現代で生きる子どもたちの世界は、“いじめ”というキーワードは切っても切り離せないと言っていいかもしれません。
「うちの子に限って、他の子どもいじめるわけがない!」と思っているお母さん、子どもを信じる姿はとても素敵ですが、子どもには大人が知らない顔があるということも事実なのです。
ではどうすれば、いじめっ子にならず、周りの友だちとよい関係を築いていける子になるのでしょうか?
今回は、NPO法人ファザーリング・ジャパンの理事を務める村上誠さんに、わが子がいじめっ子に育ってしまう親のNG行為をお伺いしてきました。
■NG1:“しつけ”として暴力をふるう
“しつけ”と称して暴力をふるう児童虐待が、たびたびニュースになっています。
事件性のあるものは、命に関わる内容であることが多いですが、そもそも“しつけ”の一環として叩くなどの暴力をふるうことはよくありません。
子どもが悪さをしたとしても、そこには子どもなりの理由があります。大人には理解できない理由だとしても、その子自身にとっての理由が存在するのです。
それを“やってはいけないこと”だからと話も聞かずにたたいてしまうことは、コミュニケーションの前に親の力でねじ伏せてしまうことであり、自分の主張を通すには“力を行使すればいい”というメッセージになってしまいます。
こうなってしまうと言葉よりも手が先にでてしまう子に育ち、自分よりも弱い者に対して力を使って言うことを聞かせるような行動をとってしまうようになります。
■NG2:排他的な行動をとる
親が他人に対して排他的な行動をとることは、その子どももやはり同じように排他的な行為をとることに繋がります。
「あそこの家は○○だから、近寄らないほうがいいわよ」「あの子は○○だから、仲良くしちゃダメよ」など、子どもに直接言うことはもちろん、例えばママ友との会話で「○○ってちょっと浮いてるよね」など、仲間以外のものを排斥するような言動を子どもは見ています。
親が他人にフィルターをかけてしまうことで、子どもも同様にフィルターをかけるようになります。そのフィルターによって、「あの子はちょっと違うな」と思ったときに、仲間外れやいじめを引き起こすきっかけとなってしまうのです。
■NG3:他者に対して批判的な言動をとる
他人に対して批判を言うのが口癖になっているようであれば要注意です。これは例えばテレビなどに対しても同様です。
テレビ番組を子どもと一緒に見ているときに、バラエティ番組などでタレントの外見をイジって笑っているような場面では注意が必要です。
親が一緒になって、バカにしたり面白がったりすることはよくありません。この行動によって、子どもは「外見をバカにして笑ってもいいんだ」と誤解してしまうかもしれません。
こうなると、子どもは親の言動に影響を受けて、身近な友だちに対しても“いじめている”意識はなく軽々しく外見をバカにし、集団でからかうようになり、いじめの引き金になってしまいます。
■“いじめっ子”にならないための心がけ
では、逆にどのような育て方が望ましいのでしょうか?
普段から子どもの姿を観察し、“ほめる”ことがいじめっ子になる可能性を低くします。
例えば、自分の子どもが小さい子どもにおもちゃを貸している場面を見たら、「いいことしたね」「優しいね」と声掛けをすると、子どもは「それがいいことなんだ」と気付くことができるのです。
ほんの些細なことで構いません。子どもをよく観察し、すかさずほめてあげましょう。同時に“親が見てくれている”という子どもの安心感にも繋がり、親の愛情を感じることができた子は“いじめ”に走ることもありませんよ。
いかがでしたでしょうか? NG行為に、思い当たる行為はありませんでしたか?
子どもは想像以上に親をよく見ています。“しつけ(躾)”は“身を美しく”と書くように、親が身をきれいにしていれば、それだけで子どもは育ちのいい子になるのです。
まずは、親が自分の行動を見直すことが大切なのかもしれませんね。
(ライター 沖田かへ)