お金の若者離れから、お金の国民離れへ?

「若者の○○離れ」が聞かれて久しい。ライフスタイルや価値観の変化が影響していると見られるが、これらに加え1つの要因となっているのが「お金の若者離れ」だ。

朝日新聞に5月5日、「『お金の若者離れ』現実知って」という投書が掲載された。投稿者は20歳の大学生で、数々の「若者離れ」について「根源にあるのはお金の若者離れ」ではないかと疑問を呈している

「高度成長期の人に『最近の若者は夢がない』と言われるのはうんざり」

 

国税庁の2016年の調査によると、20代前半の給与平均は258万円。投稿者はこの額を引き合いに出し、

「月々の家賃や水道光熱費の支払いに加え、奨学金の返済がある人もいる」
「支払われるかどうか分からない年金のことを考え、貯蓄に回す分を含めると、思うように使えるお金はほとんど手元に残らないのではないだろうか」

と、給与額の不十分さを指摘。車や旅行の需要が下がったのではなく、「若者に回るお金は少なく、車や旅行が高嶺の花」だという見方を示した。こうした状況の中で、上の世代から「若者は夢がない」と言われることについては、

「右肩上がりに経済が成長した時代の感覚で物事を考えている人から『最近の若者は夢がない。欲がない』と言われるのはうんざりだ」

と不満を爆発させている。

DeNAトラベルが10代から30代の若者を対象に実施した調査によれば、「本当はやってみたいこと」の1位は旅行だったという。自動車工業協会が若年層向けに行った調査では、「車を買いたい」「買いたくない」がほぼ半々に分かれた。買いたくない理由に、「今まで以上にお金がかかる」「貯金が少ない」など、経済的な要因を上げる人も多い。

投稿者の大学生が言うように、「お金があればやりたい・買いたい」と考えている若者も相当数いることだろう。

「今は『若者』の段階を過ぎて『お金の国民離れ』に突入していると思う」

ネットでは、記事を読んだ人から様々な反応が上がっている。「10年前から言われてることじゃん」「今更感が凄い」という感想もあるが、「全国紙に載るようになったというのは一歩前進…なのかなぁ」と肯定的に受け止める声もあった。上の世代からも、

「我々の若い頃も、お金があったわけではないけれど、親の援助が多少あったりしてもう少し余裕があったように思う。今は親子とも余裕が無く、さらに学費は高くなり、何もかも厳しい。とても若者に問題があるとは思えない」

と、共感する意見が出ていた。投書では若者に焦点が上がっていたが、

「今は『若者』の段階を過ぎて『お金の国民離れ』に突入していると思う」
「若者だけではありません…独り暮らしの85歳のお年寄りが一月6万5000円の年金から4万円の家賃を払い以前は無料で診療を受けられていたのに医療費が8000円掛かると…残りが水道光熱費と食費、必要なものは百均で、と… 夫婦二人でやっとこ暮らし、どちらか欠けるとたちまち生活保護水準以下…酷すぎる…」

と、世代に関わらず生活が辛いという切実な声もあった。

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