♪私ファミマ、今すぐにファミマ……。NTTドコモのマスコットキャラクター「ポインコ兄弟」が、1982年のヒット曲「待つわ」の替え歌にのせて、ファミリーマートでdポイントが付与されるようになった、と告知するCMが頻繁に流れている。
NTTドコモはこれまで、ローソンとの関係が深かったが、突然のファミマ推しに困惑した人もいるだろう。その「答え合わせ」なのだろうか、ローソンと、ライバルであるKDDIの提携が発表された。
ふたりの距離は縮まるか
au WALLETポイントを「Ponta」に統合
KDDIとローソンは2019年12月16日、資本業務提携契約を締結したと発表した。ローソンの211万株(発行済株式総数の2.1%)をKDDIが取得するほか、両社のポイントサービスを統合するのが要旨だ。KDDIでは、これまでau WALLETポイントを付与していたが、20年5月以降にPonta(ポンタ)へ統一。ID連携を進めることで、会員数1億超、モバイル口座数2200万超、年間ポイント付与額2000億円超の「国内最大級」(両社発表)の会員基盤を手にするという。
Pontaは、三菱商事系のロイヤリティ マーケティング(LM)が10年に開始した。現在LMの出資構成は、三菱商事42.37%、ローソン20%、リクルート15%、日本航空(JAL)15%などとなっている。今回の提携によりKDDIは、三菱商事からLM株20%を取得するため、三菱商事の保有比率は22.37%となる予定だ。
ここで気になるのが、ドコモとの関係性だ。ドコモとローソンの資本業務提携は、10年以上前にさかのぼる。ドコモは06年、ローソンの209万2000株を取得した。19年8月末現在でも、所有株数は変わらず、発行済株式総数における割合は2.09%を維持しているが、今回KDDIが取得する株数を若干下回っている。
ドコモとの提携も「しっかり継続してやっていきたい」
LMは15年にドコモと業務提携し、dポイントとPontaの相互交換を始めた。また、ポイントを新商品などに安価で交換できる、ローソンの「お試し引換券」もdポイントで発行可能だ。とはいえ、ドコモはLMの株主ではなく、はたから見るとKDDIとの差が目立つ。
ローソンの竹増貞信社長は提携会見で、Pontaへの合流を決めたKDDIの決断を評価しつつ、「ドコモさんとの資本業務契約も、しっかりと継続してやっていきたい」と語った。また、dポイントや「d払い」が使えなくなる可能性も否定し、決済手段を制限しない方針を示している。
他人を愛する「あなた」を、どうにか振り向かせたい。あみんの「待つわ」は、そんな恋心を歌った名曲だ。ポインコ兄弟の替え歌には、ローソンへの思いが込められているのかも――。そんなうがった見方をすると、あのCMから受ける印象も変わってきそうだ。