ルミネの「女性応援」CM、セクハラ、女性蔑視と批判殺到 誠意ないお詫びで、さらに炎上

先日、駅ビル・ショッピングセンターを運営するルミネのCM動画がインターネット上で 議論を巻き起こし、“大炎上”した。問題になったのは、ルミネが「働く女性たちを応援するスペシャルムービー」として公開したCMの第1話だ。公開される や否や「セクハラではないか?」「女性蔑視だ」など否定的な声が殺到して話題になった。

現在、同CMは削除されているが、「女性を応援する」とうたいながら、まったくもってその気が感じられない。例えば、出社する地味目な女性に同僚の男性が近づくシーンでは、以下のような会話が繰り広げられる。

男:「なんか、顔、疲れてんな。残業?」
女:「普通に寝ましたけど……」
男:「寝てそれ? はっはっは……」

また、社内で華やかな巻き髪の女性社員が現れた際のやりとりはこうだ。

男:「やっぱかわいいな~、あの子」
女:「そうですね。いい子だし」
男:「大丈夫だよ。ヨシノ(女性の名前)とは需要が違うんだから」
女:「……需要?」

その後、画面には「【需要】じゅ・よう 求められること。この場合、『単なる仕事仲間』であり『職場の華』ではないという揶揄」というテロップが映し出さ れる。最後には、ヨシノさんが鏡の前で「最近、サボってた?」とつぶやき、「変わりたい? 変わらなきゃ」というナレーションとともに「変わりたい? 変 わらなきゃ。LUMINEも変わる」のテロップが流れる。

仕事をがんばる女性を「寝てそれ?」と笑う様子や、他の女性と比較して「需要が 違うんだから」という発言は、確かにセクハラといわれても仕方ないだろう。また、「需要」という言葉については、主人公の女性を嘲笑するようなテロップま で流されるが、女性社員に「職場の華」であることを求めるとは、時代錯誤もいいところだ。このCMを見る限り、働く女性に対して「おしゃれをして職場の華 になりなさい」と押しつけているようにすら感じられる。

アパレル関係の仕事をしている20代の女性は、CMの内容についてこう語る。

「セ クハラまがいの男性社員のためにおしゃれするなんて、ありえないです。そもそも、私たちは職場の華になるために仕事をしているわけではありません。同僚に あんな失礼な態度をとられて『変わらなきゃ』なんて思う女性はいないと思います。むしろ、変わらなきゃいけないのは、あの男性のほうではないでしょうか」

IT関係の会社に勤めている30代の女性も、CMを視聴した感想をこう語る。

「働 く女性対して、『職場の華にならないと仕事に影響する』と脅しているようにも見えます。どうすると『職場の華』になるのかはよくわかりませんが、仮にそう ならないと男性社員があんな態度をとる会社があるのでしょうか。どこが女性を応援しているのか、さっぱり読み取れませんでした」

●恐縮しきりの広報担当者

ルミネのターゲットであるはずの20~30代女性から見ても、CMの内容は理解しがたいようだ。また、CM動画の削除と同時に公式サイトに掲載されたお詫び文の内容も、炎上を助長させている。

「この度は、弊社の動画においてご不快に思われる表現がありましたことを深くお詫び申し上げます。今後はこのようなことのないよう、十分に注意してまいります」

この簡素なお詫び文に、「誠意を感じられない」「素っ気ない」などの声が上がったのだ。この一連の騒動について、ルミネ広報に取材を申し込むと、以下のような回答を得た。

「動画自体に不快に思われる表現があったということで、いろいろなご意見はいただいています。お詫びをするとともに、動画のほうは非公開とさせていただきます」

また、CMの制作意図について聞くと「制作意図や制作過程も含め、回答のほうは差し控えさせていただきたいと思います」と、前述のお詫び文を繰り返すような回答に終始した。この取材対応について、よくルミネを利用するという20代女性は語る。

「こ の対応は、ルミネファンとしては少し残念です。この機会に、制作意図などについてきちんと説明してほしかったです。なぜあんな内容の動画を作ったのか、納 得のできる説明を聞きたいです。これからもルミネで買い物をするつもりですが、そのたびにちょっとモヤモヤしてしまいそうです」

利用者か らすれば、きちんと説明してほしいと思うのは当たり前だろう。ちなみに、CMの第2話では、別の男性からほめられてついしゃべりすぎてしまう女性に再び 「自虐」のテロップが出るが、これは1話とは違った印象を受ける。同CMは2話まで公開されたが削除され、それ以降は非公開になってしまった。

「3話以降で伏線を回収するつもりだったのでは」「シリーズものは最後まで見ないとわからない」との意見も見られるが、1話の内容を見る限り、その時点で拒否反応が出てしまうのも仕方がないといえる。

ルミネの広告といえばこれまで、女性人気の高い写真家・蜷川実花の写真や、博報堂のコピーライター・尾形真理子のキャッチコピーなどで多くの女性の共感を 得てきた。「ルミネ=秀逸な広告」というイメージも醸成されつつあった中でのこの騒動は、ある意味で意外な展開ともいえる。それだけに、広報担当者には事 の経緯を説明してほしかったが、要領を得なかったのは残念だ。いずれにせよ、ルミネにはファンが多いのも事実だけに、女性たちが気持ちよく買い物できる広 告作りを期待したいところだ。
(文=編集部)

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