「おざなり」と「なおざり」の違い

先日、テレビのニュース番組を見た後でダンナさんに「評論家が、こんな重要な法案をなおざりにするとはけしからん、みたいなことを言っていて……」と説明しようとしたのですが、「あれ、なおざり? おざなり? どっちだっけ?」と、言葉がわからなくなってしまいました。
 

ダンナさんは「同じ意味だから、どっちでもいいんじゃないの」と言うのですが、本当にそうなのかしら? 気になって仕方ないので、早速辞書で調べてみました。
 

おざなりとなおざりの語源と意味の違い


辞書を引いてみると、「おざなり」とは「いいかげんに物事を済ませること。その場の間に合わせる。また、そのさま」という意味。元は「御座形」と書き、江戸時代にお座敷で表面だけ形をとりつくろう意味の隠語として使われるようになったそうです。
 

一方「なおざり」とは「いいかげんにしておくさま。本気でないさま。ほどほどで、あっさりしているさま」という意味。元は「等閑」と書き、そのまま何もしないで去る、という意味の言葉として平安時代から使われていたそう。なおざりの方が歴史は古いのね!
 

どちらも似たような言葉のようですが、結果で考えれば「おざなり」は「いいかげんで手抜きながら、何らかの行動をしている」のに対して、「なおざり」は「放置したまま何もしない」、ということになります。どっちもどっちではあるけれど、誠意がない「なおざり」より「おざなり」の方がまだマシという気がしますね。
 

おざなりとなおざりを使った例文


「今日は忙しくて家事をおざなり(なおざり)にしてしまった」
おざなりだと「いいかげんに家事をやった」という意味になりますが、なおざりだと「家事をまったくやらなかった」という意味になります。
 

「あのファッションブランドは縫製がおざなりだから、買う前にチェックした方がいいわよ!」
この場合、使えるのはおざなりだけ。何も行動しない「なおざり」は使えません。
 

「通っていた英会話教室をなおざりにしていたら、チケットの期限が切れてしまった」
おざなりでも代用できますが、この場合、英会話教室に行かなかったことでチケットを無駄にしたことが強調されているので、なおざりの方が合っています。
 

初めに紹介した評論家のコメントを例に取ると、法案について十分に話し合っていないのなら「おざなりな審議」だし、法案を放置しているのなら「法案をなおざりにする」となるってことね。
 

おざなりとなおざり、どちらも適当でいいかげんであることを意味する言葉ですが、「行動を起こすか起こさないか」で考えれば雲泥の差。面倒なことは、ついついおざなりにやり過ごしてしまう癖があるワタシも、何でもなおざりにしないように気を付けなくっちゃ!

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