立地で数千万円の「差」になる
購入したマンションが値上がりした人はたくさんいる。しかし、買った人がみんな値上がりしたわけではない。マンションが値上がりするかどうかは立地で大きく違うからだ。〔photo〕iStock
マンションが値上がりした街ということは、言い換えれば資産がインフレして、個人資産が増えた街ということだ。逆に値下がりした街は、資産がデフレとなって目減りしてしまい、個人資産が減った街ということになる。
この格差は大きい。インフレで30%以上値上がりすることもあれば、デフレで20%値下がりすることもある。この50%の差は数千万円にも上る。
当然、購入するには資産インフレする街のマンションを買うべきだが、この立地の法則を知らないとマンション購入では勝ち組にはなれないのである。
ではどこが、資産インフレを起こしやすい街なのだろうか。以下、紹介していこう。
インフレとデフレの分かれ目
まず街の資産価値をはかるために、以下の計算式で資産インフレ率と資産インフレ額を計算してみた。◇資産インフレ額=新築価格×値上がり率×総戸数
◇資産インフレ率=(現在の中古時価-新築価格)÷新築価格
首都圏行政区単位でこのインフレ率をランキングにすると、大きく値上がりしたのは18市区。マンションを積極的に買っていいのはこの行政区と言っても過言ではないだろう。【発表!】資産インフレ率市町村ランキング(出典)住まいサーフィン
トップ5に入るのは、都心3区(千代田・中央・港)と渋谷区、加えて横浜駅を含む横浜市西区だ。このあたりはマンションを「買い」の鉄板の自治体と言える。
ランキングを見ると、次にこのトップ5を囲む市町村が並んでいることがわかる。台東区・品川区・豊島区・新宿区・目黒区・文京区・墨田区などであり、私はこのあたりまでを「インナーロンドン」という言葉になぞらえて「インナー東京」と呼んでいる。23区のうちの都心寄りの11区だ。
これ以外は、3位の横浜市西区周辺の中区・神奈川区と武蔵小杉駅を含む川崎市中原区と川崎駅を含む川崎市幸区になる。マンションを選ぶならおススメできるエリアといえる。
参考までにワースト5の行政区も見ると、柏市・松戸市・所沢市・横須賀市・横浜市金沢区になる。値下がり率は20%を超えるので含み益が出づらく、これらのエリアは一生住み続けることを前提にしたほうがいいエリアといえる。
川崎、豊洲、勝どき、三鷹、新浦安、大宮、田町…
資産インフレしやすいマンションは立地によるところが大きいが、もう一つはそのエリアにマンションの供給量が多いことがあげられる。ただしマンションの供給量が多いからといって、資産インフレを起こすわけではない。あくまで好立地であったうえで、マンション供給量も兼ね備えているということが大切なのだ。
では、これを見分ける具体例を示していこう。
マンションの供給戸数が多い鉄道の駅をランキングし、上位30を示したのが以下の表になる。【発表!】総戸数ランキングトップ30駅(出典)住まいサーフィン
1位・川崎、2位・川口、3位・豊洲、4位が戸塚で、近年のマンションの大規模開発で大きく変貌してきた駅が並んでいる。川崎は主に京浜工業地帯の工場が、川口は鋳物工場が、豊洲は企業が土地を大量に放出してできた再開発の街だ。つまり、大量供給できるだけの土地があったエリアである。
ところが、1位の川崎と3位の豊洲ではマンション一戸当たりの値上がり額が大きくなっている一方、2位の川口や4位の戸塚では対照的に大きく値下がりしていることがわかる。
ほかにも5位の武蔵小杉・横浜・藤沢・八王子・町田・柏・松戸駅などJRの駅が数多くランキングしているが、武蔵小杉・横浜の各駅が1個当たり1000万円以上の値上がりを見せているのに対して、藤沢、八王子・町田・柏・松戸の各駅では300万円以上の値下がりしている。おなじJRで供給量の多い駅でもこれほどの差が生まれるのだ。
このトップ30のランキングで見ても、値上がりしているのは11駅にとどまる。供給量が多くても3分の2はデフレとなっていて、マンション立地としては資産性が低くなる傾向にあることに気をつけて欲しい。マンションは「立地+供給戸数が多いこと」を条件にエリアを吟味し、選ぶものなのである。
狙い目の街はここだ!
