故ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り、ジャニーズ事務所の社長、東山紀之氏は2日、記者会見で「自分たちは内向きだった」と反省の言葉を述べた。
事務所側に性被害を申告し、補償を希望する人が既に325人いることも公表。「これほどだったのかという思いが強い」と語った。
事務所の社名を「SMILE-UP.(スマイルアップ)」に変更することや、所属タレントのマネジメントは別会社を新たに作り、社名はファンクラブで公募する方針も説明した。
被害者の救済、ジャニーズ事務所の今後、新会社についての3つのテーマで会見をまとめた。(デジタル編集部)
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◆被害者にどう補償?
東山氏の冒頭説明(抜粋)
現在のジャニーズ事務所ですが、被害に遭われ、今もなお苦しんでいる方々の補償業務のみを行っていくこととします。
記者会見するジャニーズ事務所の東山紀之社長=東京都千代田区で
被害補償の受付窓口として、9月13日付で、3名の弁護士から構成される被害者救済委員会を設置いたしました。9月30日までにこちらの委員会には478人の申し出があったと聞いています。
そのうち被害を申告して補償をもとめている人は325人です。補償は11月からスタートさせて頂きたいと思います。今後は被害者の相談窓口について、臨床心理士などにご協力いただき、被害者の方に寄り添う形をきちっと作っていきたい。
担当する山田将之弁護士の冒頭説明(抜粋)
9月21日以降、順次、社長の東山が被害者に遭われた方と直接お会いして、性加害、それに関するこれまでのジャニーズ事務所の対応について謝罪させて頂くと共に、被害補償、今後の再発防止の取り組みについてご説明しています。
対話の中で、被害者の方からはさまざまな意見を頂戴しています。
9月13日付けで、元裁判官の経歴を持つ3人の弁護士から構成される被害者救済委員会を設置し、被害者補償の受付窓口を開設しました。
被害、被害額の認定については、過去の資料や申告を頂いた方から提供を頂いた資料にもとづいて、過去にジャニーズ事務所に在籍していたか、もしくは当然、現在ジャニーズ事務所に在籍しているかを確認の上、被害者救済委員会が申し出内容、それから聴き取り調査を行って、その結果にもとづいて実施してまいります。
なお現時点までで、過去または現在のジャニーズ事務所の在籍が確認できたのは150名程度だと聞いています。
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◆主な質疑応答
Q 補償希望者の規模が大きくなったという実感は?
記者会見するジャニーズ事務所の東山紀之社長(右)と井ノ原快彦氏
東山氏 これほどだったのかという思いが強いですね。
ケアをしていくことをさらにきちっと考えていかなければならないと思う。勇気を出してここに出てきてくれたと思いますし、今後、その人数が増えるかもしれない。
そのために補償と救済に特化した事務所にする判断をしたわけです。もちろん廃業しますが、廃業した後も補償を続けるので、勇気を出して声を上げてくれたらありがたい。
井ノ原快彦氏 私も同じ意見。これほどまでの人数だったんだ、正確な人数はまだわからないが。勇気を出して名乗り出て下さったんだなと。
それと、まだ1人で勇気を出せなくて、ずっと悩みを抱えていらっしゃる方もいると思う。どうやったらその方がここに来て、対話をしてくれるのか、これからも考えつづけていかなければいけない。これで十分だとは我々も思っていません。
ジュリー(藤島ジュリー景子氏)に関しては、会いたくない人もいるかもしれない。でも会いたいという人には、きちんと会って対話をしていきますと言っていました。
東山氏 対話をしたいと言っていただければ、会う準備はできている。それはスマイルアップ社の信念でもある。なるべく希望に沿ったことを向き合っていきたい。
Q ジャニー氏の性加害行為が、タレント支配の源泉となっていたのではないか。事務所側は黙認したと言うより、必要不可欠な手法として利用してきたのではないか。東山氏はジャニー氏の右腕として被害と加害の両面を見てきたと思う。見解を。
東山氏 さまざまなJr.の子たちが被害を受けたということなので、僕は一タレントとして合宿所にはいましたけど、やはりそこは触れてはいけない部分というか、立ち入ってはいけないような感じがありました。
ただやっぱり僕個人の力が及ばない年齢でもありましたし、見て見ぬふりだと言われたらそれまでだと思う。やはり今できることをちゃんとしなければいけないと思う。
心に負った傷を癒やすことはできないと思いますし、補償では済む問題ではない。名前が付いたものは全て捨て去る、できることはやはり癒やしていくことだと感じています。
井ノ原氏 絶対的な支配の中にいたんだと思います。それは巧妙な手口だと思います。僕らが、子どもたちが気づかぬうちに、そういう支配下にあり、当時いた大人たちもそういう人もたくさんいたのかもしれない。その得体の知れない、恐ろしい空気感を僕は知っています。
きっと東山さんも知っていると思う。だからこうなったら、どんどんおかしくなっていくこと、肌で感じていると思います。
被害者の皆さんが、いわれのない誹謗中傷、今まで声を上げられなかった、それくらい強いものだったと思います。
1人が勇気を出してくれたおかげで、何人もの人たちが告白できたと思いますし、それを無駄にしてはいけないと思います。
◆ジャニーズ事務所 どうなる?
