猛暑の夜に「繁華街」を歩いて気づいたいこと
日本列島をこの夏襲った連日の35度を超える猛暑も、台風の襲来を経てようやく終わりそうです。この原稿を書いているちょうど前日は、夕方にゲリラ豪雨が到来した後、久しぶりに非常に過ごしやすい温度まで気温が下がりました。 【写真】世界騒然… 「何もつけずにサッカー観戦」美女の大胆ショットの数々 近年、毎年のようにやってくる「災害的な猛暑」は真夏の経済の構造を変えつつあります。 以前であれば夏の風物詩として浴衣が売れ、アイスが売れ、スイカを食べながら扇風機やうちわで夕涼みといった風情のある日常だったところから、「熱中症リスク」「生命にかかわる暑さ」へと夏のキーワードが移り始めています。 このことで経済がどう変わるのか?経済評論家としての考察をまとめたいと思います。 今年も7月から8月中旬にかけての40日、ほぼほぼ「日中の外出は無謀」という猛暑の日々が続きました。私の生活スタイルはこの時期、早朝のうちに事務所に出かけて、終日リモートで仕事をこなし、夜、気温が下がったら自宅に帰るように変わりました。 そうすると2つまずいことが起きます。ひとつは運動不足。歩数計で計った一日の歩数が2000歩に満たない歩数になります。それまでは平均して8000歩前後は歩いていたのと比べて、運動量は激減します。そしてもうひとつは人生がつまらなくなること。こんな生活ではだめですね。 それで7月中旬頃から、毎日、夜の散歩を日課にしてみました。それも経済評論家らしくなるべく繁華街を歩くことにしました。それで気づいた経済の話をしてみたいと思います。
日本は惰性で回っている
地球温暖化とヒートアイランド現象で日本の都会の夏はもはや人間が普通に過ごせる環境ではありません。にもかかわらずこの世界はまだ、惰性で古い時代のスケジュールで回っている様子です。 たとえば普通に考えたら10時から16時までの猛暑タイムはビジネスにしてもレジャーにしても、外出に適していないことは自明です。しかしその時間帯、どうしても外に出なければいけない用事があって外出してみると、いつもとそれほど変わらない人出が観察できます。 一方でこの時期、本格的に体が活動に適してくるのは16時を過ぎて外気温が30度前後に下がってきたときです。夜でも30度前後ですから気温は高いのですが、この夜の気温は30年前のある意味快適な夏の昼間の気温と同じ感覚で、活動をするには適しています。 その16時からがビジネスとしては本当は書き入れどきになるはずなのですが、なぜか小売店は20時から21時には閉店してしまいます。それだけではありません。飲食店の多くが22時になると閉店です。 これはどうやらコロナ禍を境にできた「新しい日常」がまだ惰性で残っていることを示しているようです。政府や東京都の指導で、東京の繁華街ではコロナの時期になぜか夜の営業が自粛されてしまいました。それで夜は不要不急の外出をしないように首都圏の住民は生活スタイルを変えたのです。
まったく経済が回らない「日本の夜」
小売業も飲食店も閉店が早くなった…Photo/gettyimages
ただ問題は「それが新しい現実にとっては機会損失だ」ということです。 飲食店や小売店にとっても機会損失なのですが、私たち一般の消費者から見ても、この時期に夜に出歩かないのは人生の機会損失です。それをしなかった人は「2024年の夏の思い出」は何もないまま自宅でオリンピックを見て終わりということになってしまったはずです。 夏の気温がここまで高くなってしまった今、新しい日常としては、本当は「夕方16時に外出して、23時台に終電にあわせて帰宅する」と言う風に社会全体が生活サイクルを変えるべきなのです。 しかし、そういった自然に見えるトレンドがなぜ起きないのでしょうか。 私の気づきは、まだまだ続きます。 後編『夜、遊ぶところが「ドン・キホーテ」しかない…!コロナで壊滅した「夜の街」を歩いて考えた、ナイトマーケット復活の処方箋」』でじっくりと説明させてください。
鈴木 貴博(経営戦略コンサルタント)