宮城県に、日本最古のハンバーガー店があるらしい——。
そんな話を耳にしたJタウンネットの宮城出身記者。居ても立ってもいられず、その「ほそやのサンド」(仙台市青葉区)に、店の軌跡を聞いてみた。
本当はハンバーガー店ではないが…
「うちはサンドイッチ店なんですけどね……」
ハンバーガー店ではないとしながらも、そう穏やかに話してくれたのは、2代目店主。同店は1950年、山形県東根市にあった米軍キャンプ前にオープンした。52、53年頃に仙台市内に移ったという。
同店は名前の通り、サンドイッチ店だ。ではなぜ最古のハンバーガー店と言われるようになったのかというと、次のように理由を説明してくれた。
「ウチが出来る2年前、1948年に六本木に『ザ・ハンバーガー・イン』という国内では最初となるハンバーガー店が開店しました。その店が20年前に閉店したため、現存する中では最古のハンバーガーを売る店、としてメディアに紹介されるようになったのです」
ザ・ハンバーガー・インが48年に開業したことは当時から知っていた、とも付け加えた。
同店で販売されているサンドイッチは12種と、バリエーションに富んでいる。ベーコンエッグ、ベーコントマト、野菜サンド(いずれも税込350円)、ハムサンド(380円)あたりが人気だという。
一方でハンバーガーも4種類ある。こちらはハンバーガー、チーズハンバーガー(いずれも350円)がよく売れるそうだ。これらに加え、ミートソースやハンバーグもメニューに名を連ねる。コーヒーなどの飲み物も加え、昼夜で1人当たりの客の平均単価は700円前後だという。
店内は12席で、電話で注文してテイクアウトする客が多いという。
親子2代で来店も
同店の歴史は長いが、果たしてメニュー内容に変遷はあったのだろうか。この疑問についても、温厚な口調で話してくれた。
「あまりメニューは変わってないですね。オリジナルメニューが人気なので」
全体として変わっておらず、15年ほど前にジャンボバーガーが誕生したぐらいだ、とのこと。お客の中には、親子2代で来店する人もいるほどだそうで、長く愛されているのだろう。
現在、家族で主に店を切り盛りしてきており、3代目となる予定の息子さんは見習い中だ。
「オリジナルメニューを維持するのかどうかは、息子に任せたいと思います」
60年以上続く名店には、今日もお客が足を運ぶ。