東山氏の冒頭説明(抜粋)
現在のジャニーズ事務所の社名を変更いたします。そしてタレントマネジメントおよび育成の業務からは完全に撤退させて頂きます。被害に遭われ今も苦しんでらっしゃる方々の補償、救済、心のケア、これを時間がかかっても全うさせて頂きたいと考えています。
記者会見するジャニーズ事務所の東山紀之社長
故喜多川氏と完全に決別する決意を示すため、社名を10月17日付けで「SMILE-UP.(スマイルアップ)」と変更します。この名称は、3年前に社会貢献活動を進めるために取得した商標です。
スマイルという言葉に違和感を感じる方もいるかもしれませんが、まずは被害に遭われたからの補償をすすめていくことがスマイルアップ社の社会的責任と考えています。
スマイル社は私が引き続き代表取締役社長を務めていきます。藤島ジュリーが100%株主として取締役に留まります。これは今後、法を超えた補償を行うには、第三者の資本を入れるとできなくなるからです。被害を受けられた方々の補償をきちんと最後まで行い、廃業いたします。
記者会見で発表されたジャニーズ事務所の社名変更
会見に出席しなかった藤島ジュリー景子氏の手紙(抜粋)
ジャニーズ事務所は、名称を変えるだけではなく、廃業する方針を決めました。
今回、なぜ私が100%の株主で残るのか、と多くの方々から批判されました。
実は多くのファンドの方々や企業の方々から、私個人に有利な条件で買収のお話もたくさんいただいております。
しかし、100%株主として残る決心をしたのは、他の方々が株主で入られた場合、被害者の方々に法を超えた救済が事実上できなくなると伺ったからでした。
そういう理由で現在の会社には株主100%として残りますが、チーフコンプライアンスオフィサーを外部から招聘し、今後、私は補償とタレントの心のケアに専念し、それ以外の業務には一切、当たりません。
ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族としてやり切らねばならないことなのだと思っております。
ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたいと思います。
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◆主な質疑応答
Q 藤島氏の手紙を代読したが、こういった場に出られる状況ではないのか。入院しているのか。
東山氏 今回は新しい体制を報告するということで僕と井ノ原(快彦)が代表して出席しました。藤島は現在日本にはいますが、出席しないということ。体調はそんなに悪くない。
井ノ原氏 ただ手紙にあったとおり、「(手紙で触れたメリー氏との関係について)話していくときにどういう風になってしまうか分からない」ということは前から聞いていたので、手紙でということになった。
◆新会社のイメージは?