次に各駅のマンションの総戸数に現在の資産額(中古時価)を掛けて「資産総額」をはじき出してみると、また別の魅力的な駅が浮かび上がってくる。それが下記「資産総額ランキング」だ。【発表!】資産総額ランキングトップ30駅(出典)住まいサーフィン
表中、マーカーのついている駅は一戸当たりで〝値下がり″した駅を示している。この資産総額ランキングのトップ30駅は、そのほとんどが値上がりしていることがわかるだろう。
トップ3は豊洲・勝どき・武蔵小杉で、豊洲は現資産額が1兆円を超える。トップ9位まではすべて値上がりした駅。ランキング20位に限れば、川口と海浜幕張以外はすべて値上がりしているのだ。
だが、そのほとんどが23区内になり、いざ購入しようとしても価格が高すぎるという問題が出てくるだろう。ランキングに目を凝らせば、都区部以外で値上がりした駅に三鷹・横浜・川崎・新浦安・浦和・大宮がある。都下や神奈川県・埼玉県・千葉県でマンションを探している方はこれらの駅がねらい目になるのである。
資産インフレする駅はここだ!
冒頭で示した資産インフレ額=新築価格×値上がり率×総戸数を駅別にランキングしてみたのが下記の表だ。結果は、1位豊洲、2位品川、3位勝どき、4位田町、5位横浜となる。【発表!】資産インフレ額トップ30駅(出典)住まいサーフィン
ここでトップ30に入る駅はある特徴が浮かび上がる。新駅ができたか、あるいは大規模再開発が行われたか、である。これに該当しない駅はトップ30の中でも、広尾・表参道・市ヶ谷・神楽坂の4駅しかないのだ。
新駅の代表格は麻布十番、みなとみらい、白金高輪、清澄白河などだ。他はなんらかの再開発が近隣で行われている駅だ。この駅の周辺のマンションは価格が上昇しやすく、マンションの勝ち組エリアと言えるだろう。
さらに資産インフレ率をランキング化すると、マンションを買って最も儲かった駅が判明する。この場合、駅の周辺で大規模再開発が行われていることがほとんどだ。
下記の表を見てほしい。例えば80%ものインフレ率を記録し、トップに輝いた六本木一丁目駅は泉ガーデンやアークヒルズの大規模開発が行われた。【発表!】資産インフレ率トップ30駅(出典)住まいサーフィン
以下、新御茶ノ水駅はワテラス、新橋駅は汐留シオサイト、品川駅は品川ガーデンシティ、みなとみらい駅周辺のみなとみらい地区、神保町駅のジェイシティ東京、白金高輪駅の白金アエルシティ、秋葉原駅のクロスフィールド、飯田橋駅の飯田橋グラン・ブルームなど、ランキング上位は大規模開発と切っても切り離せない駅ばかりだ。
大規模再開発はマンションが値上がる典型的な勝ちパターンなのである。
これらのエリアでは今後も再開発が行われる計画がある。六本木一丁目駅は神谷町駅までを地下道で繋いで日本一の高さのオフィスビルが建つ再開発が予定されている。
品川と田町駅の間には新駅ができ、操車場跡地は大規模に駅前再開発が行われ、東京オリンピックにあわせて暫定開業予定だ。
国立競技場周辺も建替えが進み、変貌を遂げる。渋谷駅周辺も再開発が目白押しで副都心の駅は今後最も変化の激しい街になる。
表参道駅にも駅直結マンションの再開発計画があり、六本木駅周辺も(仮称)第二六本木ヒルズの計画がある。
こうしてみていくと、資産インフレしてきた駅は今後も成長していく可能性が高い。
過去の実績を踏まえて、将来も可能性のある街を見極めると、個人の自宅資産も大化けさせることができるのだ。私はこれに乗っかって資産を1億円以上純増させている。これは誰にでもできる自宅での投資になるので、検討の価値がある。
根強い人気を誇る「住みたい街ランキング」もいいが、自宅を資産に変えたいのなら見るべきは「儲かる街ランキング」なのだ。
参考:『資産インフレ駅ランキング』
→https://www.sumai-surfin.com/price/assetInflationRanking/?inurl=media_gendaibusiness