世帯年収が600万円の世帯は、どのような生活レベルなのでしょうか。特に、結婚して子どもがいる世帯では、今後さまざまなライフイベントを迎えることになります。現在の収入で、住宅ローンを払いながら生活水準を下げずに暮らせるのでしょうか。
今回は、世帯年収600万円の場合を例に、家計の支出割合やマイホーム取得の資金計画などについて考えてみましょう。
世帯年収600万円の生活レベルとは?
世帯年収600万円の世帯では、どのような生活が送れるのでしょうか。ここでは、アクサダイレクト生命が紹介している家計費の理想割合をもとに、単身世帯、子どもがいない夫婦の世帯、子どもがいる2人以上の世帯のケース別に、世帯年収600万円の家計状況を紹介します。家計費の理想割合は家庭の状況によっても変わってくるため、あくまでも目安として参考にしてください。
単身世帯の場合
年収とは、社会保険や所得税が引かれる前の総支給額をいいます。世帯年収600万円の場合、単純計算で月収50万円となります。そこから、社会保険料、源泉所得税などが差し引かれるため、単身で扶養家族がいない場合、手取り額は月40万9,190円、年間では491万280円です。(※東京都勤務、40歳未満の場合)
1人暮らしの場合、毎月の支出がいくらになるのか計算してみました。
出典:第10回 家計費の理想割合を意識する|アクサダイレクト生命
※家計費の理想割合をもとに算出
単身だと、趣味・娯楽費、交際費、貯蓄の割合が、家族がいる世帯よりも多くなります。自分のために使えるお金が多く、比較的余裕のある生活が送れます。この家計割合では、単身世帯にしては水道光熱費と通信費がややかかり過ぎているため、ほかの支出に回すことでもっと豊かな暮らしができるでしょう。
この手取り額なら、もう少し家賃の高い物件も視野に入れられそうです。将来的に結婚や住宅購入を考えているなら、貯蓄に多く回すことをおすすめします。
子どもがいない世帯
夫婦2人のみの世帯で夫婦の年収がそれぞれ300万円と仮定すると、月収は25万円、手取り額は20万7,468円です。月の手取り額は2人分で41万4,936円になります。年間では1人あたりの手取り額は248万9,616円、2人合わせると497万9,232円になります。(※東京都勤務、40歳未満の場合)
理想的な家計割合をもとに計算した、夫婦2人世帯の毎月の支出額は次のとおりです。
出典:第10回 家計費の理想割合を意識する|アクサダイレクト生命
※家計費の理想割合をもとに算出
若い夫婦を想定していますが、生活も倹約に努め、貯蓄に比重を置いた割合になっています。安い社員食堂がない会社なら、夫婦で協力して自炊のお弁当を持参するといった工夫をすると、食費を抑えることが可能です。
今は子どもがいないため養育費は一切かかっていませんが、将来子どもがほしい場合や住宅購入を予定しているなら、お金のかからない今のうちに貯蓄に多く回しておくべきでしょう。
子どもがいる世帯
世帯主の年収が600万円(月収50万円)、配偶者1人、16歳以上の子ども1人を扶養している例で考えてみましょう。月の手取り額は41万1,650円、年間では493万9,800円になります。(※東京都勤務、40歳以上の場合)
夫婦2人と高校生の子どもがいる場合の家計割合をもとに計算した毎月の支出額は次のとおりです。
出典:第10回 家計費の理想割合を意識する|アクサダイレクト生命
※家計費の理想割合をもとに算出
住居費が10万円強となっていますが、エリアによってはもっと高くなる可能性があります。高校生の子どもがいる想定なので、子どもにかかる養育費の割合が高くなり、住居費やこづかい、趣味娯楽費に回せる金額が減ってしまうのはやむを得ないでしょう。
また、貯蓄に回せる金額も少なくなります。そのため、それまでに十分な貯蓄をするなどして、住宅ローンの頭金に回したり、いざというときの出費に備えたりする対策が必要です。家計全体を見直し、減らせる支出はないか検討するとよいでしょう。
出典:マネーの基本講座 | 第10回 家計費の理想割合を意識する|アクサダイレクト生命
世帯年収600万円で住宅ローンを借りるなら?
世帯年収600万円の世帯が住宅ローンを利用する場合、いくらまで借りられるのでしょうか。生活レベルを極端に下げることなく余裕のある生活を維持できる借入金額と、毎月の返済額の目安を紹介します。
いくらまで借りられる?
長期固定金利の住宅ローン【フラット35】を利用して、金利1.3%、最長借入期間35年、ボーナス払い0円で借りる場合、借入可能額の上限はシミュレーション上は5,902万円です。
ただし、実際に借り入れる金額は、上限ギリギリではなく年収の6〜7倍が一般的です。ということは、世帯年収600万円の場合、住宅ローンの借入額は3,600〜4,200万円を目安に考えれば、生活レベルを保ちながら無理のない返済が可能と考えられます。
もちろん、頭金が多いほど支払利息は安く抑えられ、物件の選択肢も広がります。そのためにも、住宅ローンを組むまでは家計で節約できる部分をできるだけ貯蓄に回したほうがよいでしょう。
毎月の返済額はどのくらい?
住宅ローンの「年収に占める年間返済額の割合」のことを「返済比率」といいます。返済比率は、30〜35%程度が基準です。つまり、返済比率をそれ以上に設定すると、住宅ローンの審査に落ちる可能性が高くなるのです。基準の範囲内で算出すると、世帯年収600万円の場合、毎月の返済額は返済比率30%なら15万円、返済比率35%なら17.5万円となります。
ただし、前述した理想的な家計割合の住居費は25〜28%程度が目安とされています。生活レベルを下げることなく余裕をもった生活をするためには、住宅ローンの返済額は月12.5〜14万円くらいに設定して、無理のない範囲で貯蓄を続けるのが理想といえるでしょう。
まとめ
首都圏に住む世帯年収600万円の世帯では、4,000〜5,000万円の新築戸建てを購入し、4,500万円前後の住宅ローンを組むケースが多いことがわかりました。今の生活レベルを維持しつつ、無理なく住宅ローンを返済するには、毎月の返済額を手取り額の25〜28%程度に収めるのが理想です。各世帯状況に合わせた返済比率を考えたうえで住宅購入を検討しましょう。子どもがいる家庭なら養育費の負担割合が重くなるため、早い時期から貯蓄を増やしておくことが大切です。