東山氏の冒頭説明(抜粋)
新しく設立する会社についてご説明させて頂きたいと思います。新会社は、希望するタレント個人やグループが設立する会社と個別に契約を結ぶ、エージェント会社といたします。
記者会見するジャニーズ事務所の東山紀之社長(右)と井ノ原快彦氏
この制度においては、全てを会社にゆだねたり、しばられたりすることなく、タレント自らがその活動の方向性に応じて、自分自身で活躍の場を求めていくことになります。新会社は彼らとエージェント契約を締結し、これまでに培ってきたプロデュース機能やマネージメント機能を活用して、お互いの知恵を出し合いながら、そのタレント活動を最大限サポートしていきたいと考えています。
そして若手タレントなどは、エージェント契約形式ではなく、新会社に所属することもできるということになります。
これは日本の大手芸能プロダクションで、これだけ多くのアーティストと契約することになるエージェント会社が立ち上がるのは初めての試みだと思います。
ジャニーズ事務所に所属するタレント達のうち、新会社と一緒にやりたいという意思確認ができているメンバーからは、それぞれがファンクラブを通じてお知らせしていきます。
井ノ原快彦氏の冒頭説明
なぜこのような会社を目指しているのかと申しますと、われわれ、僕もタレントの立場でありますから、そんな立場でも自己プロデュースや演出、やりたいことをやっている人もたくさんいました。
記者会見するジャニーズ事務所の井ノ原快彦氏。右は東山紀之社長
ただ、やはり大きく強い会社の中にいましたので、守られてきた存在であることは事実です。そこにもしかしたら、甘えが生まれたりとか内向きの体質になった原因もあったのではないかと思います。
ジャニーズを解体するからにはそうした体質を根本的に変えていかなければならないと思っています。だからこそ、タレントひとりひとりが自分の考えで歩む仕組みを作らないと、これまで以上にそういった仕組みを作らなければならないと思います。
東山氏 僕らは幸いにして本当にたくさんのファンの方に支持をして頂いています。そしてグローバルなエンタメの世界では、タレントがエージェント契約を通じて活躍の場を広げる、このスタイルが標準となっています。今の若いみんなには、本当に世界に羽ばたいて欲しいと思いますし、そのエネルギーを感じています。
僕らができるのは、その羽ばたくときにいかにサポートできるか。そのような考えのもと新会社を立ち上げていきます。
新会社の立ち上げに当たっては、僕自身が代表取締役社長、井ノ原が副社長に就任する予定です。法人としての新会社は約1か月以内に設立し、徐々に機能を拡大していきたいと考えています。資本は、就任する役員と従業員とで構成する予定ではあります。
そして藤島氏は一切出資を行わず、取締役にも入りません。現在の事務所の従業員の方々も、新しい会社で一緒にやっていきたいと希望する方はぜひぼくらと一緒にサポートをして頂ければと思います。新会社としても、本日発表したガバナンスの仕組みを活用し、強化していきたいと考えています。
井ノ原氏 新会社ではファンの皆さんのお力をお借りしたいと考えています。
これだけ厳しい状況にあってもファンのみなさんがぐっと耐えて僕らを見守って下さった。これは僕も、タレントとして先輩たちや仲間たちからも、ファンに対する感謝の気持ちは僕にも届いていますし、みんなは口をそろえて感謝していました。本当にありがたくて、ファンの皆さんの力を実感しています。
社名について発表するジャニーズ事務所の東山紀之社長(右から2人目)ら
だからこそ、これまで内側向きだった我々が未来を切り開くためには、ファンの皆さんとあらためて二人三脚で進んでいくべきだと考えています。
だから、新会社の社名についてはファンクラブの皆様からの公募で決めていきたいと考えています。新会社では、ファンクラブの機能をさらに充実させていこうと考えております。
東山氏 新会社は新しい考え方、時代に沿った、新しいスタイルで作りたいと考えています。そのために僕ら、タレントたち、ファンの皆様とともにこの会社を立ち上げ、はっきりとした形をつくっていきたいと考えています。
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◆主な質疑応答
Q タレントの今後、不安な点がある。これまでの楽曲、肖像権、コンテンツ回りのことはどこがやるのか。旧会社(ジャニーズ事務所)との関係が断ち切れないのでは。
木目田裕弁護士 完全にまったく新しい会社をつくる。コンテンツ、知的財産権も含め、きちんと新会社で一緒になって活動するタレントに必要なものについては、すべて新会社が保有できるように、ちゃんとスキームをつくる。
