13歳でジャニーズ事務所に入所し、18歳までJr.として合宿所に出入りしていた、元ジャニーズJr.の平本淳也さん(56)。連日のように故・ジャニー喜多川氏による性加害報道が世間を賑わせているが、平本さんは’80年代後半からジャニー氏の性癖を告発しており、’96年には『ジャニーズのすべて』と題した書籍を出版。自身や仲間たちがジャニー氏から受けた行為を世の中に訴えていた。 【写真】TOKIO、今井翼、東山紀之に囲まれたメリー喜多川さんの親密カット 今年3月、イギリスの公共放送『BBC』は、こういったジャニーズ事務所内の“実態”を取材し『J-POPの捕食者 秘めたるスキャンダル』を放送。日本のみならず、世界からも注目を集めた。この番組に平本さんは企画段階から協力していたという。 「2日間かけて10時間くらい喋ったんですけど、放送で使われたのは5分くらい(笑)。ジャニーズの味方をするスタンス、中立の立場、性加害を受けた側と、いろんな立場から見た意見を伝えましたが、番組で使われたのは味方するスタンスの部分でしたね」
売れっ子が口を開かない理由
今まではどれだけ声を上げても、黙殺されてきた事務所内の暗部に光が当てられている現在。「ようやく」という気持ちだが、違和感も抱いているという。 「報道ではジャニーさんの“被害者”という言葉が使われていますよね。でも僕としては違和感がある表現です」 モラルということは別問題でと前置きしつつ、こう続ける。 「ジャニーさんは決して僕たちに行為を強要しませんでした。押さえつけるとかもないし。現役ジャニーズや、メジャーなタレントがなんで口を開かないと思います? 自分が被害者だと思っていないからですよ。 デビューすることができて、人気が出てくれば普通の人が稼ぐお金の何十倍もの額を得られる。ジャニーさんにされたことを黙っていれば、みんなにちやほやされて、売れれば何不自由なく暮らしていけるだけの道が開くんですから」 しかし誰もがデビューできて、スターへの階段を登れるわけでもないーー。 「確かに、絶対的な約束ではありません。でも、少なくともジャニーさんに気に入られる、好かれるというポジションにいないと、そのチャンスすらないんですから。みんなそれを理解しているんです。 そして“やる、やらない、行く、行かない”という選択権は基本的には僕ら側にあるんです」
事務所に入るとは、芸能界で光り輝くことが目標。デビューさせる権利を持つ人間を拒否するのは、自分の未来を潰すことにつながる。ならば、受け入れなくてはいけない……。これは“パワハラ”にならないのだろうか。
「社会的に認められることではない」
「ジャニーさんに触られたりして、次の日からレッスンに来なくなった人は確かにいます。強要されればパワハラかもしれないけれど、ちょっと我慢すればスターへの可能性を持った“整理券”を手に入れられる。でも手に入れた人も、そのためになりふり構わず自分を犠牲にしているんです。 僕はデビューまではいかなかったけど、ジャニーさんにいろいろなエンターテイメント現場に連れていってもらい、たくさん勉強させてもらいましたから、そこだけは感謝しています」 しかし、ジャニー氏の行為を告発し、本にもしている。このことについては、 「お互いにメリットがあるかもしれないとはいえ、ジャニーさんのしていたことは、社会的に認められることではないのは当たり前。合意のない性的な行為は相手に不快感を与えることに間違いはなく、精神的な“傷”をも負ってしまうことになります。そういった“傷”を受けた側としては許せない気持ちも多く持っていることは確かなんです。 僕は事務所の内情を知ることのできる環境にいたじゃないですか。みなさんが知りたいなら書きましょう、話しましょう、ということなんです。“こんなことがありました”と、ただ問題提起をするだけでは多くの方に興味を持っていただけないがゆえ、あらゆる方向から差し込んで話題になるように、情報を発信したり記事を書き続けてきたんです」 これまで何十年も、ジャニー氏の問題に沈黙を続けてきた事務所の社長が、直に謝罪コメントを出すまでになった。平本さんとしては、どのような形でこの騒動が決着してほしいと思っているのか? 「僕はね、ジャニーさん、メリーさんが築いてきたジャニーズ事務所が好きなんです。ジャニーさんとメリーさんはもういないけど、この騒動の責任を取る、とジュリー社長に辞めて欲しくないんです。僕の知らない、どこかの誰かが社長になってジャニーズの経営をして欲しくないから。 ジュリー社長がジャニーさんから引き継いだそのままの状態で経営していくなら、誰でもできる金持ち会社の2代目でしかない。ジャニーさんがやってきた、負のレガシーも含めてすべてを引き継いだ責任を整理整頓して“真”ジャニーズに変えてほしいです」