で切られる。

管理会社が逃げてしまい、新たな引き受け手が見つからないと、いよいよ第2段階だ。これが管理不能。マンションにとって必要な管理業務が行われなくなる。

例えばエレベーターは定期点検ができなければ使えなくなる。受水槽は清掃していないと蛇口から汚れた水が出てくる。共用部分の電気代が払えないと、オートロックが作動しなくなる。こうなれば、もう廃虚は目の前だろう。

鉄筋コンクリートは大丈夫であったとしても、まず資産価値が喪失し、次に管理不能に陥れば、マンションは廃虚化への軌道を進む。

現在、新潟県の湯沢町では約30年前に建てられたリゾートマンションの、かなり多くの物件において資産価値が喪失している。しかし、まだ管理不能の状態には陥っていない。管理組合が、管理費などの滞納者に対して厳しく督促したり競売に掛けたりして、管理不能を防ごうと活動しているからだ。

中には管理規約で民泊を認めた管理組合もある。民泊で収益が生まれることが分かれば、喪失された資産価値を呼び戻せるかもしれない。

そういう活動を見ていると、やはりマンションは管理組合がしっかりすれば寿命が延びるのだと実感する。最後は人間次第だ。

■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。