懸念は、新会社をつくるが、スマイルアップが収益を吸い上げるのではないかとのことだと思うが、それでは意味がないじゃないかと。そういったことが生じないように、分断したスキームを作りたい。
井ノ原氏 タレントの立場からしても散々説明した中で、そういう体制がととのってなかったらそれはもう困る。責任持ってやっていきたい。
東山氏 なるべく不安要素をなくして、新しいものをみんなが安心してできる場所をつくっていきたい。
Q ジャニーズ事務所は退所者をテレビから干すとか言われている。新会社となり、退所したいという方が出ると思うが、圧力をかけることはないのか。約束してほしい。
記者会見で質問のため挙手する報道陣
東山氏 応援したいと思います。ファンの方が選ぶことでありますし。僕自身も、これまで退所した方達とコミュニケーションを取っていますし、同じ土俵の上に立っている表現者だと思っています。圧力をかけることはない。
井ノ原氏 僕も同じ。退所していくメンバーもいるし、苦楽を共にした仲間ですから、健康にいてほしい。
青春時代をずっと過ごしてきた仲間たちとも連絡を取っていますし、良い関係を続けていきたい。自分の仲間に圧力をかけるということは今後ありませんし、厳しい目で見てください。
東山氏 退所したからと言って遠ざけるわけではなく、共演もあったり、新しいスタイル、皆さんが見たくなる化学反応も必要だと思うので、向き合っていきたい。
◆東山氏、井ノ原氏の冒頭発言<全文>
冒頭発言・東山紀之氏
私どもが再出発するにあたり、現時点でどのようなビジョンを、方針をもっているかをご説明したいと思います。前回、9月7日に会見をしてから約1カ月、喜多川氏によって被害に遭われた方々、去って行った仲間たち、スポンサー企業の皆様、放送局をはじめとするコンテンツ企業の皆様、エンターテイメント関係の皆様、自分たちがいかに内向きで、いけなかったのかということを感じています。
そして何よりも、当社所属のタレント達を応援して頂いているファンの皆様からも、信頼を大きく損なってしまったと思っています。
前回の記者会見では、ジャニーズ事務所という社名を残すと申しましたが、それこそが、まさに私たちが内向き体制であったと批判されて当然のことだと感じていました。
私たちはそうした反省の上に、本当に再出発というのはどういうものか考えてきました。井ノ原(快彦)とも真剣に討論してきました。
記者会見で謝罪するジャニーズ事務所の東山紀之社長(中央)=東京都千代田区で
現在のジャニーズ事務所の社名を変更いたします。そしてタレントマネジメントおよび育成の業務からは完全に撤退させて頂きます。被害に遭われ今も苦しんでらっしゃる方々の補償、救済、心のケア、これを時間がかかっても全うさせて頂きたいと考えています。
そして、これからのエンターテインメント業界の行く末を見極める中で、自分たちで新しく会社を立ち上げ、ファンの皆様のお力をお借りしながら、従来のマネージメント育成業務をアップデートさせていき、その向上を図っていくこととします。
つまり、自分たちでジャニーズ事務所を解体し、被害に遭われた方々に真摯に向き合いながら、最後まで補償を行い、新しい会社でファンの方々と一緒に新しい未来を切り開いていく。これが私たちのビジョンです。
このビジョンを実現していくためには、たくさんのことを検討し解決しなければならない。今後決まったことは、また別の機会を頂きながらご説明したい。
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岡田准一さんがジャニーズ退所へ「故ジャニー喜多川性加害問題に起因」
まず今後の方針のうち、現在のジャニーズ事務所ですが、被害に遭われ、今もなお苦しんでいる方々の補償業務のみを行っていくこととします。
被害補償の受付窓口として、9月13日付で、3名の弁護士から構成される被害者救済委員会を設置いたしました。9月30日までにこちらの委員会には478人の申し出があったと聞いています。
そのうち被害を申告して補償をもとめている人は325人です。補償は11月からスタートさせて頂きたいと思います。今後は被害者の相談窓口について、臨床心理士などにご協力いただき、被害者の方に寄り添う形をきちっと作っていきたい。
そして、故喜多川氏と完全に決別する決意を示すため、社名を10月17日付けで「SMILE-UP.(スマイルアップ)」と変更します。この名称は、3年前に社会貢献活動を進めるために取得した商標です。
スマイルという言葉に違和感を感じる方もいるかもしれませんが、まずは被害に遭われたからの補償をすすめていくことがスマイルアップ社の社会的責任と考えています。
スマイル社は私が引き続き代表取締役社長を務めていきます。藤島ジュリーが100%株主として取締役に留まります。これは今後、法を超えた補償を行うには、第三者の資本を入れるとできなくなるからです。被害を受けられた方々の補償をきちんと最後まで行い、廃業いたします。
