ジャニーズ「合宿所」が15億円で販売か…繰り返された「性加害の現場」は渋谷の一等地

ジャニーズ事務所にはかつて、ジャニーズJr.らを寝泊まりさせていた「合宿所」と呼ばれる場所があり、ジャニー喜多川氏による性加害の現場となっていた。現在、その一部が販売されているという。価格はおよそ15億円。いったいどのような場所だったのか。 【写真】いったい何が…「キムタク」に起きた、まさかの異変「最近、様子がおかしい」

「YOUはソロデビューさせるから」

 〈合宿所で寝ているとジャニー氏が布団の中に入ってきて、添い寝の状態で「YOUはソロデビューさせるから」と言われ、パンツの中に手を入れられて直接陰部を触られた(中学2年生時)<外部専門家による再発防止特別チームの『調査報告書』より抜粋>  上記の証言は被害者が明かしたジャニー喜多川氏によるおぞましい性加害内容のほんの一部だ。  ジャニー氏は長年にわたり、複数の場所で所属する少年たちへの性加害を繰り返してきた。とりわけ「合宿所」と呼ばれている場所では多くの被害が出ていたことが報告されている。  「合宿所」はジャニー氏の自宅のほか、都内の複数ヵ所にあり、転居を繰り返していたとされる。地方出身者や、仕事で遅くなって帰宅できなかったり、翌日の学校などで朝が早いジャニーズJr.(以下ジュニア)らが寝泊まりする場所として利用されてきた。  なかでもJR原宿駅前にある「元祖億ション」が最も有名な場所だろう。1980年代にはかつて同事務所に所属していた田原俊彦氏や近藤真彦氏らも住んでいたという。  これまでもジャニーズタレントの口からたびたび語られてきた「合宿所」の存在。そこでのエピソードはトップアイドルの下積み時代の微笑ましい思い出として取り上げられてき一方で、多くの被害者を生み出してきた場所でもあった。  そのうちの一つが15億円という気の遠くなるような価格で販売されているというのだ。

今年2月に所有権移転

 「JR渋谷駅から徒歩圏内にある高級マンションです。最上階のペントハウスにジャニー氏の自宅とジュニアらを宿泊させる部屋がありました」(ジャニーズ事務所関係者)  2003年に建てられた超高級マンションで、およそ230平米とかなり広い。渋谷の街並みを一望できるLDKやジュニアらが寝泊まりする部屋のほかジャニー氏の書斎などがあったとされている。  「この物件は新築当初7億円で販売され、ジャニー氏らもこの価格で購入したとされています。そのうちに価格が高騰し、現在では販売価格15億円で案内されていたようです。購入できるのはトップの芸能人か、何十億円もの資産を持つ資産家でしょう。たまに中国人ら外国人が購入することもあります。  こうしたマンションの最上階となると値動きも大きく、利回りも良くないと言われているので値上がり益を狙うキャピタルゲインなら別ですが、インカムゲイン目的で買うことはあまり向きません。投資家は一般的に需要のある物件を好むため、そこで生活することを前提としている人が買うとみられます」(不動産関係事情に詳しいジャーナリスト)  物件はジャニー氏、同事務所がそれぞれ所有しており、登記簿謄本によると同事務所は2003年、ジャニー氏は2008年に購入している。ジャニー氏の所有していた物件は2019年1月に同事務所取締役の藤島ジュリー景子氏に遺贈されていた。  だが、元ジュニアのカウアン・オカモト氏がジャニー氏による性加害を告白し、英・BBCで一連の問題が取り上げられる直前の今年2月になって動きがあった。これらの物件の所有権が、同時に都内の不動産会社に移転されたのだ。  前出のジャニーズ事務所関係者は、「一連の問題を巡り、賠償金などなんらかの支払いが必要となることを見据えての措置だったのではないか」と推測している。

東京が一望できる大きな窓があるリビング

 不動産会社の案内によると物件はスケルトン状態で販売されており、フルリフォームが可能。冒頭の告白はこの場所かは定かではないが、この物件は数々の性加害の現場になっていたという。  「オカモト氏が性被害を受けたマンションはこの物件だと思われます。彼の話によると彼がジュニアに在籍していた4年間でジャニー氏のマンションに泊まった少年の数は100人とも200人とも言われており、そのほぼ全員は被害者だったと言います」(週刊誌記者)  ラグジュアリーホテルのようなフロントにはコンシェルジュが常駐、警備員もおりセキュリティも万全。安全性が高く、有名俳優やタレント、お笑い芸人ら著名人も多く暮らしているという。  オカモト氏はジャニー氏の自宅とみられる写真も公開している。  リビングに設えられた大きな窓からは東京の街並みが一望でき、柱には水槽が埋め込まれ熱帯魚が泳いでいた。高級酒が並ぶバーカウンターに、ジャグジーの付いた大きなバスタブのある浴室、防音が施されたカラオケルームに広いベッドルーム……最大で20名近くが宿泊できるように、と布団類も複数用意されていた。  合宿所で寝泊まりしていた無垢な少年たちにとって、この場所は夢を掴む第一歩だったのはずだ。高級ホテルのような内観、洗練された広々とした室内、そして眼下に見下ろす東京の景色は成功者のステータスのように思えただろう。  「いつか自分の力でこんな場所に住みたい」――。そんな純粋な思いを踏みにじるようにジャニー氏はその地位、関係性を利用して性加害を繰り返し、少年たちの将来を握りつぶした。  東山紀之新社長は、9月7日の会見で、「(今後)合宿所を開く予定はない」ことを明言した。  自身も合宿所にいたことがある東山氏は「閉鎖的なところ」と表現し、「そこに入ることは難しかった」と述べている。  「あの閉鎖的な空間は、あそこですべてが完結してしまう施設だった。トイレもお風呂もあって、夜は鍵が閉まっていた。僕らは少し遠く離れたところで寝泊まりしていましたし、非常に忙しい中でしたので、合宿所には打ち合わせとレッスンで行って帰る、という感じだった。閉鎖的で入れず、もし入ったとしてもあの空間でそういうことが行われているということは想像ができないわけですね。性加害が行われているということが……、今考えるとその閉鎖的なことが問題だったのかなと思います」(東山氏)  新体制では合宿所は設けられないとされているが、性加害を受けた元ジュニアたちの心の傷は癒えることはない。

週刊現代(講談社)

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