コロナショックで大リストラ時代に突入? 「完全失業率が2~3割にのぼる恐れも」と識者

東京商工リサーチの調査では、2019年の倒産件数は8383件で前年より増加。人手不足による倒産が多いというが、今後は新型コロナウイルスで経営が立ち行かなくなる企業がますます増えていくと思われる。そして、人手不足時代から一転して大リストラ時代に突入する可能性もあるという。

さらに、新型コロナウィルスが猛威を振るっていることを鑑みると、3月21日放送の「田村淳の訊きたい放題!」(MX系)では、「冷え込む消費に新型このコロナウイルスが追い打ち 2020年は企業倒産ラッシュ元年か?」という特集が組まれ、ジャーナリストの町田徹氏が今後の日本の雇用状況について分析した。(文:石川祐介)

経営者は「非正規労働者は景気や業績が悪くなったら『切って良い』と思っている」

町田氏は「新型コロナウィルスの対策というのは本来経済を活性化しなきゃいけない時に『人を動かすな』『モノを動かすな』ってことでしょ?(景気が)悪い時に『経済を止めろ』ってことだから過去に例のない経済危機(になる)」と語る。

倒産も増えていくというが、一方で「倒産は経済が悪い時の尺度として考えるのは意味がない」と話す。”倒産件数の増加=経済の悪化”と捉えることは誤りであるというのだ。

「東京商工リサーチの倒産件数のデータは67年分あるんですけど、2019年の倒産件数は47番目でとても低い。ピークは1984年で2万件を超えている。(今年は)どれだけ増えても1万~1万5000件しかいかない」

そのため、これから最も注視すべき点として「解雇者数」を挙げる。町田氏は「非正規労働者が増えたでしょ? 企業は潰れないために、従業員の首を切って生き残っている。解雇者数を経済を測る尺度として見るべき」と説明する。

「(リーマンショック時と比較して)去年は非正規労働者は400万人も増えている。この400万人は景気や業績が悪くなってコストカットしなければいけなくなったら、経営者は『切って良い』と思っている」

リーマンショック時に”派遣切り”という言葉をよく耳にしたが、非正規労働者を雇用の調整弁と捉える企業は10年以上経った今でも全く変わっていない。町田氏は「仮に400万人が切られたら、今の2.4%の完全失業率が11.1%まで上がる。さらにバブル期に増えた人達も切られたら20~30%になる」と警鐘を鳴らす。

「社内でコロナを理由に派遣切りが発生しています」

町田氏は非正規労働者の”雇い止め”や”派遣切り”の可能性を示唆したが、すでに労働組合「ジャパンユニオン」には、苦境に陥った労働者から以下の相談が寄せられている。

「社内でコロナを理由に派遣切りが発生しています。私も派遣社員ですが心配です。このままでは解雇される危険性があります。雇用契約書では無期限の雇用契約なのですが」
「社内の同僚の契約社員が、コロナを理由に次々と雇い止めにあっています。私の契約期間終了はまだ先ですが、会社は今、私を自主退職させようとしています」
「販売店で働いていましたが、コロナを理由に雇い止めになりました。突然のことで大変困っています」

4月から正規労働者と非正規労働者の格差解消を目的とする「同一労働同一賃金」が施行される。そのためコスト増を懸念して非正規労働者のカットに踏み切っている企業も少なくない。

今後も非正規労働者に対する不当な解雇は頻出する可能性は十分想定される。中には突然の解雇に戦々恐々としている人も少なくはない。もし、雇止めにあったらしかるべきところに相談するといいだろう。

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