老後の生活が気になったら、まずは、年金がどれだけもらえるのか調べてみてはどうでしょう。50歳以上の場合、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」のハガキをみれば「いくらもらえるか」が一目でわかります。
ただし、ここに記載されている年金額は、支給される年金の見込み額で、手取り額ではありません。今回は、忘れてはいけない、年金から天引きされる費用にどんなものがあるのか紹介します。
ねんきん定期便が届いたら? まずは2つの項目をチェック
誕生月に、ハガキ形式のねんきん定期便が届いたら、裏面の2つの項目をまず確認しましょう。
▼1:これまでの年金加入期間
受給資格期間に記載されている月数が120カ月以上あるかチェックしましょう。老齢年金は、原則65歳から受給することになりますが、そのためには10年(120カ月)以上の年金保険料を納める必要があるからです。
▼2:老齢年金の種類と見込額(年額)
老齢年金の種類と見込額を確認しましょう。
出典:日本年金機構「令和5年度「ねんきん定期便」50歳以上の方(裏)」© All About, Inc.
50歳以上の場合、現在の年収が60歳まで継続したときにもらえる年金の見込額(年額)が確認できます。
ねんきん定期便に記載されている見込額は手取り額ではない点に注意!
ねんきん定期便に記載されている見込額は、支給される年金の額面の予想額で、そこからもろもろのものが天引きされます。つまり、見込額は手取り額ではないという点に注意が必要です。
年金から天引きされるものは、介護保険料、国民健康保険料・後期高齢者医療保険料、さらに年金受給者であっても、住民税、所得税を支払う必要がある場合があります。
▼介護保険料
65歳以上になると、介護保険の第1号被保険者になります。老齢もしくは退職、障害または死亡を理由として受給している年金が年間18万円以上の人は、年金から介護保険料が天引きされます。
▼国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
65歳以上75歳未満の人で厚生年金に加入していない人は、国民健康保険料を支払います。
75歳以上になると、厚生年金に加入している人、国民健康保険に加入している人は、後期高齢者医療保険制度に切り替わります。なお、後期高齢者医療保険制度には、65歳以上75歳未満で、政令で定める程度の障害の状態にあるとして後期高齢者医療広域連合の認定を受けた人も含まれます。
国民健康保険料・後期高齢者医療保険料どちらも介護保険料と同じく、老齢、退職、障害または死亡を理由として受給している年金が年間18万円以上の人は、年金から天引きされます。
▼住民税
住民税は、所得割額、均等割額から構成されています。
住民税の所得割額は(年金額から110万円を差し引いた額)から社会保険料、扶養控除額などを差し引いた額に、各市区町村で定められた住民税の税率をかけて、さらに調整控除額を引きます。さらに、住民一律負担の均等割が加算されます。
▼所得税
所得税は、所得金額(年金額から公的年金等控除額110万円を差し引いた額)から社会保険料、扶養控除額などを差し引いた額に、所得税率をかけて算出します。
まとめ
年金を受け取るときは、社会保険料、税金などが天引きされます。老齢年金の見込み額は、実際の手取り額ではないことに注意しましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。