トヨタ東日本、東富士工場の生産終了 東北に集約、小型車強化へ

トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)は10日、今月末で閉鎖する東富士工場(静岡県裾野市)での車両生産を終えた。同社の完成車生産は宮城大衡、岩手(岩手県金ケ崎町)の2工場体制となり、東富士からは従業員計約700人が異動。トヨタが進める小型車生産の東北集約が一段と加速することになる。
 東富士工場はトヨタ東日本の前身の一つ、関東自動車工業が1967年に稼働させ、ピーク時で年間約26万台を生産した。トヨタグループの生産拠点再編の一環で2018年7月に閉鎖が決定。19年度の生産台数は、東北2工場が約45万台、東富士が約2万台だった。
 東富士で手掛けた車種のうち、高級車「センチュリー」は愛知県内のトヨタ工場に生産を移管する。小型車「ポルテ」「スペイド」は生産を終え、「ジャパンタクシー」を宮城大衡工場が引き継ぐ。
 東富士の従業員約1100人のうち、既に異動した300人超を含め、最終的に計約700人が東北に移る予定。トヨタ東日本はセンチュリーに携わった技術者の経験を生かすなど、東北の技術向上につなげる考えだ。「ヤリス」「ヤリスクロス」は小型車向けの新しい車台「GA-B」を採用しており、さらなる新型車の開発、生産も東北に集中させることで効率化を図るとみられる。
 トヨタ東日本は「コンパクト車はグローバルで最も競争の激しいカテゴリー。生産の東北集約により『100年に1度』と言われる大変革の時代を生き抜きたい」とコメントした。
 トヨタは東富士工場の跡地に、自動運転などの次世代技術を実証する仮想都市「ウーブン・シティ」を整備する計画で、来年2月に着工予定。

タイトルとURLをコピーしました