「2ちゃんねる」の創設者、「ニコニコ動画」の命名者として知られる、ひろゆきこと西村博之氏。月5万円の極貧生活から、年収数億円の大富豪にのし上がった彼が、その「マネー哲学」を語ったのが、著書『これからを生きるための無敵のお金の話』だ。小学生の「将来なりたい職業」でも上位にランクインしているユーチューバー。どうすれば「ヒカキン」のように何億円も稼ぐことができるのか? ひろゆき氏に、そのヒントを教えてもらった。
質を上げるより大事なこと
ユーチューバーで1億円稼ぐのは、アプリのようなサービスを作るのに比べて、かなり確率が低くなると思います。1億円稼げている人って、多くて30人くらいじゃないでしょうか。
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ユーチューバーの収入は簡単に計算できるんです。概要欄をクリックすると、そのチャンネルの合計再生回数が出るので、その合計再生回数の0.1倍とか0.2倍が、その人のトータルの収入になります。ざっくりですけど。広告単価ってだいたい1pv 0.1円とか0.2円なので。
0.1円と0.2円の違いは、たとえばひとつの動画に広告を10個も20個もつける人もいれば、1個しかつけない人もいるとか、ユーザーが広告をクリックするタイプの人なのか、そうじゃない人なのかとか、いろいろな点からきています。
そうすると、5億pvまでいくと、1億円稼いでいる可能性が高い。5億pvって、100万回再生の動画が500本ですよ。すごく遠いですよね。30人いないかもしれません。
100万回再生が1本2本ある人は結構いると思うんですが、500本はかなり難しい。
単純に再生回数だけではなくて、企業案件(企業から商品の宣伝を依頼されること)もあると思うので、500本も必要ないかもしれませんが、でも企業案件の話も、やっぱり100万回再生の動画を10本20本持ってないと、そういう話は来ないですよね。
そういうわけで、ユーチューバーで1億円を稼ぐのは結構きついと思いますよ。ヒカキンさんも成功するまでは7、8年はかかっていたと思います。それまでずーっと地道にやり続ける必要があります。
知名度の高い人がユーチューバーに転向するのは、そういう意味ではかなり有利ですよね。
ちなみに、ユーチューブで再生回数が伸びる動画って、子供にウケるものが多いんですよ。だから、子供を相手にしたコンテンツを作ると、再生回数は伸びます。
要するに、質を上げるかマーケットを狙うかなんです。
たとえば、彼女を作りたい人がどうすればいいかっていうと、自分がイケメンになるとか服装のセンスを上げるとかお金持ちになるっていう、自分の質を上げるという戦い方がある一方で、もうひとつ、女の人が余っている場所に行くという戦い方もあるんです。
子供がつい見たくなるものを
たとえば、女性ばっかりがいる工場に働きに行くと、そこにいる女性たちのなかには「誰でもいいから付き合いたい」っていう人も何人かいるわけです。それで付き合えてしまう。
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なので、自分の質を上げる方向より、マーケットに合わせるほうが、実はうまくいくことがあります。
女の人でも、ふつうの大学に行ったら別にモテないけど、理系の大学に行くと女性が希少なせいか、すぐに彼氏ができるみたいな、オタサーの姫みたいなことがありますよね。
そういうわけで、ユーチューバーで儲けたいんだったら、動画の「質を上げる」っていう戦い方よりも、子供が見たくなるようなタイトルとサムネイルをいかにして作るか? について考えたほうがいいと思います。
ユーチューブで、コンビニの商品を紹介しているものって、ぜんぜん面白くないじゃないですか。でもあれを見ちゃう人はいっぱいいるんです。
自分の知っているコンビニの商品が、動画のタイトルとサムネイルであったら、なんだろう? ってクリックするようなしょうもない人たちが、世の中にはめちゃくちゃいっぱいいるんです。僕はクリックしませんが。
そして、そういうのを見て「面白い」と思ってチャンネル登録しちゃう人もいるんです。
僕は相当面白くないとユーチューブでチャンネル登録しないので、僕みたいな人を相手にしちゃダメなんです。しょうもない人を相手にしたほうがうまくいくんですよ。
つまり、お金を儲けるためには、まずマーケットを見つけて、そのマーケットに合わせたコンテンツを作ったほうがいいよ、っていうことです。
たとえば絵を描くのが好きな人の場合、画家になって1億円を稼ぐのは相当ハードルが高いですよね。でも漫画家だったら年間1億円稼いでる人っていっぱいいます。漫画家で売れることも十分ハードルは高いですが、でも可能性としては画家よりははるかに高いわけです。
それだったら、絵描きじゃなくて漫画家を選ぶべきです。お金を儲けたかったら、ということですが。要はその人がやりたいことじゃなくて、1億円稼げる可能性の高いマーケットを選ぶべきだということです。
そういうわけで、ユーチューバーで儲けたいんだったら、動画の「質を上げる」っていう戦い方よりも、子供が見たくなるようなタイトルとサムネイルをいかにして作るか? について考えたほうがいいと思います。