コロナ禍に突入してから3年目となり、大学生の就職活動はオンラインの活用が前提となった。2023年4月の入社を目指す就活生(以下、2023年卒生)は、説明会や面接のオンライン実施が定着したコロナ時代の就活をどう乗り切ったのか。
オンライン面接定着も最終は対面で
2023年卒生は、1学年先輩のときに本格普及したオンライン就活の事情を知ってから臨んだ学年だ。オンライン就活は、効率的に情報収集できるうえ、場所を選ばず参加可能なため交通費の負担も少ない。リクルートの調査によると、2023年卒生が就活にかけた費用は、コロナ禍前に就活した2020年卒生と比べて約4割少なかった。
一方で、オンラインで最終面接まで済ませるケースはあまり多くないようだ。2022年卒生は、会社に一度も訪問することなく内定を得る学生もいたが、感染状況が以前より落ち着きつつある現在は、最終面接の形式を対面にこだわる企業も少なくない。
長期化するコロナ時代に学生(2023年卒)は、どのような企業を選んだのか。それがわかるのが、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が行っている「就職ブランドランキング調査・後半」の結果だ。
ランキングは、同社の就職サイト「ブンナビ!」に登録する2023春卒業予定の大学生や大学院生を対象に調査。今回は約1万3000人から回答を得ている。就活生の企業選びは、前半はあこがれやイメージが先行するが、業界研究や面接などを経た後半は、より現実的に企業を見る傾向にある。その違いを調べるために、前半、後半の年に2回の調査を行っている。今回はその「後半」の就職人気ランキングを掲載する(前半の結果はこちら)。
調査は3月中旬から6月末の期間。説明会などが始まる「採用広報」の解禁後、実際の選考などを経て学生が選んだ企業ということだ。
トップは前年と同じく伊藤忠商事。前半ランキングと同じ1位の座をキープした。属性別で見ても男子、女子、文系でトップとなり、多くの票を集めている。20時以降の残業原則禁止や朝型勤務推進のほか、全社員対象の在宅勤務導入、出産後1年以内の復職者に対する支援金といった、積極的な働き方改革が評価されているようだ。
2位は日本生命保険、3位は大和証券グループと、前半ランキングの順位と同じ結果になった。損保・生保や証券といった金融機関は安定的に順位が高い。6位に東京海上日動火災保険、7位には損害保険ジャパンがランクインした。
ソニーは4位まで浮上
今回の調査で前半から大きく順位を上げたのがソニーだ。前半56位から4位まで浮上。理系の1位にも選ばれている。同社はゲーム、音楽、映画のエンタメ3事業が急成長を遂げており、2021年度はこれらの売上高が連結全体の50%を初めて超えた。コロナ禍の新しい働き方支援にも積極的で、全社員を対象とした在宅勤務制度や、コアタイムなしフレックスタイム勤務制度を導入。在宅勤務・コロナ感染予防支援の特別手当支給といったサポートも手厚い。
10位の任天堂も前半の72位から大きくジャンプアップした。巣ごもり需要を追い風に大ヒットしたNintendo Switchは発売から6年目を迎えたが、「ポケモンレジェンズ アルセウス」などのソフトが好調。採用ホームページでは、ゲームキャラクターを交えながら、現場ではたらく社員の声を紹介しており、こうした取り組みが就活生からの評価につながっていそうだ。
8位は総合商社の三菱商事がランクイン。総合商社はほかにも11位丸紅、13位住友商事なども上位に入り、根強い人気がうかがえる。9位には昨年後半と同じく大日本印刷が入った。食品メーカーの人気も続いており、16位明治グループ、17位味の素、26位ロッテ、といった企業が上位になっている。
就職人気ランキングの上位常連だったエアラインは、全日本空輸(ANA)が86位、日本航空(JAL)は92位にとどまっている。中止していた新卒採用を再開したものの、先行き不透明感があるためかコロナ前の水準までは回復していない。