◆新会社はタレントと個別にエージェント契約
次に新しく設立する会社についてご説明させて頂きたいと思います。新会社は、希望するタレント個人やグループが設立する会社と個別に契約を結ぶ、エージェント会社といたします。
この制度においては、全てを会社にゆだねたり、しばられたりすることなく、タレント自らがその活動の方向性に応じて、自分自身で活躍の場を求めていくことになります。新会社は彼らとエージェント契約を締結し、これまでに培ってきたプロデュース機能やマネージメント機能を活用して、お互いの智恵を出し合いながら、そのタレント活動を最大限サポートしていきたいと考えています。
そして若手タレントなどは、エージェント契約形式ではなく、新会社に所属することもできるということになります。
記者会見の終了間際、足をとめて質問に答える東山紀之社長(中)
これは日本の大手芸能プロダクションで、これだけ多くのアーティストと契約することになるエージェント会社が立ち上がるのは初めての試みだと思います。
ジャニーズ事務所に所属するタレント達のうち、新会社と一緒にやりたいという意思確認ができているメンバーからは、それぞれがファンクラブを通じてお知らせしていきます。
冒頭発言・井ノ原快彦氏
現時点で意思確認ができていない、僕が担当しているジュニアのメンバーもいます。彼らには、これから僕の口から説明していきたいと思っています。
なぜこのような会社を目指しているのかと申しますと、われわれ、僕もタレントの立場でありますから、そんな立場でも自己プロデュースや演出、やりたいことをやっている人もたくさんいました。ただ、やはり大きく強い会社の中にいましたので、守られてきた存在であることは事実です。そこにもしかしたら、甘えが生まれたりとか内向きの体質になった原因もあったのではないかと思います。
ジャニーズを解体するからにはそうした体質を根本的に変えていかなければならないと思っています。だからこそ、タレントひとりひとりが自分の考えで歩む仕組みを作らないと、これまで以上にそういった仕組みを作らなければならないと思います。
東山氏 僕らは幸いにして本当にたくさんのファンの方に支持をして頂いています。そしてグローバルなエンタメの世界では、タレントがエージェント契約を通じて活躍の場を広げる、このスタイルが標準となっています。今の若いみんなには、本当に世界に羽ばたいて欲しいと思いますし、そのエネルギーを感じています。
僕らができるのは、その羽ばたくときにいかにサポートできるか。そのような考えのもと新会社を立ち上げていきます。
新会社の立ち上げに当たっては、僕自身が代表取締役社長、井ノ原が副社長に就任する予定です。法人としての新会社は約1か月以内に設立し、徐々に機能を拡大していきたいと考えています。資本は、就任する役員と従業員とで構成する予定ではあります。
記者会見するジャニーズ事務所の東山紀之社長(右から2人目)ら=東京都千代田区で
そして藤島氏は一切出資を行わず、取締役にも入りません。現在の事務所の従業員の方々も、新しい会社で一緒にやっていきたいと希望する方はぜひぼくらと一緒にサポートをして頂ければと思います。新会社としても、本日発表したガバナンスの仕組みを活用し、強化していきたいと考えています。
井ノ原氏 新会社ではファンの皆さんのお力をお借りしたいと考えています。これだけ厳しい状況にあってもファンのみなさんがぐっと耐えて僕らを見守って下さった。これは僕も、タレントとして先輩たちや仲間たちからも、ファンに対する感謝の気持ちは僕にも届いていますし、みんなは口をそろえて感謝していました。本当にありがたくて、ファンの皆さんの力を実感しています。
だからこそ、これまで内側向きだった我々が未来を切り開くためには、ファンの皆さんとあらためて二人三脚で進んでいくべきだと考えています。
だから、新会社の社名についてはファンクラブの皆様からの公募で決めていきたいと考えています。新会社では、ファンクラブの機能をさらに充実させていこうと考えております。
詳細は別途、現在のファンクラブを通して、ファンの皆様にお伝えしていきたいと考えています。
東山氏 新会社は新しい考え方、時代に沿った、新しいスタイルで作りたいと考えています。そのために僕ら、タレントたち、ファンの皆様とともにこの会社を立ち上げ、はっきりとした形をつくっていきたいと考えています。
◆被害者への補償、再発防止策の冒頭説明<全文>
責任者となる山田将之弁護士
このたびチーフコンプライアンスオフィサーに就任した山田でございます。私の長年のコンプライアンスに関連する業務の経験と、実際に手を動かして実務ができるということを捉えて今回この役目を与えられたと理解しています。
