海水で原料まで分解「新プラスチック」開発…海洋生態系に悪影響「マイクロプラ」抑制に期待

 理化学研究所などのチームは、海水に入れると分解され、自然に戻る性質を持つ新たなプラスチックを開発したと発表した。海洋を漂うプラスチック由来の微粒子「マイクロプラスチック」による生態系への影響が世界的に懸念される中、環境汚染の抑制効果が期待できるという。論文が22日、科学誌サイエンスに掲載される。

 従来のプラスチックは石油が主原料で、海中で分解されず、半永久的に残存してしまう。そのうちマイクロプラスチックは、大きさ5ミリ以下の微細なプラスチックの粒子。プラスチック素材のごみが海に流出し、紫外線や波の力の影響で細かく砕けてできる。

 チームは、食品添加物などに用いられる2種類の物質を混ぜ合わせ、分子が連結した集合体「超分子ポリマー」のプラスチックを開発した。このプラスチックを塩水に入れたところ、原料にまで分解され、マイクロプラスチックを生み出さなかった。

 チームを率いた理研の相田卓三グループディレクターは「原料が安く、従来のプラスチックよりもリサイクルしやすい。燃えないため、温室効果ガスを出さない利点もある」と話す。

  東京大の伊藤耕三特別教授(高分子材料)の話 「画期的な成果だ。将来的には、感染症対策の 遮蔽(しゃへい) 板や透明なコップなどこれまでリサイクルが難しかったプラスチックの代替として活用できる可能性がある」

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