ブラックボックス化する韓国・文政権は、一体何を目指しているのか

要職にある人物が、平然と…

日韓関係が悪化の一途を辿っている。韓国の国会議長は慰安婦問題に関して、天皇陛下の謝罪を求めた。文在寅(ムン・ジェイン)政権の韓国は、どこまで日本に敵対するつもりなのか。

韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は米ブルームバーグのインタビューで、近く退位する天皇が(元慰安婦の)「おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言言えば、すべて問題は解消される」と語った。

それだけではない。文氏は天皇陛下について「その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか」とまで難詰していた。いずれも、同通信が電子版で2月8日に報じた。

これが韓国メディアで報じられると、日本側は当初、河野太郎外相が10日、外遊先のフィリピンで「発言には気を付けていただきたい」とやんわり注意しただけだった。外遊先で情報不足だったためなのか、いかにも手ぬるい印象は免れない。

だが、12日に事態は一変する。安倍晋三首相は衆院予算委員会で「はなはだ不適切な内容であり、極めて遺憾」と語るとともに、外交ルートで抗議し、発言の撤回と謝罪を求めたことを明らかにした。河野外相も今度は「到底、受け入れられない。極めて無礼」と強い口調で述べた。

日本で問題視されると、文議長は「戦争犯罪の主犯の息子」という発言について「戦争時の日本の国王の息子という意味だ」と釈明した。これは嘘とすぐバレてしまう。ブルームバーグが公式サイトで音声データを公開したからだ。

そこには、文氏の発言がこう記録されていた。

(謝罪をするのは)日本を代表する天皇がされるのが望ましいと思う。その方はまもなく退位するといわれている。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。だから、その方がおばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言言えば、すべて問題は解消されるだろう。

逃げられなくなった文氏は12日、訪問中の米国で「謝罪するような事案ではない」と語り、謝罪を拒否する。そのうえで「(日韓の)合意書が数十個あったところで、どうするのか。被害者の最後の許しがあるまで謝罪しろということだ」と完全に開き直った。

このあたりは、いかにも韓国という国らしい。自分の旗色が悪くなって、とりあえず発言を否定してみたが、嘘がバレてしまうと、逆に開き直って居丈高になった。それにしても「最後の許しがあるまで謝罪しろ」という台詞には、驚くほかない。この発言は記憶するに値する。

そんなことを言い出したら、そもそも外交交渉は成り立たない。いくら合意しても、後で「それでは足りない。永遠に謝れ」と言い出すに決まっているからだ。国会議長の要職にある人物が平然とこんな発言をするあたりに、いまの韓国という国の本質がよく表れている。

暴走なのか、意図的なのか

安倍首相は13日の衆院予算委員会でも「多くの国民が驚き、怒りを感じている。はなはだしく不適切だ」と語った。先の自衛隊哨戒機に対するレーダー照射事件といい、今回の国会議長発言といい、文政権の韓国はほとんど近代国家の体をなしていないも同然だ。

それは暴走なのか、それとも意図した反日行動の一環なのか。私は「文政権が意図した反日行動を続けた結果、冷静であるべき国会議長までが暴走してしまった」とみる。文政権の下では「反日なら何を言っても許される」状態なのだ。

2月8日公開コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59787)で書いたように、韓国の反日は北朝鮮に対する宥和策と表裏一体でもある。

韓国が北朝鮮にすり寄っていく一方、日本に敵対姿勢を強めるなら、日米韓が連携する北包囲網は崩壊してしまう。2月14日付読売新聞によれば、米国の超党派議員は「建設的な日韓関係は米国の国益にも、インド太平洋地域の発展にも重要」と明記した決議案を上下両院に提出したという。米国も危機感を抱いている。

文政権の韓国はいったい、何を目指しているのだろうか。

文政権は2017年5月に成立したときから、親北容共姿勢が明白だった。それでも当初は北朝鮮の核・ミサイル開発に反対し、日米とともに北包囲網の一角を占めていた。北朝鮮が何度も核実験とミサイル発射を繰り返していたからだ。

それが、昨年6月12日の米朝首脳会談あたりから変わってくる。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が米国のトランプ大統領に、たとえ口だけだったとしても、非核化を約束したからだ。

もともと親北容共の文大統領からみれば「北は最大の懸案だった非核化を約束したのだから、もう遠慮することはない。制裁解除を求めて当然だ」という話になる。北を支援し「左翼政権で南北統一を目指す本性」を露わにし始めた。

その裏側で同時進行させたのが、昨年秋以来の反日行動である。

慰安婦問題における「和解・癒やし財団」の解散、いわゆる元徴用工訴訟で日本企業に賠償を求めた最高裁判決、国際観艦式での自衛艦旗(旭日旗)掲揚拒否事件、自衛隊哨戒機に対するレーダー照射事件、そして、今回の「天皇陛下謝罪要求」である。

これは偶然ではない。

個々の事件を文大統領がどこまで差配していたかどうかは別にして、国会議長を含めて当事者たちは「反日行動が政権の最高意思」であることを十分承知したうえで、行動しているとみるべきだ。それほど、政権の意思は国の隅々にまで浸透している。

いまや、大法院院長(最高裁長官)までが「徴用工訴訟を意図的に遅らせた」という理由で逮捕されてしまうくらいである。文政権が目指しているのは「国家改造」、もっとわかりやすく言えば「左翼革命」といって間違いない。

もう何が起きても不思議ではない

日本には、これまでの惰性で、韓国があたかも「自由と民主主義の国」であるかのような誤解が残っている。そうではなく、文政権は着々と強権的に左翼革命を進行させている。その一環として「同胞である北朝鮮」に対立する日本を敵と位置づけているのだ。

そう考えれば、日本の排他的経済水域(EEZ)で、国旗も上げずに北朝鮮の漁船となにやら「密会(?)」していた韓国駆逐艦が日本の自衛隊哨戒機に発見され、大慌てで火器管制レーダーを照射して追い払おうとした理由も理解できる。

多くの専門家が「あれは遭難救助ではない。何かの取引あるいは韓国艦による拿捕、ないし密会だ」と指摘している。朝鮮半島は全体が「ブラックボックス」と化してきた。もはや、何が起きても不思議ではない。日本は「次」に備えて警戒を強める必要がある。

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