あなたの会社のネット活用がいつまでも成果が出ない理由…SEOやSNS対策の限界

●ネット上でしか見えないマイクロ市場

 インターネットの登場により、すべての業界において、競争のルールが変わりました。2000年代には、YahooやGoogleという検索エンジンが流行し、誰もが何かを調べたり、商品を通販で購入したりするために、検索エンジンで検索をするようになりました。検索エンジンには膨大な数の消費者が集まるようになりました。それに気づいた一部の企業は、検索エンジン上で上位に表示されることにより、多くの見込み客を自社サイトに誘導するSEO(=Search Engine Optimization;検索エンジン最適化)に取り組みました。SEOに成功した企業は、たくさんの見込み客を独占しました。ネットショップなどは、検索エンジンで上位に表示されるだけで、売上が数倍にもなったものです。

 しかし、あっという間にウェブサイトは当たり前のものになりました。たくさんの消費者に対して、ウェブサイトを利用する企業が少なかった頃は、見込み客を独占することができましたが、今やウェブを活用しない企業はありません。検索エンジン上の競争倍率は実店舗の競争倍率を超え、今や検索エンジン上こそもっとも競争の激しい場所となりました。たくさんの選択肢が用意されたなかで、検索エンジン上で1位に表示されても、見込み客はそれほど誘導できなくなりました。「1位でも生き残れない」。これが究極の競争の行きつく先なのです。

 さらに、ソーシャルメディア、スマホの普及により、消費者の消費プロセスはとても複雑になりました。消費者は検索エンジンだけに依存せず、ウェブサイトをもっと多角的に利用し、実店舗やマスメディアの情報と比較しながら、複合的に消費行動をとるようになりました。その結果、競争はインターネット上にとどまらず、実店舗やあらゆるメディア、消費者接点を巻き込みました。インターネットを活用した集客は、SEOであっても、SNS活用であっても、スマホ集客であっても、もはや大した効果を発揮しません。

 従来のインターネット集客のセオリーでは成果を出すことが難しくなりました。そんななかで、マーケティングオートメーション、AIというような、新しいトレンドに飛びつきたくなります。しかし、それらを活用したところで、もはや大した成果につながらないことは目に見えています。なぜなら、本質的な問題は、集客が足りないことでも、ウェブサイトが使いづらいことでもなく、商品、サービスに優位性がないことだからです。競合と比較されるなかで、消費者に「選ばれる理由」がないのです。

●対処療法から根本治療へ

 当社は、ウェブコンサルティング会社として、クライアント企業の事業を成功に導くため、インターネットをどのように活用すべきかというテーマに17年間取り組んできました。これまでご紹介してきたように、もともとSEOや検索連動型広告のような検索エンジン集客で成果を出したり、ウェブ解析によるサイトの改善によって成果を出してきました。

 しかし、それぞれのトレンドは数年で終わりました。その都度新しいトレンドを追いかけましたが、その効果は低下するばかりです。売上が数倍に伸びた企業でも、3年もすれば同じような悩みに直面するのが常でした。

 私たちは考えました、本当の問題はなんなのか。10年にわたって企業を成長に導く方法はないのか。その結果、私たちが出した結論は、対処療法から根本治療に切り換えるべきだ、ということです。

 SEOや検索連動型広告(リスティング広告)をどんなにうまく活用しても、ウェブ解析によってサイトを最適化しても、対処療法ではインターネットという大きなうねりには勝てません。敵は隣の企業ではなく、インターネット全体なのです。それでは何をすべきか。一言で言えば、「選ばれる理由」をつくること。具体的には、オンリーワンの商品、サービスを生み出すことです。それに成功すれば、インターネットは力強い味方になってくれるのです。

「そんな話は聞き飽きた」

 そう思う方もいらっしゃるでしょう。多くの方は、

「それはわかっているが、実際にやるのが難しい」

とあきらめているのです。しかし、実はそこまで難しいことではありません。私たちは、この数年だけでも、オンリーワンの商品、サービスを開発し、「選ばれる理由」を生み出すことで、売上を数倍に伸ばした実績をたくさん生み出しています。そして、それらの企業は5年から10年にわたって継続的に成長しています。

●絞り込みながら深める

 そのポイントになるのが、まさにインターネットの活用なのです。競争社会を生み出し、多くの企業を減収に追い込んだインターネットですが、視点を変えてみれば、オンリーワンの価値を提供する企業にとって、その価値を何倍にも高めてくれるツールでもあるのです。

 インターネットを活用してイノベーションを興すためのポイントは3つです。

1.たくさんのお客様に触れ、マイクロ市場を発見する
2.マイクロ市場に向けて、オンリーワンの商品、サービスを開発する
3.その商品、サービスの価値をインターネット上で伝える

 インターネットというツールはおもしろいものです。お客様はネット上で調査、分析をし、市場を俯瞰して、自身に最適な商品を選び、購入します。この仕組みによって、自社に来るお客様は、みな「自社で買う理由」を見いだしています。つまり、理由がなければ買いに来ない。ネットで買いに来る人たちは、何かその理由がある、ということです。ネットという競争環境だからこそ、なんとなく買う人はいないのです。これは実店舗の商売とはだいぶ違います。だからこそ、インターネットは自分たちの価値に気づき、それを求めている見込み客がたくさんいることに気づけるツールなのです。つまり、ミッション発見ツールです。

 自分たちのミッションが見えたら、市場が求める商品、サービスを開発します。そしてネットを通じてそれをアピールするのです。このとき重要なのが、市場を徹底的に絞り込むことです。絞り込むほど競合は少なくなります。

「しかし、市場を絞り込むと、売上が小さくなってしまうのではないか」

 このような声をよく聞きます。確かにその通りですが、1000億円市場の0.01%のシェアでは1000万円ですが、10億円市場の10%のシェアなら1億円です。つまり、市場を絞り込むと同時に、その市場では高いシェアをとること。これがネットでイノベーションを興すためのポイントです。一見とてもニッチな市場でも、インターネットを通じて日本中にアピールできれば、そこそこの売上になります。

 もともと、100億円を超えるような売上を目指しているなら、インターネットだけでは足りません。しかし、数億円の売り上げをつくることはインターネットはとても得意です。だからこそ、インターネットは小企業のためのイノベーションツールとしてぴったりなのです。

 これから、私たちがご支援したクライアントのイノベーション事例をご紹介していきます。どれもビジョンと工夫にあふれた素晴らしい会社で、イノベーションに至る経緯も「そうきたか!」と思わせるとてもおもしろいものです。ぜひワクワクしながら読んでください。

 そして、あなたも、ぜひ一緒にマイクロ市場を発見し、攻略していきましょう。
(文=権成俊/ゴンウェブコンサルティング代表取締役)