日本大学水泳部、ひた隠す校内での首吊り自殺と薬物疑惑

日大の不祥事が止まらない。5月のアメフト部・悪質タックル事件、8月のチアリーディング・パワハラ被害に続き、今度は水泳部の暴力事件が発覚した。諸問題は今年に入って一気に噴出したかのようだが、実は日大では2年前に学生の命にかかわる大事件が起きていた。しかもその事件は未解決のままだ。

「暴力事件が発覚したことは謝罪したい。申し訳ありませんでした」

強烈なシャッターを浴びて深々と頭を下げる男性。9月26日、日本大学水泳部の上野広治監督(59才)が都内の寮で記者会見し、『週刊文春』(10月4日号)が報じた、水泳部内の“パワハラ”行為を認めた。

上野監督によると、9月上旬に練習会場で居眠りした2年生の男子部員に対し、3年生の男子部員が注意するとともに暴行を加え、被害者の左腕にあざができた。この3年生部員は、昨年5月にも同じ2年生部員の腹部を殴り、部内で厳重注意を受けていた。

今回、上野監督は、指導者が誠実に対応せず問題が長期化したアメフト部とは異なり、迅速に謝罪した。その背景には「裏事情」があるとスポーツ紙記者が指摘する。

「日大水泳部はバルセロナ五輪・金メダリストの岩崎恭子も在籍した名門です。来春には東京五輪での大活躍が期待される池江璃花子選手(18才)の進学が確実視されており、上野監督は不祥事を長引かせたくない一心で謝罪に踏み切り、早期の幕引きを図ったのでしょう」

だが、監督が謝罪しても一件落着とはいかず、火種はくすぶる。最近、日大水泳部の関係者の間では、「ある事件」の話で持ち切りだという。日大水泳部OBが声をひそめて打ち明ける。

「水泳部の部員による暴力事件が明らかになり、OBの間では2年前の“あのこと”が再び話題になり始めています。実は2年前の夏、日大水泳部の部室で当時1年生の部員が首つり自殺をしました。これは世間には公表されていませんが、釈然としないことも多い。一連の日大に関する不祥事の中で、『ちゃんと調査をすべきではないか?』という声もあがっています」

関係者の話をまとめると、2016年7月に当時1年生だったAくんは、東京都目黒区にある日大水泳部の部室内で自ら命を絶ったという。

「遺書はありませんでしたが、Aくんの死は自殺であり、事件性がないと警察は判断しました。入部3か月での突発的な死に、いじめなど部内でのトラブルが原因ではないかと疑われましたが、日大の体育会系部活を統括する体育局は寮生を聴取し、『多少のからかいはあったが問題ないレベル』だったと結論づけました」(日大関係者)

Aくんが命を絶った翌日も水泳部は休むことなく練習を行った。大学側が「いじめはない」と判断したため、部としての責任は問われなかった。

だがAくんを知る関係者は、部内に「問題」があったのではないかと指摘する。

「入部後、寮で生活するようになったAくんは、『水泳部は思ったより大変だ』と漏らしていました。もちろん強豪大学なので厳しい練習は覚悟していたでしょうが、練習以外の面で躓きがあったようです。現に彼は、『この部の雰囲気になじめない』と漏らしていた」(Aくんを知る関係者)

◆シンナー、マリファナ 違法薬物の使用疑惑

実際、日大水泳部ではAくんの自殺のほかにも、不審な出来事が多発していた。

「部員は基本的に寮生活ですが、正月や春先は部員が実家に帰省するなどで寮が空になります。その時期に部員の水着が盗まれる事件が何度も起きましたが、犯人はいまだに見つかっていません。何度目かの盗難後、寮内には監視カメラが設置されました」(前出・日大水泳部OB)

部員同士の“不穏すぎるやりとり”も見られている。日大水泳部の部員は、グループLINEを作って連絡を取り合うことがあるという。Aくんの死後、ある学年のグループLINE上で、違法薬物の名前が飛び交った。

「複数の部員が、『シンナー』『マリファナ』などの名を出していたLINEが流出したんです。しかも、『〇〇もシンナー思いっきり吸っていた』『〇〇がマリファナを吸っている』など、部員の実名をあげた具体的な内容でした。LINEを知ったOBらが、大学側に伝えたそうで、調査が行われたはずです」(前出・日大水泳部OB)

多発する問題に、「部内の風紀は大丈夫か?」と心配の声をあげる関係者は多い。もちろん、Aくんの自殺と部を取り巻く環境に因果関係があるかどうかは不明だ。

「大学側はAくんのいじめについて、“多少のからかいはあったが、問題ないレベル”としています。ただし、どの程度の“からかい”があったのかは一切明らかにしていません。この対応を聞いて、“またか”と残念に思った関係者も多い」(前出・日大関係者)

2013年に日大では、ボート部の3年生男子部員が合宿所で首つり自殺をしている。日大ボート部は全国大会で何度も優勝した強豪であり、死亡した部員は副主将を務めていた。

この時も「部内でトラブルがあった」と部員が自殺前に漏らしたとの情報があり、大学側がいじめの有無を調査した。その結果、大学側は「からかったり、ちょっかいを出す“いじり”はあったが、許容される限度を超える“いじめ”はなかった」と判断し、自殺の動機や原因は「不明」と結論づけた。

それから3年後、再び悲劇が繰り返された。別の日大水泳部OBが言う。

「Aくんの遺族は大学側に調査結果の詳細を開示するようにお願いしたそうですが、それはいまだに叶っていないと聞いています。OBの中には、こうした大学側の対応に不信感を抱き、『Aくんの自殺や薬物使用疑惑について』スポーツ庁に投書した人がいます」

Aくんの実家を訪れると、母親が言葉少なに「息子の件については何も話すことはありません。すみません…」と語るのみだった。

日大にAくんの自殺の調査結果と、部員たちの薬物使用疑惑について尋ねた。

「(調査結果については)本人及び家族のプライバシーのため、詳細についてはお答えを差し控えます。(薬物使用は)調査の結果、使用事実は認められませんでした」(企画広報部)

冒頭のパワハラ謝罪会見で上野監督はこう語った。

「今後、“日大を目指して(保護者が)私に預ける”というお子さんのことは裏切りたくない」

大学スポーツの現場では、選手を鍛え、輝かしい成績を残すことばかりが重要視され、選手を守ることが軽視されてはいないか。上野監督のこの言葉が空虚なものにならないよう切に願う。

※女性セブン2018年10月18日号