【寿命を延ばす“食と成分”大研究】手のひらを30分日光浴でビタミンD活性化

生活習慣病などの病気を防いで健康寿命を延ばすためには、バランスのよい食事が不可欠だ。スーパーの店頭には山ほど食材が並ぶ。最近では外食のメニューにも成分表示などが増えたが、さてどれを食べたらよいのか。現代人に不足しがちで本当に体が必要とする成分について9回にわたり専門医の話を聞く。

元気な長生きを実現するには、足腰がしっかりしていることが大切だ。それを阻む要因のひとつに骨粗鬆(こつそしょう)症がある。骨密度の減少で骨がもろくなり、転倒骨折を起こしやすく寝たきりにつながる。患者数は推定約1300万人。骨を維持するにはカルシウムが不可欠。ここまではよく知られている。乳製品や大豆製品、小魚や緑黄色野菜などカルシウムをたっぷり含む食材を食べている人もいるだろう。そのカルシウムが体内で吸収されて骨になるためには、ビタミンDが欠かせないのだ。

抗加齢医学の臨床研究を長年行っている東海大学医学部付属東京病院の西崎泰弘病院長が指摘する。

「2006年から抗加齢ドックを開設したところ、健康意識の高い方が数多く受診しています。ところが、検査数値ではビタミンDが不足している人が意外にも多いのです」

ビタミンDを多く含む食材は、サケ、マグロ、サバ、キノコ、牛レバー、チーズ、卵黄などいろいろある。とくにサバ缶は、高血圧・血糖値の改善などで大ブームとなっているため、すでに多用している人もいるはず。健康意識の高い人は、カルシウムの吸収にビタミンDが必要なことをすでに理解しているかもしれない。そんな人たちでさえ、体内でビタミンDが足りていないことがあるという。

「食べる量よりも、体内で上手くビタミンDを作ることができていない方が多いと感じます。ビタミンDが活性化して、カルシウムの吸収に役立つようにするには、日光に当たる必要があるのです。食事でビタミンDを含む食材を食べても、日光に当たる時間が少ないことが、不足しがちな要因のひとつと考えられます」

日中、室内で仕事や家事などを行っていると、日光に当たらないこともある。今年の夏のように暑いときは、外出時にもなるべく直射日光に当たらないように日傘や帽子、日焼け止めなどで防備するのが普通だ。日光の紫外線に当たり過ぎると、皮膚がんなどの発症リスクを高める。確かに日光の当たり過ぎはよくないが、避けすぎると、逆にビタミンD不足を招くのである。

「日焼け止めをつけている群とそうでない群では、前者の方が血中のビタミンD濃度が低かったとの研究報告があります。日焼けは避けたいですが、例えば手のひらで日光を10~15分浴びるだけでも、ビタミンDは活性化します。カルシウムやビタミンDを含む食材を食べた上で、少し日を浴びることを考えましょう」

日照時間が短い冬場は、手のひらで30分~1時間程度、日光を浴びた方がよいそうだ。

さらに、骨を丈夫にするには運動も欠かせない。早歩きを1日30分以上。必要な成分を補いながら、ビタミンDを活性化し、体内でそれを活かすような習慣を身につけよう。(安達純子)