プレ金で「消費向上」の発想が甘い 低迷の原因は「将来不安」

毎月末の金曜は早めに仕事を切り上げてもらい、消費の押し上げにつなげようという官民挙げての取り組み「プレミアムフライデー(プレ金)」の状況が芳しくない。スタートした2017年2月こそ、旅行や外食業界の一部が盛り上がったものの、着実に消費増に結びついている気配は薄いためだ。

「プレミアムフライデーに合わせ、毎回さまざまなイベントを企画はしていますが、お客様がものすごく増えて、売り上げが上がったという印象はほとんどないですね」。東京都内の百貨店関係者はそう話す。

  • プレミアムフライデーはどうなるのだろうか(画像はプレミアムフライデーの特設ホームページより)

「働き方改革」につながるとの期待もあった

プレミアムフライデーは、余暇や自由な時間を増やすことで、買い物や外食、旅行などに使ってもらおうということを最大の狙いとして始まった。早い時間の退社が広がれば、長時間労働の是正になり、「働き方改革」につながるとの期待もあった。

だが、肝心の消費増に結びついているかは、おぼつかない。初回の2月には外食や旅行に関する消費が上がり、「外食による押し上げ効果は2月で74億9000万円」(第一生命経済研究所)との分析も出ていた。しかし、3月には反動減で消費は逆に落ち込んだとされる。実際、初回はプレミアムフライデー向けのツアーを準備し、効果を上げていた旅行業界からは「初回のような盛り上がりは2回目以降、なくなっている」との寂しい声も目立っている。

プレミアムフライデーが消費増につながらないのは、なぜか。スタート時から、設定日のまずさを指摘する声が多かったが、中小企業関係者からはいまだに「最も忙しい月末の金曜に早期退社するなんて現実的でない」という不満が消えていない。早く退社できるのは大手企業の一部だけで、その大手企業の中でさえ、「取引先が早期退社しなければ、結局は我々だって早く帰れない」との声も上がっている。

価値観の変化

そもそも、官民でイベントを作りさえすれば消費が上向くという考えが甘い、という指摘も根強い。「消費低迷の大きな原因は、将来不安による節約志向であり、小手先の催しで消費が上向くはずがない」とあるエコノミストは話す。実際、リクルートグループの「ホットペッパーグルメ外食総研」が4月にインターネットで行ったアンケート調査(有効回答約1万人)によれば、プレミアムフライデーで何を行ったかについては、7割強が「特に普段と異なる消費行動はしていない」と答えた。

バブル期のように、お金や物をたくさんためて豊かになろうという価値観そのものが変わってきている、という見方もある。別のエコノミストは「今は、不要な物はできるだけ減らす『断舎利』が広がる世の中だ。すでに、必要な物は身の回りにあふれているという人も多く、物を買うという行動自体が変化していると気付かなければいけないのではないか」と話す。

プレミアムフライデーの先細りは、今の日本で消費を上向かせることの難しさを改めて示しているといえそうだ。

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