物価高騰や賃金上昇で経営が厳しくなっている千葉県営水道について、熊谷知事は21日、水道料金を20%程度値上げする方針を示した。2026年度を念頭に置いているという。県議会12月定例会で、自民党の代表質問に答えた。 【写真】郵便配達中に水道検針データを収集する機器
千葉市や船橋市の一部などに給水
値上げの対象は、県営水道が運営する上水道の供給地域だ。県営水道は県北西部を中心に11市に飲料水などを供給しており、千葉市中央区や市川市、船橋市の一部などに給水している。
県企業局によると、県営水道が策定する26~30年度の次期中期経営計画の財政収支見通しでは、早ければ27年度に赤字になる見込みだ。このため、水道事業運営審議会の意見や県議会の議決を踏まえ、この経営計画が始まる26年度から料金の値上げに踏み切りたい考えだ。
県営水道の料金は1996年から約30年間改定されていない。一方で、施設は老朽化し、耐震化も実施の途上だ。県企業局は、将来的な水の需要やICT(情報通信技術)による業務効率化を考慮したうえで、約23%の値上げが必要だと試算している。
これに関連し、熊谷知事は21日の答弁で、値上げ幅を抑えるため県の一般会計から企業局の会計への繰り入れを行う方針も示した。国の交付税措置の対象となるため、県民の負担が抑えられる。この結果、最終的な値上げは20%程度にとどまる見通しだという。
県企業局は今後、水道の口径に応じて変動する基本料金と、使用水量に応じて増える従量料金の体系について検討を進め、改定案をまとめる。来年度の早い時期に値上げの幅を審議会に諮問したい考えだ。現在の体系では、口径が20ミリ・メートルの場合、基本料金は月額979円。使用水量に応じた金額が加算されている。
質問に立った自民党の武田正光・政調会長は「約20%の値上げは使用者に負担が大きい。徹底した支出削減を不断に行い、値上げについて理解を頂けるよう丁寧に説明していただきたい」と要望した。