韓国・文政権の目に余る「背信行為」で米韓に亀裂

北朝鮮への対応をめぐり、米国と韓国の間の食い違いがますます深まりつつある。背後には、米国のトランプ保守政権と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)リベラル政権との基本的な世界観のズレが存在する。そのズレには、韓国政府の日本に対する感情的な態度への対応も含まれているようだ。

ポンペオ米国務長官が文政権に警告

米韓両政府のこの食い違いは、トランプ政権のマイク・ポンペオ国務長官の11月20日の発言でも明らかにされた。同長官は国務省での記者会見で、韓国政府に次のような警告を発した。

「米国政府は、北朝鮮が核兵器を破棄せずに韓国との関係改善による恩恵を享受し始めたことに懸念を抱いている」

「米国政府は韓国に対して、朝鮮半島の平和実現と北朝鮮の非核化が、南北朝鮮接近よりも遅れないよう、再三念を押し、求めている」

「北朝鮮の対韓関係改善による経済利益の取得と完全核廃棄への前進は、同時に進むことが欠かせない。米国はそのように考えて韓国側に告げている」

ポンペオ長官の以上の言明は、明らかに韓国の文在寅政権に対する苦情と警告だった。

文政権は最近、南北朝鮮を通る鉄道やパイプラインの開通を提唱し、韓国主要企業による北朝鮮への投資などを論じるようになった。トランプ政権はそうした韓国の姿勢に警戒を強めている。米国政府が北朝鮮の核兵器完全廃棄を求めてきたにもかかわらず、文在寅大統領はそれを無視し、北朝鮮が求める韓国との軍事緊張緩和、経済交流開始を進めてしまうのではないかという警戒である。

米韓を離反させたい北朝鮮

ポンペオ国務長官は2018年8月、腹心のスティーブ・ビーガン氏を北朝鮮担当の特使に任命した。ビーガン氏は同10月にポンペオ長官とともに北朝鮮を訪問したが、その後は北朝鮮側と接触することに成功していない。北朝鮮が連絡の窓口を閉ざしているからである。

北朝鮮はその一方で、韓国の文政権との距離はひたすら縮め、韓国をトランプ政権から引き離そうとする動きを次々にみせる。韓国との融和的な措置を大幅にとりながら、核廃棄を進めるための措置はとらない。そうした北の動きには、米韓を離反させようという意図が見え隠れする。

韓国側も、同盟国の米国より、北朝鮮との和解や融和のための行動をとろうとする姿勢が濃厚だ。そんな韓国に対して、米国の保守系安保研究機関「新米国戦略センター」の朝鮮問題専門家であるクリスティーン・リー氏は、「文大統領の陣営には、北朝鮮への認識に関してとてつもなく楽観的な要人たちが多い。北の核廃棄の実現を最重視しない点で、トランプ政権とは重大な距離がある」と論評した。

トランプ大統領自身もかつて「文政権の対北宥和が心配だ」と述べて、韓国側から激しい反発を浴びたことがある。

また、トランプ政権にきわめて近い国際戦略問題の権威のエドワード・ルトワック氏は筆者のインタビューに応じた際、韓国の安全保障政策における一貫性の欠如を取り上げて「無責任国家」と断じた。

韓国が日本に対して慰安婦問題での外相合意を反故にしたり、徴用工問題で本来、政府同士で解決済みの補償要求をまた持ち出してくることを、「情緒的な未成熟民主主義」(米外交雑誌『フォーリン・ポリシー』のエリアス・グラル記者)と酷評する向きもある。

米韓両国政府のこうした足並みの乱れは、トランプ、文両首脳の政治理念の違いを如実に反映し、米韓同盟の将来にまで暗い影を投げ始めたといえそうだ。