夜更かししがちな夜型人間はより不幸でメンタルヘルスも不調になることが明らかに

夜更かしは健康の敵で、早起きこそが優れた1日を送るためには重要であるという指摘はたびたび耳にするものですが、「早起きできないし自分には夜型の生活があっている」と考える人も少なくないはず。しかし、2019年1月29日に科学誌のNature Communicationsで発表された最新の研究によると、夜更かし型の人間は早起き型の人間よりも全体的に不幸で、メンタルヘルスが不調になる可能性が高いようです。

Genome-wide association analyses of chronotype in 697,828 individuals provides insights into circadian rhythms | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-018-08259-7

Being a Night Owl Really Can Hurt Your Mental Health
https://www.livescience.com/64628-night-owl-mental-health.html

人間の睡眠パターンは人それぞれですが、大まかに分類すると早起きして精力的に活動できる「朝型人間」と、朝は苦手な代わりに夜に頭が冴えてくる「夜型人間」、そして2つの中間である「中間型人間」の3つに分類できます。これらは概日リズム(体内時計)とも呼ばれるものですが、この概日リズムが人間の持つ遺伝子情報と深く関わっていることが最新の研究から明らかになっています。


概日リズムと人間の遺伝子情報について詳細に分析するという研究が行われ、これまでの研究ではヒトゲノムの24の領域が「早起き」と関連していると考えられたところ、実際にはなんと351の領域が「早起き」と関連していることが明らかになっています。さらに、研究サンプルの中で最も多く早起きに関連する遺伝子変異体を持っていた人々は、その変異体が少ない人よりも平均で30分以上も早く眠りにつく傾向があることが明らかになっています。

加えて、この研究はヒトゲノムの特定の領域が「概日リズム」に加えて「網膜」にも関連していることをつきとめています。この発見は、「網膜を通して光を検出する脳の能力が、体内時計を24時間周期の睡眠と覚醒に設定する」というこれまで提唱されてきた理論を裏付けるものだそうです。

by Gregory Pappas

イギリスのエクセター大学の医学部で睡眠パターンと遺伝学について研究しているサミュエル・ジョーンズ氏が、同論文の第一著者です。同氏は、「朝型の人と夜型の人が存在するのは、我々人間の脳が持つ『外部の光信号に反応することで体内時計を正常にする』という機能が、人によって(正確には、朝型と夜型の人で)異なるからです」と語っています。

ジョーンズ氏らの研究は、Biobankと呼ばれる非営利のヘルス・プロジェクトやDNA解析サービスの23andMeが保管する、69万7828人分の遺伝子情報をゲノムワイド関連解析するというものでした。なお、ジョーンズ氏らは同じ研究サンプルを用い、2018年4月に「概日リズムに関連する遺伝子座を特定」することに成功しています。

朝型・夜型と関連する遺伝子座を約70万人の遺伝子を分析して研究者が特定 – GIGAZINE


研究に遺伝子情報を提供した被験者のうち、23andMeから参加した人々に対しては、「自分が朝型か夜型か中間か」がアンケート調査で尋ねられています。しかし、被験者の主観的な回答になる可能性があるため、研究ではBiobank経由で実験に参加した8万5000人以上の被験者に対して、リストバンド型の活動計を配布し、被験者の睡眠情報を収集。つまり、研究者が被験者の睡眠情報をチェックし、それぞれの概日リズムを正しく判定していったわけです。

分析の結果、睡眠のタイミングに違いがあっても睡眠の質には大きな差は出ないことが明らかになっています。また、過去のいくつかの研究結果とは対照的に、夜型人間は肥満や糖尿病のリスクが高まる、という結果を見出すことはできませんでした。代わりに新たに明らかになったのは、うつ病・不安症・統合失調症といった精神病にかかりやすいことと、夜型人間であることの間に明らかな因果関係が存在するということ。

つまり、夜型人間は朝型人間よりも統合失調症などの精神病を発症するリスクが高く、それぞれが感じる幸福度も低くなるということが明確になったそうです。加えて、前述の通り「睡眠の質には違いがない」ため、夜型人間のメンタルヘルスが低下したり幸福を感じられなかったりすることの原因は、「睡眠の質の悪さ」や「睡眠不足」といったものに依存しないことも明らかになっています。

研究に参加していたマサチューセッツ総合病院でゲノム医療に従事するジャッケリーニ・レーン氏は、睡眠のタイミングとメンタルヘルス低下の関連性には不明な点が多いと述べています。夜型人間がよりメンタルヘルスを低下させがちな理由については、朝型人間が多く持つ遺伝子変異体や、早起きすることで朝に太陽光を浴びることで得られる物理的刺激、一般社会では「9時から17時までの作業サイクル」が支配的であるという点などが、未知の影響をもたらしている可能性が指摘されています。

レーン氏は、「我々の研究は概日リズムがどのようにメンタルヘルスと関連しているかについて、さらなる研究を行う必要性を強調するものであり、それらの研究が終わるまでは詳細なメカニズムについては推測することしかできません」と語っています。