スマイルアップ社において、高い人権意識を実現して、ガバナンスの効いた、業界の模範となるようなモデルを確立していければと考えています。
まず被害を受けた方への補償についてですが、弊社は被害を受けた方との対話を進めています。
9月21日以降、順次、社長の東山が被害者に遭われた方と直接お会いして、性加害、それに関するこれまでのジャニーズ事務所の対応について謝罪させて頂くと共に、被害補償、今後の再発防止の取り組みについてご説明しています。
対話の中で、被害者の方からはさまざまな意見を頂戴しています。
9月13日付けで、元裁判官の経歴を持つ3人の弁護士から構成される被害者救済委員会を設置し、被害者補償の受付窓口を開設しました。
9月30日までに478人の方からご連絡をいただいていて、そのうち被害を申告して補償を求めている方が325人であると聞いています。
ご連絡頂いた内容の個別の内容について明らかにするのは控えますが、受付窓口にご連絡いただいた方、全てが補償を求めているわけではないので、このような人数の差が生じています。
被害、被害額の認定については、過去の資料や申告を頂いた方から提供を頂いた資料にもとづいて、過去にジャニーズ事務所に在籍していたか、もしくは当然、現在ジャニーズ事務所に在籍しているかを確認の上、被害者救済委員会が申し出内容、それから聴き取り調査を行って、その結果にもとづいて実施してまいります。
なお現時点までで、過去または現在のジャニーズ事務所の在籍が確認できたのは150名程度だと聞いています。
記者会見を終え、会場を後にするジャニーズ事務所の東山紀之社長
すでに被害者救済委員会は被害者からの聴き取り調査を開始しています。弊社は被害者救済委員会から補償額の提示を受けて、それを被害者に和解案として提示申し上げて、被害者の方と話をしながら、最終的に補償を行っていく、実際に支払いをしていくことを考えています。
被害を受けられた方への早期の補償を実現したいということから、補償は11月から開始できればと考えています。
補償金額の総額、補償をした人数については、適切な時期に適切な方法で皆様にもお知らせしたい。
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【まとめ】ジャニーズ性加害問題 元Jr.らの勇気ある告白、次々と 60年超の被害検証
続いて再発防止の取り組みについてご説明します。
弊社は外部専門家による再発防止策特別チームから提言を受けた再発防止策について、人権ポリシーの公表、CCOの選任、基本的な社内規定の整備など、すべての項目について対応を講じています。これらの内容については9月30日の取締役会で承認を受けており、さきほどコーポレートサイトにも公表しました。
これらのうち、この場では、ポイントになると考えている人権方針の策定および実施、内部通報制度の改革、この2点について説明したい。
まず人権方針の策定および実施についてですが、弊社はグループ内外を問わず、2度と人権侵害を看過せず、人権尊重責任を果たしていくため、グループ人権方針を策定しました。この内容についてはコーポレートサイトで全文をご確認いただけます。今後も人権方針の実施状況を定期的に確認して、必要に応じて見直します。
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次に内部通報制度の改革についてですが、弊社は4月に内部通報制度を導入しましたが、これまで所属タレントが利用者に含まれていませんでした。そこで今般、利用対象者を所属タレントも含める形としました。また通報の受付窓口は内部に設けていましたが、外部受付窓口を設置し、外部の弁護士に窓口を委託します。今後、所属タレントにも周知して参ります。
いま申し上げたような提言を踏まえた施策のほかに、私と人権問題の専門家である外部アドバイザーからなる外部アドバイザリーボードを設置し、スマイルアップ社の人権重視の取り組みについて監視と助言を受ける予定でございます。
このように、今後も人権尊重、法令順守のために、適宜施策の追加や改善を図って参りたい。
東山氏 もちろんなんですが、新会社でも、山田CCOがご説明したスマイルアップ社と同様、あるいはそれ以上のガバナンス、コンプライアンス体制を構築しながら、さらなる改善や見直しを図って参りたい。そのため新会社およびスマイルアップ社は今後も定期的に、再発防止策の進捗状況をご説明し、皆様のご理解を得る努力を続けていきたい。
以上が私どもが再出発に当たってのビジョンの説明となります。私ども一丸となって全力を尽くして参りますので、これまで以上に、ご意見ご指摘を賜りますよう、よろしくお願いします。