震災で販売途切れた石巻のソウルフード「かきあめ」復活大好評、5ヵ月で3万袋売り上げ

石巻地方で長年親しまれてきた「かきあめ」が復活し、発売から5カ月で約3万袋(5個入り)を売り上げるヒット商品になっている。約100年前に生まれた「ソウルフード」は東日本大震災の津波で製造元が被災し、店頭から姿を消していた。味や形の完全復活を目指し、3年近くに及ぶ試行錯誤は今も続く。
 かきあめは宮城県産のカキのエキスを練り込み、金華山付近の海水で作った「金華塩」で味を調えた。甘味は控えめで、口に含むとほのかなカキの風味が感じられる。
 石巻市でコーヒー販売「珈琲(コーヒー)工房いしかわ」を営む石川光晴さん(64)が古里の味の継承を願って復活させ、同県大河原町の業者に製造を委託して昨年12月から販売している。
 パッケージに「かき」の2文字で千石船を描くなど、かつての商品の姿を忠実に再現。購入者から「亡くなった祖母に供えている」「石巻を離れた知人に送った」など多くの反響が寄せられている。
 かきあめは1918年、地元の福田屋製菓が売り出したのが発祥。83年に「かきあめ喜栄」(石巻市)が引き継いだ。震災で同社の工場は津波に襲われてあめの型などが流失。製造、販売が途切れた。
 石川さんは2016年秋ごろから復活を模索し始めた。製造法を学び、3種類の試作品を製作。年配の知人ら100人近くに試食してもらった。「カキの風味がしない」「甘過ぎる」などの意見をもらい、記憶の味に近づけていった。
 現在販売するあめは直径1センチほどの丸い形。カキ殻を模した独特の楕円(だえん)の形はまだ実現していない。
 石川さんは喜栄から商標を譲り受けるとともに、歯科技工士の技術を生かし、喜栄に残っていたあめから石こう型を取った。完全な再現に向け、現在は製造ライン復元の資金確保にも力を入れる。
 石川さんは「石巻のソウルフードで、石巻地域の風情が詰まった商品。多くの人に手に取ってもらいたい」と願う。いしのまき元気いちば(石巻市)、珈琲工房いしかわ本店(同)、同S-PAL店(仙台市青葉区)などで取り扱っている。価格は5個入り160円、12個入り380円。